「フランチェスカ・ヘイワードがキュート!」キャッツ LightDEENさんの映画レビュー(感想・評価)
フランチェスカ・ヘイワードがキュート!
舞台は観ていません。予告版も見ていません。
皆さんの評価・評判も全く知りませんでした。
ミュージカルはあまり好きではありません。『ウェストサイド・ストーリー』も『グレイテスツ・ショーマン』も、映画しか観ていませんが、いずれも好きではありません。
また、現実では、猫よりも犬の方が好きです。
舞台の「CATS」がロングラン公演の名作だ、ということしか知らず、内容もストーリーなどの予備知識も全く無く、ほとんど飛び込みのような形で観たわけですが、結構、楽しめました。
何といっても、捨てられたよそ者の子猫役のフランチェスカ・ヘイワードがキュートで観ていて飽きませんでした。
好奇心旺盛なキラキラした目や表情、すくめた肩や丸めた背中やしなやかな手足などの子猫っぽさ、名門英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルを張っているというバレエ・ダンス、耳やしっぽの動き(これは他の猫も同じですが)など、メイクの可愛らしさと相まって、これで最初から最後まで楽しんだ感じでした。
歌う場面が少ないのは、バレエダンサーで、きっと他の専門家ほど歌えないからだろうとも思いましたが、数少ない歌も、特に違和感を覚えるほど下手というほどでもなく、舞台ではなく映画なんだから十分と感じました。
歌曲も、オペラにありがちな、「詩に音と抑揚をつけて歌にしました」的な、メロディーや起承転結が初聴きでは解らないようなものではなく、馴染みやすいメロディで、歌謡曲・J-POPファンの自分でも楽しんで聞くことができました。
「ストーリーの中でなぜか突然歌いだしたり踊り出したりする」という点が、どうしてもミュージカルであまり好きになれない要素なのかなと感じていますが、この作品では、「個性的な猫達が集まり、自己紹介を兼ねた歌とダンスを披露し、長老猫が天上界に上る一人を選ぶ1年に1度の夜」という場面設定だとされていましたから、ずーっと歌い踊りっぱなしでも、違和感はありませんでした。
ただ、確かに、映画を見終わった後にここのレビューを読んでみると、他の方が指摘されているように、
■ゴキブリを食べるシーンは気持ち悪いし余計
■長老の救出劇は噴飯もの
■悪党が魔術で次々とライバルを消したのに(船に監禁していたのに)、最後に悪党が死ぬ(?)と、突然仲間のところに帰ってくるのは、仮面ライダーなどで、「怪人によって病気や悪人側の手先などになっていた人が、怪人が倒されると急に元に戻る」という設定と似ていて、大人向け映画としては今一つ
■孤独な猫グリザベラの過去を、もう少し描いた方が良かった
■ラストの天上界にグリザベラが上っていくところは、もっとCGらしくダイナミックに描いて欲しかった
■最後の、観客に向かっての「猫の扱い方」の歌は何だ
など、なるほどそうだよなとも思いましたが、初見では、特段酷いとも感じませんでした(猫だからゴキブリも食べるんだよね、きっと、など)。
また、「猫」なのに人間の身体のラインが出すぎで気持ち悪い、セクシー過ぎる、といった御感想もありましたが、舞台を観ていないと「そんなものなんだろ」という感じですし、もっと猫っぽいコスチュームにすると、せっかく映画で顔や身体がアップになるのに、役者さんの個々の魅力が伝わりにくいのではないかなと思われました。
むしろ、他の方の御意見を拝見しますと、恐らく、映画の方が、
■猫たちの表情がよく判った
■なぜ孤独な猫グリザベラが最後に選ばれたのか、伏線が判った
■よそ者の子猫ヴィクトリア(フランチェスカ・ヘイワード)の視点で描かれているせいか、哲学的過ぎず、解り易かった
などの長所もそれなりにあるのではないかとも思われました。
総じて、良い印象が残った映画でした。私は、観て良かったです。