「映像と前半は良かった」マレフィセント2 よもぎさんの映画レビュー(感想・評価)
映像と前半は良かった
前作は未観賞なのですが、CMや予告の映像の美しさに魅かれて初日に見て来ました。
開幕早々、壮大でメルヘンな大自然を飛行生物の目線でビュンビュン飛び回る大迫力の映像で一気に世界観に引き込まれます。
戦闘シーンではふつくしい黒翼とオサレなエフェクトで大暴れ。とてもカッコいい。
が、ストーリーの後半がどうしても好きになれませんでした。
中盤から「え、それはちょっと無いんじゃない…?」と思える描写が増えはじめ、結局最後までそれらが一個も解決されずに終わってしまった感じです。
●キャラクターについて
・オーロラ姫
脳みそ超絶お花畑。
終盤の合戦中、敵の首魁であるお妃さまの元へマレフィセントが辿り着いた所でマレフィセントを「争いはやめましょう」的な事言いながら妨害。
なんかお妃さまが被害者・暴走気味のマレフィセントが加害者みたいな構図ですけどそれまでの描写でお妃さまのクズっぷりがこれでもかと描写され、オーロラ姫自身も騙されていた事を思い知っているのにこの行動は何なん。
止めるなら寧ろお妃さま止めろよってのと、ここでマレフィセント止めれたとしてそのあとどうするつもりだったのかが謎。
クズ妃さまに「どうぞマレフィセント説得中の私を後ろから撃って下さいませませ」と言ってるような位置取りだなと思いながら見ていたら案の定撃たれた。
その後は我に返ったマレフィセントがオーロラ姫を抱き寄せてその場で180度回転して背中を撃たれるという、普通に助けるより難しそうなアクロバティック自殺を披露した事で助かりましたが、マレフィセントが死んで途端にビーストモードが発動したのか、「ヴゥゥゥゥゥ!」とか唸って妃さまに襲い掛かろうとして衛兵に抑えられる始末。
何がしたいんだコイツ。
・なんとか王子
序盤から「ああ、この王子が最後は架け橋というか、人と精霊が手を取り合うきっかけみたいな感じになるんだろうな」という雰囲気を醸し出し続け、最後まで何の役にも立たなかったボンクラ王子。見せ場が本当にない。全くない。
終盤までクズ母の事を信用しきっていて欠片も疑わない。
精霊虐殺パーティ開催中も部屋でのんびりしてる。
ようやく母の本性を知ったあとも特に停戦には貢献しない。弱った相手に剣を突き付けただけ。
・王様
そらお妃さまも愛想尽かすわ。
・お妃さま
言動は正直サイコパスそのものですけど、物語のいわゆる「悪いお妃さま」としての役割を考えると、最後にヤギにされた事も含めて期待通りの動きでした。
●ストーリーについて
一番気持ち悪かったのが停戦からエンディングまでの間。
唐突に登場し、都合よく無限量産された精霊特攻武器と完全な騙し討ちで大勢の家族や親友を失った精霊・そんな便利アイテムがありながらも圧倒的な個人戦闘力の差で大きな人的物的被害が出た事で内心めっちゃ精霊にビビってる人間。
そんな状況で「もう争いはやめましょう(>_<)」とお花畑ヘッド姫が宣言。
しかも「今から結婚式するから皆出席してね☆ミ」って
何言っちゃってんのこの子…。
さっきその手で誘き出されて全員出席して精霊虐殺された直後やぞ…
こんなぐっちゃぐちゃな状況がそれだけで納まるわけが…
と思っていたら倒れた人間を精霊が助け起こしたりなんやと試合を終えたラグビー選手のように先ほどまでの闘志が消滅。結婚式もノリノリで参加。
カオス!
何だこの世界。
「関係者全員が馬鹿でないと成り立たない話」という意味のイディオットプロットという言葉がありますが、これは関係者全員の脳みそがお花畑で鳥頭でないと成り立たない話ではないのか。
100歩譲って、「何やかんやあったけど、終わりよければ全て良し」で強引に纏めたいなら、せめて特攻武器で死んだ精霊は何か不思議な友情パワーで蘇って終わらせて欲しかった。
ついさっき特攻武器で殺された仲間の名を泣き叫んでいたのに、笑いながら殺した相手とパーティを楽しむ絵面。
狂気!
オーロラ姫にマインドコントロールでも受けてんのかこの精霊共