山中静夫氏の尊厳死のレビュー・感想・評価
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ラブストーリー的に観ちゃいました
義父を癌で亡くした医療関係者としては、患者目線でも先生目線でもなかなかくるモノがありました。
でも、患者の家族目線では、ちょっと寂しかったな。
最期の場所として選ぶのが、生まれ故郷ってことが。
そんなに、一緒に過ごした時間がイヤだったのかな。そんなに、残り少ない時間を共有したくなかったのかなって考えてしまって、寂しくて悔しかった。
お墓に名字を書かなかったことで少し救われたけど。
結局奥さんは静夫さんのことが大好きだったのに、婿をもらった立場が強がらせていたのかな。静夫さんのお墓に辞世の句を掘るの、大変だっただろうに。でもそのお墓に一緒に入るのはどうかな?静夫さん喜ぶかな?
喜んでくれたらいいな。
手当て
最後の為にと生まれ故郷近くの佐久の病院に転院してきた末期肺ガン患者と、彼を担当する医師の話。
死生観は人それぞれだし、どう死ぬかは本人の意志が尊重されるべきだとは思うけど…。
病状や回復の見込みとか治療と緩和ケアの違いをはっきり伝えない医師に、話を聞こうとしないし人の都合なんか考え様としない自己中患者という風に感じてしまった始まり方で、少し白け気味になりつつ、自分も家族をガンで看取ったことがあるけれど、当時ちゃんと伝えてくれた主治医に感謝。
物語が始まってもホテルと勘違いしているかの様なモンスター気味な患者に対する違和感がつきまとうと共に、何でも受け入れる医者に同情と僅かなモヤモヤ感を覚える
話が進み今度は患者の嫁の身勝手な頼みにモヤモヤ。気持ちはわかるし思うのは勝手だが、それを依頼して応えたらまずいでしょうに。
自分や故人を含む自分の家族がドライだったり合理的過ぎるのか?とちょっと考えてしまう程。
同僚の行動もあまりにも酷すぎるし…とドラマとはいえ、ちょっと登場人物達の言動が気になったけど、確かにこのぐらいのこと言ったりやったりする人は結構いそうだなとも感じる。
殆ど俯瞰でみている様な感じだったから、感動とかはなかったけど、死について色々と考えさせられたし、主人公や看護士の優しさには温かみを感じた。
いや~しかしこういう現場の人は大変だね…。
素顔のままで
“主演男優”は、どちらになるのだろう?
末期がん患者か、医師か。世を去る側か、看取る側か。
決められない。そういう映画だった。
一見、ゆったりしているものの実はテンポが良くて、ストーリーが一つ一つ着実に進んでいく、心地よい脚本と演出だ。
医師と息子とのやりとりも微笑ましい。
自分は原作は読んでないが、俳優の演技も含めて、映画の作りは素晴らしかった。
ただ、実際のところ、こんな面倒見の良い医師はほとんどいないはずだ。
勤務医は非常に忙しいだろうし、患者が収入や手術実績を上げる手段と化している病院も少なくないはず。
しかし、この映画では“ヒール役”をすべて事務長に押しつけて、医師はみな“ヒーロー役”だ。
その部分にリアリティが乏しいのは、この作品の問題点だろう。
映画の題名になっている「尊厳死」。
主人公の医師は、後輩医師から、無意味な“延命治療”をしない“ターミナルケア”のあり方を賞賛される。
しかし、「自分が今までやってきたことは、(患者の)家族と共犯した“安楽死”だよ」と吐き捨てる。
また、山中の妻から、苦しむ山中にモルヒネを大量に投与するよう求められるが、医師は拒否する。
その一方で医師は、「山中静夫」が人生の最後には「中島静夫」として、“素顔のままで”死にたいという願う意志を、最大限に尊重する。
逆に、絶食しようとする山中に対しては、“自殺”は止めましょう、と諭すのだ。
「尊厳死」と「安楽死」は違う、ということか。
もう少し深い意味があるはずだが、自分には今一つ理解できなかった。
「自分は大勢の亡くなっていく人を見てきましたが、人間はその人が生きてきたようにしか、死ねないのです」という、医師の言葉は胸に刺さった。
客観的には、映画館で観る必要のないタイプの作品とも言えるだろう。
しかし自分には、なぜだか、大画面でじっくり味わえて良かったと思えた映画だった。
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