「勝気な恋人サフィナの存在が効いている」ガリーボーイ AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)
勝気な恋人サフィナの存在が効いている
貧しかったり、障害や悩みを抱えていたりと、なんらかのハンディキャップがある若者が音楽やスポーツに打ち込み、仲間と出会ったりライバルと切磋琢磨したりして、才能を開花させ人間的にも成長するというストーリーは、もちろん世界共通のスタンダード。本作もそうした類型をなぞるが、主人公ムラードの恋人の医学生サフィナが抜群にいい。
ゾーヤー・アクタル監督と脚本のリーマー・カーグティー(ともに女性)は本作の前にもたびたびコラボしてきたそうだが、サフィナのキャラクターはもともと独立した作品の主人公として構想していたとか。イスラム教徒の一夫多妻制、父権主義、親に決められる見合い婚など、インド社会における女性の生きづらさが描かれるが、サフィナはそうした因習と戦い、恋のライバルと戦い、幸福を自らの手で勝ち取ろうとする。格差社会における女性の自己実現という裏テーマが、この男性主人公の成功物語をより豊かにしている。
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