「死因ファールボール」アルプススタンドのはしの方 なつさんの映画レビュー(感想・評価)
死因ファールボール
「しょうがないよ」
の、一言が冒頭
アスハとヒカルのダラダラトーク
全員強制応援に文句を言いながら人の少ない端っこに腰をかける。
野球なんて興味ないどころかルールすら知らない
取ったように見せてて落としたとか…?
迷宮入りだね…
そこに現れるのは元野球部のフジノ
少しずつ彼女達の質問に答えてつつやはり彼がいるのも端っこ。
野球部って偉そうだよね〜
そうそう…って顔をするフジノ
逆に演劇部の彼女達に話が向けられると急にぎこちなくなるヒカル
演劇部はいいところまでいってたが「しょうがない」述べるアスハ
フジノは元野球部だよね?
野球部にはエースのソノダがいる、そして自分より下手くそでも必死にがんばるヤノがいる。きっと態度のデカい奴らもいてたのであろう。
どちらにもなれなく部活を辞めた「しょうがない」
同じく端っこに立ち試合を見つめる真っ白な肌、いかにも「勉強枠」のミヤシタ。
こっそりエースのソノダに想いを寄せる彼は実は彼女持ち!
彼女は定期テストで1位常連のミヤシタを初めて2位に落とし1位を勝ち取ったブラバンの部長クスミ
彼女はいわゆるカースト上位
成績優秀、ブラバン部長、友人も多く、彼氏は有名人でしかも美少女
コミュ力もなく、自分にあるのは勉強だけ…それも奪われてしまった。
「しょうがない」
演劇部の大会で関東大会に出るはずだった時、インフルエンザにかかり出場できなかったことに負い目を持つヒカルにアスハが声をかけるのも「しょうがない」
熱苦しく声を張り上げ、端っこに座る彼女らに何度も一丸となって!と述べる先生。
そんな先生に逆ギレして、先生が応援したい場所はコーチ席でしょ!とミヤシタ。
確信をつかれてもそれを落とし込み、応援に拍車をかける大人である先生。自分に言い聞かせるように声を張る。
大人と子供の対比となって良かった。
大人は人生経験により「しょうがない」を受け流すことができる。上手く切り替えすことができる。
まぁ、できないこともあるんだけどね。
しかし、子供である彼女達は?
たくさんの「しょうがない」を受け止め、発散させる術を持たず体内にブスブスと悪く燻らせる。
後半からの会話はまるで彼女達の言葉が送りバントのようにお互いがお互いの一言により相手を塁に進めはじめる。
美少女クスミ
カースト上位でなんの悩みもないようでも彼女にも燻る何かがある。「しょうがない」
きっと応援演奏に彼氏の事を絡めて理解を示してくれない友人の事だろう。
それをミヤシタにぶつける。
全く場面が映らず「トレイントレイン」の曲で存在をアピールするソノダと下手くそだったのに送りバントとして登場し、大きな声援を受けたヤノ。
この野球部は「桐島、部活やめたってよ」みたいに存在しない存在感を持って彼女達の感情の変化を顕著にさせる。
いつの間にか並んで応援する4人。
立ち上がり声を張り上げ応援する
少しずつでも必死で野球部を前に進めようとする彼女達
願いは虚しく敗退となるも、たった一試合9回という短い時間で「しょうがない」を乗り切った。
トランペット(クスミ)に負けてるだろ!!
言われたミヤシタ。
負けじと声を張り上げ、最後にクスミにエールを送る
晴れやかな顔のクスミ。横にはやる気のあまりなかった友人の悔し泣き。ここでクスミも「しょうがない」を乗り越えた。
ここはとても印象に残った。
ありがとーーーー!!!と叫ぶ。
これが青春
ちなみに、プロには全く興味のない私でもこんな青春が詰まった高校野球は大好きです。