「悲しい宿命」ガリーボーイ Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)
悲しい宿命
自分はヒップホップのことは全く知らないし、興味もないし、日本語訳ではリズムしかつかめず、韻は分からない。
ただ、見事な“音楽映画”だったし、本場のラップにクオリティで負けていないだろう。
女性監督が、実に男臭い世界を描いたことにも驚いた。
とはいえ、最近、自分はインド映画を見過ぎているのだろうか?
新鮮な感動は得られなかった。
恋愛、貧富の格差、欧米崇拝的な嗜好、ハートウォーミングな話。
クサくて、予定調和な、“王道”を行くストーリーに、食傷気味な自分に気づいた。
興味深かったのは、この種のラップの“悲しい宿命”のようなものが、見て取れたことだった。
豪華なスタジオで収録したり、ミュージックビデオを撮影するのは、白々しくて気の抜けた炭酸飲料のように見えた。
むろん、いつまでも“ユーチューブに投稿”というわけにはいかないので、きちんと録音・録画する必要はあるだろう。
しかし、もはや、切れば血が出るようなフレッシュで、何が飛び出てくるか分からないような、危険でスリリングなものではなくなっていた。
完成度が高くなればなるほど、退屈になる矛盾。
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