「例えるなら「有名タレントが今までのやり方そのままにYouTubeに乗り込んできた」」キャッツ くりあさんの映画レビュー(感想・評価)
例えるなら「有名タレントが今までのやり方そのままにYouTubeに乗り込んできた」
捨てられた主人公猫をそこに住む野良猫達が取り囲む。
猫達が浮き足立っているのには訳がある。
今日は天に登り生まれ変わる猫を一匹選ぶ日なのだ。
年に一度の特別な夜が始まる……。
舞台のキャッツは見たことがないが、生で見るミュージカルならこれで良いのだと思う。
会話はほぼ全て歌でなされて、圧倒的な歌とダンスの熱量で押し切られる。
舞台の延長線上にある映像表現は素晴らしい。
ボディスーツな擬人化は、賛否あるようだが大変良いと言える。
なまめかしい動きやポーズはダンサーの肉体美を感じられるし、ジェニエニドッツのムチムチぶりもキャラクターにあっていた。
耳や尻尾の感情表現も細かな神経が行き届いていた。
しかしだ。
これは生の舞台ではない。映画である。
舞台には舞台の、映画には映画の評価軸がある。
映像は、どうでもいいところ、むしろどうにかしたほうがいいところにリアルを追いすぎだ。
上品に言うと生々しい。下品に言うと汚い。
食べカスで毛皮が汚れるとか、泣いた後の鼻水がテカってるとか。
G食うとか。
ストーリーを見たら、グダグダのよくわらない脚本である。
各キャラクターの描写に全てが費やされており、通したストーリーはおざなりである。
小説のように文字で表現されたら、明確にいろいろ足りない。
生の舞台だからふさわしい脚本だったといえる。
観客に話しかける技法も舞台のものだ。
で、表題。
「どうだ、舞台ってすげーだろ?」と映画の文法を無視して舞台舞台舞台を押し付けられた感。
METライブビューイングの方が映画的に感じた。
星2。