ウエスト・サイド・ストーリーのレビュー・感想・評価
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スピルバーグ!・・☆
伝説のミュージカル映画。
・・しかし、あまりにも古い作品のリメイクにもなるので、どうアレンジするかと
思われたが、さすがにスピルバーグ監督、今風のアレンジ満載で新しい作品に
仕上がっている。
歌われる曲は、順番が多少前後したり 違う状況で歌われたりもするが、
違和感なく物語は、進んでいく。
どれもスタンダードになっているような名曲がばかりだが、それよりも
やはり 全般を通してのダンスシーンが素晴らしい。
冒頭のシャーク団のダンスを始めとして、どれも良いが個人的には
やはり、体育館の「マンボ」のシーンが良かった。
「アメリカ」も良いが、こちらは旧作の方が楽しめる感じかなぁ・・。
マリア役のレイチェル・ゼグラーの歌がとても良くて、それほど好きでは
なかった「トゥナイト」をこの映画で聞きなおした。
全編にわたって映像が美しく、カメラワーク等 さすがにスピルバーグ!
旧作のリタ・モレノがキャスティングにあったので、どんな人に・・と思っていたら、
新しく登場したヴァレンティーナを演じていた。
この役は、旧作ではドクというおじいさんだったような気がする。
リタ・モレノは、エグゼクティブディレクターにも名を連ねており、その拘りも
面白く鑑賞。
彼女が終盤に歌う哀愁おびた「サムホェア」。
時間の流れを感じる。
旧作を知っている自分には、比較するということを含めて、とても楽しめる作品
になったが、若い人もしくはこの作品で物語と出逢った人にはやはり古臭い
映画となってしまったのかもしれないが・・
スピルバーグが今、敢えて伝説のミュージカルを再映画化したのは、高額なパンフレットを売るためじゃない。
昨年、午前十時の映画祭で本当に久しぶりに1961年版を鑑賞。
何かわからないが昔観た時ほど感動できなかった。
敢えて今、時代背景や設定もそのままにスピルバーグが再映画化する理由もわからなかった。
今作を観て感動した。スピルバーグが再映画化した理由もわかったような気がした。
多分、その理由、分断とか移民とか演者とか、いろんなことが書かれているであろうパンフレットは高すぎて買えなかった。
パンフレットを買って読んで知識を得て、あぁもう一度観てみよう。という観客を拒んでいるとしか思えない。
映画配給会社の人、リピーター増えませんよ。
今、この時代にスピルバーグが多くの人々に伝えたいメッセージが、一部のミュージカルファンの方にしか届かなかったら残念です。
作り手のオリジナルに対する敬意が、オリジナルを超えさせたんだと思う。
多くの人に観てほしい素晴らしい作品です。
個人的にはハッピーエンドのミュージカルが好きですけどね。
アニータが一番正しく優しく美しい
話の流れとかは原作に忠実な感じ。
リメイクと言うよりスピルバーグ監督が自分なら大好きな映画をこんなふうに撮りたいってのを実現したって事でしょうか。
趣味の世界でしょうね。
当時の雰囲気、素敵なダンス、素晴らしい歌声。
いいですよねー。
マリアがアンミカにしか見えないが。
ポーランド系移民ギャングVSプエルトリコ系移民ギャング
2つの移民不良グループが縄張り争いをしてる中、その両チームの男子と女子が恋に落ちて、、、
ってお話だけど、1960年代を再現してるだけあって古臭かったりチープに感じるシーンが多々あるけど音楽とダンスのシーンは素晴らしい。特にヒロインの歌声が素敵。
前半の陽気で楽しい雰囲気とは違って後半はけっこういたたまれない、、ミュージカルはやっぱハッピーエンドがいい★
移民の文化がない日本人や、ある程度の時代背景やその地域の状況のことがわからない人にはあまりハマらないかも、、?
スピルバーグの作品への愛が詰まった本作
私世代の、特に男性には一定割合で「ミュージカル(映画)は苦手」という人がいます。私も過去は、ほぼ「食わず嫌い」にもかかわらずその印象を持っていました。しかし、近年に製作されたミュージカル映画を観てみると、あの印象は何だったのかと思うほど感動しながら観ていることが多いのです。
今回、スピルバーグ版『ウエスト・サイド・ストーリー』を観るにあたり、61年公開の『ウエスト・サイド物語』を事前に(初)鑑賞して挑みました。比べてみると、私には断然スピルバーグ版の方が「しっくりくるシナリオと展開」と「アップデートされた音楽とダンス」に満足できました。
序盤のJetsによるフィンガースナップ(指パッチン)しながら街中をダンスして歩く『ジェット・ソング』、トニーとマリアが出会うダンスパーティーにおける『マンボ』、象徴的「ロミ・ジュリシーン」である非常階段での『トゥナイト』と、名曲、名シーンが続きます。そして、私が一番印象に残ったのが『アメリカ』を歌いながら弾けるように踊る、アニータを演じるアリアナ・デボーズ。これは圧巻です。
そして、後半にはリタ・モレノ演じるバレンティーナによる『Somewhere』が、“きっとどこかに私たちの居場所がある”という未来への希望が歌われます。リタはクシュナーのアイデアで、『ウエスト・サイド物語』におけるJetsとSharksの中立地帯としての「ドクの店」の店主、ドクの未亡人バレンティーナという設定で出演しています。そして、そのリタこそが『ウエスト・サイド物語』でアニータを演じ、アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞しました。今回のアリアナも同じ役で受賞が有力視されており、賞の発表を非常に楽しみにしています。
トニーとマリアの身長差に胸キュン
「ウエスト・サイド物語は教養として見ておきなさい」中学か高校の時の教師に言われた言葉を覚えてる。結局、10数年経ってからの2019年のリバイバル上映で旧作は一度見たっきり。わたしは音楽とダンスシーンが鮮明に残っていたため、ストーリーの細かい部分はうろ覚えだが、今作では旧作を踏襲しながらも現代版として再構築していると思う。
あのスピルバーグが初めて手がけたミュージカル映画、それもミュージカルの金字塔のウェストサイドストーリー!これは見逃しちゃダメでしょ?と気合い入れて見に行きました!
「タタタ、タタタ、タン・タン・タン」6/8 拍子で奏でられる『アメリカ』のアフリカリズムが、見終わった後も頭の中で鳴っている(これ聴くとその場で踊り出したくなるんだよね)。
個人的には今作のリメイク版の方がわたしは好き!
もちろん、スピルバーグが手がけたという色眼鏡もあるけれど。。。歌、ダンス、衣装(色の組み合わせ)、色調、カメラワーク、キャスト、セリフ、どれをとっても申し分ない。感嘆のため息が出っぱなし。
本作の物語を深く掘り下げると当時の時代背景や歴史、はたまた哲学的なことにも辿り着き、書くとキリがないんだけど、旧作今作ともに、とにかく歌とダンスが圧倒的に素晴らしい!
洗濯を干すところから始まり街中で踊り舞う「アメリカ」のシーンにおいては、今作が余裕で圧勝!また、トニーとマリアが初めて出会うダンスパーティー、決闘に向かう前のそれぞれの大合唱シーンには、感情が沸き立ち全身からアドレナリン大放出!もーう、たまんない!
アニータ演じるアリアナ・デボーズはブロードウェイ俳優だけあって歌はもちろんダンスもキレッキレ、存在感も◎。
また物理的には“女”であるが、仲間として活躍していた男性(女性)の存在も際立っていた。このような性的マイノリティの描き方も“現代版らしさ”がある。
“ロミオとジュリエット効果”によってより燃え上がる男と女、国や肌の色によって対立する人、居場所を求めて闘う人たち、ずっとずっと昔から人間の行いや本質は何も変わらないんだと実感した。そしてコロナ禍、今まさに私たちは分断されている。だからこそ、より響くんだろうなぁ、この不朽の名作が。あっという間の150分だった。それにしても、トニー演じたマンセル・エルゴートかっこよすぎ。
エレガントなクラシックさらに上質に!
大衆文化の志向や観念的なものは変化し続けるが、絶えずエンターテイメントから得られる浮遊感、喜びの推進力は渇望し、乾いた日常に至福の表現を求めているかのようだった。
映像美
私は勿論、前作を観てますが、前作を観てなくてこの作品を観る人が羨ましいです。どうしても比較して観ます。まあ、それはそれでの楽しみもありますが。結局スピルバーグは、この作品の原理原点を忠実に描いたんでしょうね。しかし、彼、洒落っ気ありますね。アメリカのシーンが終わって直ぐのシーン、いきなりリタ・モレノが出てきたのには思わず笑いました。あれ、間違いなく彼のギャグだと思います。
ホラー映画
バースタインの音楽、素晴らしい歌、ダンスに、キャストもよし。
ただ自分にはホラー映画でした。
誤解の連鎖、悪い予感しかしない展開、救いのないラスト。ホラー映画の要素が全てある。
ミュージカルは好きなのに、この作品だけは新旧とも好きになれない理由はそれです。
スピルバーグ自身によるエンディングロールは見ものです。
また観たいと思う楽曲の良さ
オリジナル版はかなり前にテレビで1度見ただけです。「ウエストサイド・ストーリー」は有名なミュージカルなので、観る前からこれが現代版ロミオとジュリエットなのは知っていたし、曲も”Tonight”や”America”は知っていました。だから当時は、”Cool”などの歌やダンスはカッコいいと思ったものの、不良グループの勢力争いに巻き込まれる男女のラブストーリーにはそれほど惹かれなかったです。
でも今回スピルバーグ作品を観て、当時はただ不良少年としか思わなかったけれど、移民が置かれた不安定な立場、白人の中で最も貧しい人々の鬱憤などが理解できて、彼らがまとっているピリピリした空気とか実は傷付きやすい心なんかも伝わりました。
また、1度しか観ていないのに曲を結構覚えており、改めて、人の記憶に残る名曲揃いだと思いました。
1961年というと61年も前なのに、全然古臭くないです。そして本作ではダンスの方はストリートっぽさが増して、見せ方は今風になっています。
”America”・・・(アメリカ人はタイトルに”アメリカ”が付く曲が大好きです)すごくいい曲だったんだと気が付きました。ダンスもお芝居も満足です。
アニータ姐さんを観るべき映画!
舞台は何度か観たことがあったけど映画にするの!?と懐疑的だったので観るつもりはなかった本作品。でも何度も観る予告の「今年度アカデミー賞最有力候補!」の文字や公開後目にする自分の信頼するフォロワーさん達の賞賛するレビューを見て、「そんなに良いならちょいと観てみよっかな??」と自分の直感に反して観賞。
やはり、自分の直感を信じるべきだった😅
主役の二人の声の相性はとっても良いけどトニー自身は歌うまとは言い難く、二人の出会いのシーンでは昔どうぶつ系ドキュメンタリーで見たようなどっかの鳥の求愛行動さながらの謎ダンスに吹き出してしまい、かと思えばおとなしかったはずの女子から積極的にチューしたり、チューされた男子はいきなりストーカー化して家まで押し掛け、出会った翌日にはお互いに『愛してる』ってなんぢゃソリャ💦💦💦
いくら現代版ロミジュリったって出会って終わるまで2、3日ってあまりに時間かけなさ過ぎでしょ……
アニータ姐さん以外共感できる人物が一人もおらず、ひどく残念な気分になってしまった(´;ω;`)なぜにスピルバーグ氏は今更これをまたしても古めかしく撮ったのかしら??
曲は素晴らしいと知っていたからDolby Atmosをチョイスした事だけが良かったかなー☝️
スピルバーグって映画撮るの上手よね
61年版の「ウエストサイド物語」は子供の頃にテレビ放映を見た……と思うけど正直うろ覚え。
ただ、確か物語の基本設定は同じだけど、「若者の不良化」の方にスポットが当てられてたと思う。
スピルバーグは物語や設定はそのままに、前作の不良たちの、ホワイト・トラッシュとプエルトリコ移民という両者の背景の方にスポットを当て、物語と歌や踊りをシームレスに繋ぎながら、街を舞台にすることで前作以上にミュージカルシーンをよりダイナミックに、かつ立体的にリメイクしてみせた。
さらにジェット団もシャーク団も、ジェントリフィケーション(再開発による都市の高級化)によって、近い将来居場所を奪われてしまうことが冒頭で分かるようになってて、両者が社会的弱者である事も分かる。
本作の制作を最初に知った時は「なんで今さらこの作品を?」って思ったけど、観終わってみれば確かに現代の物語だったことが分かる。
そして、物凄く当たり前だけど、やっぱりスピルバーグは映画を作るのが上手だと、改めて思い知らされた。
誰もが?知る過去の名作を…
まっ,他の人が語ってる事と重複して居たらすみません。
言わずと知れたこの作品の人選は、そりゃそうだろうなぁ〜❗️
オーディション云々等にも時間を掛けても,当たり前だろう❗️ 唄も旨いのも当たり前だろう❗️ 元は,1961年?どうもいかんせんかなりにも古いものな訳であり…。
私的な事をしょっちゅう勝手な事を言っているので,言っちゃいます❕
初めのベースがあるものに対して,その上を行くのは非常に難しい&(年齢の事では無く)役に負けていやしないかい⁈,役に未だ嵌(ハマ)り切って居なくないかい⁈と,最初から感じた次第でありまして…<すみません,観てる側として,勝手な事を言っちゃっている⁉️ 悪しからず…。
アニータが主役(個人的に)
話の顛末だけは知ってましたが思った以上に入り込めず。もちろんダンス、歌、最高でしたけど。
スピルバーグと思うからハードル上がってたのもあり、本来なら星3つとしたいところですが、アニータが素晴らしかったし、なんならアニータが、主役だと思えば話としても深くなるのでプラス星半分しました。
こんなに面白かったっけ
劇団四季の舞台を何回も観たことがありましたが、年齢を重ねたせいなのか、大人目線で感じるようになっていてとても新鮮な気持ちで観た。
楽曲に高まり歌声に高まりキレッキレのダンスに高まり…鳥肌が立ちっぱなしだった。
現代に通じるメッセージがこんなにもあるのか、と感心したし、随所に作品へのリスペクトが感じられた。
長尺なのにあっという間で、シンプルに面白かった。
舞台を見ていた時は楽曲やダンスの素晴らしさに感じることが多く、面白かった、という感想は出てこなかったので、これもまた新鮮な感覚だった。
舞台ではああだったが映画ではこう見せるのかなるほど!と思うシーンも多々ありよかった。
古き時代のアメリカを最新の映像で味わう
味わいのある時代のニューヨークが舞台の本作品。
素晴らしいのは、名曲がずらり並ぶナンバー。それなりの年代の当方は、風景と音楽に心躍りました。
前作の「ウエスト・サイド・ストーリー」のリメイク版ということで、巨匠スピルバーグならこれくらいまで描いてくれるだろうと期待通りの映画でした。
でも期待以上、ではなかったです。
前半は群舞が繰り返され、あろうことか当方は寝落ち。
トニーの登場ではイメージと違う現代的な顔立ちの俳優が出てきたことに驚き、マリアとの出会いの演出には失笑してしまい。
映像は豪華で綺麗です。カメラワークも圧巻です。
でも悲しみの場面、緊迫感のある場面などはもっと繊細に、ミュージカル映画だからこその強弱がもっと欲しかった。終始ガチャガチャしている印象でした。(当方、ミュージカル映画は好きな方です)
前作やベースになっている「ロミオとジュリエット」とどうしても見比べてしまいます。前2作品ともストーリーと世界観は素晴らしかった。
初見で見るひとには結構な感動を与えられる本作品かもしれません。
最近の映画は2時間越えが多い
始まりからなんだかワクワクする様な感じ。
やっと出て来たトニーとマリアが出会うシーンはときめいた。けど途中からこのシーンはいる?早送りしたくなった。トニー、アンセルエルゴートは立ち姿からミュージカル向きでは無い。(割と好きな俳優さんだけど)
トニーと言うからにはトニー賞級の人がいいな。前作のジョージチャキリスは映画のポスターでもその才能を充分に魅せている。
そもそもウエストサイドストーリー自体が
現代のニューヨークのロミオとジュリエットを作りたかったはず。
ならば似たようなリメイクを作るのではなくて今のウエストサイドストーリーを作れば良かったのに。
何十年も前の同じ様なリメイクなら全てがアップデートされている現在に前作越えは当たり前。
マリアは時々可愛くも見える。オデコ隠した方が良いのでは?
この作品の中でアニタ役のアリアナデボーズだけが光ってた。
これからも語り継がれる物語(ミュージカル)
長年ミュージカルを撮りたがっていたスピルバーグ。念願叶って、初めて歌い踊る。
しかし、手掛けるのはオリジナルじゃない。リメイク。しかもよりによって、ハリウッド・ミュージカルの至宝の一つ『ウエスト・サイド物語』…!
誰もがこれを聞いた時、驚いた筈。だってオリジナルは、アカデミー10部門に輝く名作中の名作。それをリメイクする必要性はあるのか…? 『ベン・ハー』の悪夢が嫌でも脳裏に蘇る…。
もしやっちまったら、大失敗どころではない。スピルバーグ自身やオリジナルに傷が付く。
絶対に手を出してはならない神聖な領域レベル。
キャリア史上最大であろうプレッシャーに、当代きっての名匠は見事に勝った…!
新たな魅力に満ち溢れて、『ウエスト・サイド物語』が鮮やかに、今再び踊り出した。
と同時に、往年のハリウッド・ミュージカルを見ているようなクラシックな雰囲気、味わい。
新しいけど、古典的。古臭いけど、新鮮。
現代的な要素を取り入れつつ、“かつての時代”へ連れて行ってくれる。
そのバランスの絶妙な事!
ミュージカル映画は今も作られ続けているが、往年のようなミュージカル映画を見る事は今となっちゃあ皆無。夢のまた夢…。
しかしそれを、魅力たっぷり堪能させてくれて、それだけでも感激ひとしお…。
ストーリーはオリジナルをほぼ踏襲…と言うか、丸っきり同じ。(なので、あらすじは割愛)
オリジナルへの敬意に感じたし、それに本作の場合、ヘンに脚色や改変しない方がいい。してしまったら、オリジナルの持つ全てが台無しになってしまう。
本作でも克明に、争う事の愚かさ、憎しみの連鎖、悲しみと末の悲劇が描かれている。
個人と個人なら、喧嘩。集団同士だったら、抗争。ジェッツとシャークスはこれに当たる。
それが憎しみ/対立深まると、より大きな惨劇…戦争へと発展していく。
不良グループの抗争だけに非ず。分かり合おうとせず、そこに人種の問題も絡め、これはもうしっかり訴える戦争の縮図だ。
スピルバーグは戦争映画を多く撮り、『ミュンヘン』では報復の虚しさを訴え続けてきた。
偶然か必然か、『ウエスト・サイド物語』のテーマはスピルバーグにぴったりだったのだ。
ミュージカルに移民や人種などの社会的問題を織り交ぜたオリジナル。
それは人種の多様性が求められる現代にこそ通じ、オリジナル以上に強く描かれていた。ここが、現代ならではの視点。
ジェッツとシャークス、警官や街の住人から迫害や偏見を抱かれているのは、やはりシャークスと感じた。シャークス…つまり、プエルトリコ移民。結局は移民。この国の者ではない、よそ者。
彼らだって、好きでこの国に居る訳ではない。“自由の国”とは名ばかりの“偽りの国”に。
それでもここで暮らしている。自分たちにだって自由がある。誇りがある。ここで生きていく。
ジェッツ側は言わば、今を生きる若者たちの体現だ。
何故彼らは性懲りも無く非行に走る…?
分かってくれない大人、息苦しい社会への鬱憤、反抗、抵抗。彼らなりの訴えであり、闘い。
そんな事でしか表せないなんて、愚かかもしれない。
が、漲る今だけの若さの力を、大人や社会がずっと押し留める事など無理。
必ず若者たちは、自分たちの力で行動する。
俺たちの声を聴け。
どちらにも言い分や非はある。どちらが良い/悪いかで決められない。
ただ悲運な事に、両グループはぶつかってしまったのだ。この国で、この街で。
分かり合おうとせず、対立し合う両グループ。
そもそもそれは、彼らを受け入れ理解しようとしない大人や社会の責任や問題でもある。
対立の果てに招いてしまった悲劇。それは彼ら自身の愚かさ故でもあるが、彼らもこの息苦しく狭い社会の一角の犠牲者なのだ。
頼むから社会よ、大人たちよ。前途ある若者たちにこんな悲劇を演じさせないでくれ。
オリジナルのクライマックスも非常に胸打たれたが、スピルバーグのヒューマンでドラマチックな手腕が存分に活かされ、より深みのあるものになった。
そんな悲劇の一方、愛し合う事の美しさ、自由への訴え、各々や自身のルーツへの尊さ、誇りが輝きを放つ。
本作でも彩ってくれる名曲やダンスと共に。
オリジナルでは『マリア』が特に印象残ったが、本作では『トゥナイト』と『アメリカ』が非常に印象に残った。今も頭の中でリフレイン中。
『アメリカ』はベルナルドやアニータら移民たちと街そのものが躍動しているかのよう。
『トゥナイト』は劇中、2回。序盤のトニーとマリアのロマンチックなデュエットと、中盤の決闘と各々の思いが交錯する前夜。同じ曲でも印象が大きく違った。
劇中曲はレナード・バーンスタインのオリジナル曲を、デヴィッド・ニューマンがアレンジ。開幕はオリジナルと同じあのメロディーが流れ、それだけで気分は『ウエスト・サイド物語』!
本作の最大の魅力の一つと言っていいのが、オリジナルに負けず劣らずのフレッシュなキャストたち。
特に、女優陣が秀逸。
オーディションで選ばれ、スピルバーグ監督の本作でいきなり主演デビューの“シンデレラ・ガール”。新星レイチェル・ゼグラーの魅力と歌声にメロメロKO!
オリジナルのナタリー・ウッドも美しかったが、マリアはプエルトリコ移民の子。白人のナタリー・ウッドが演じるのにちと違和感あったが、今回はラテン系のレイチェルがスペイン語でも歌い、しっくりくる。勿論、彼女の今後の活躍も楽しみ!
オリジナルではリタ・モレノが演じ、オスカーを受賞したアニータ。確かにアニータは旨味のある役だ。陽気で、ユーモアも担当。ベルナルドの恋人で、マリアの友人。自らも恋する女であり、良き理解者。が、愛する人を失い、マリア以上に悲劇性や憎しみを請け負う。
ブロードウェイからの彼女も新星。アリアナ・デボーズが存在感のある好助演と、パワフルな歌やダンスを魅せる。今回、オスカー助演女優賞の最有力。納得!
オリジナルのアニータ役、リタ・モレノの出演はオリジナルファンには感涙ものだろう。例えるなら、『シン・ウルトラマン』に桜井浩子が出演するようなもの。
単なるオリジナルリスペクトのゲスト出演ではなく、しっかりとした出番と役回り。オリジナルでのドクの位置。若者たちの時に理解者であり、時に嘆く。まるでオリジナルキャストが彼らを見守ってくれているように感じた。おまけに歌声も聴かせてくれる!
オリジナル以上に女性たちの姿が映し出され、“Me Too運動”の現代ならでは。
女優陣に比べると、男性陣はちと華に欠けたかなと。
ベルナルド役のデヴィッド・アルヴァレスはラテンのワイルドな魅力に溢れているが、オリジナルのジョージ・チャキリスの方が圧倒的にカリスマ性があった。
今回の若手キャストの中で唯一映画界でキャリアあるアンセル・エルゴートが演じる新トニーは、オリジナルのリチャード・ベイマーより陰あり。刑務所帰りという新たな設定となり、ただの好青年ではなく屈折したキャラ像を与えた。
『ベイビー・ドライバー』で音楽との相性の良さを見せたエルゴート。本作では直に歌声を聴かせる。
若手男性キャストたちもアンサンブルで、歌やダンスを披露。
丸っきりオリジナルと同じでは勿論無く、トニーの新たな設定などアレンジや変更、新解釈も。
オリジナルのまず最初の見ものであった空撮の開幕。本作も一応空撮から始まるが、対象物が違う。オリジナルではNYの風景だったが、本作では撤去されるスラム街。これだけで一つのテーマを表しているような気がした。
ファーストシーンのジェッツとシャークスの鉢合わせ。オリジナルではいがみ合いだけだったが、本作では乱闘や街中チェイス。アクション演出ならお任せ!のスピルバーグならではの疾走感あるシーンに。
カメラが街に繰り出したロケーションは、オリジナルの最大の魅力の一つ。本作ではスピルバーグの“眼”と言って過言でもないヤヌス・カミンスキーによる躍動感あるカメラワークやきらびやかな色使いが素晴らしい。
まるで1950年代のNYにタイムスリップしたかのようなロケーション、美術。衣装も洗練された豪華なものもあれば、着崩れしたようなリアリティーも。
スピルバーグ常連や新参加のスタッフによる名仕事ぶり。…いや、スタッフたちも一緒に歌って踊っているのだ。
さすがにオリジナルを超えた!…は言い過ぎかもしれないが、これほどオリジナルの魅力を損なわないリメイクは稀有。
昔オリジナルを見た人が感動したように、今我々も、胸打つストーリー、訴えるテーマやメッセージ、ミュージカルの醍醐味、スタッフ/キャストのプロフェッショナルさに再び感動する。
大迫力のアクション映画やSF映画は劇場大スクリーンで観てこそだが、本作もまたそう。公開延期を経て、劇場大スクリーンで見れて良かった。至福の時。
この醍醐味と魅力を、劇場大スクリーンで是非!
これからも語り継がれる物語(ミュージカル)。
今だから、リメイクされる意義がある
ニューヨーク版ロミオとジュリエットとは聞いてはいましたが、ほぼまんまじゃん!(笑)
61年に公開され、翌年のアカデミー賞を獲得した名作ミュージカル映画のリメイク。
スティーヴン・スピルバーグがミュージカルを撮ったというのも新鮮ですが、ロッテントマトでもかなり評価が高いのでかなりな期待値をもって観賞しました。
期待以上とまではいきませんが、結構面白かったです!
基本的にミュージカル映画の魅力というのは素晴らしい歌とパフォーマンスだと思っています。
これがあれば、ストーリーが普通でも大概はカバーされます。
まず、主人公の仲間やプエルトリコ人達の社交ダンスのシーン。
ジャズのビッグバンドをバックに、そんなに広くないホールで大人数がぶつからずに男女ペアで社交ダンスを踊る場面は「これぞエンターテイメントだ!」と声に出したくなるほど圧巻でした!
スピルバーグは娯楽映画の名手だけあって、エンターテイメントとしてのミュージカルの魅力を充分理解している方と解って嬉しかったです。
また、主演の二人の歌唱シーン。
トニーを演じたアンセル・エルゴートは今回初めて歌う場面を観ましたが、あんなにミュージカルに合う歌声を響かせる事が出来るとは思わなかったです。
マリアを演じたレイチェル・ゼグラーの歌唱力も凄く、ハイトーンの響きが心に沁みました!
今作の舞台はニューヨークで、ヒロイン含めた親戚や兄の仲間はプエルトリコの移民という設定でした。
リメイク前の原作映画は、プエルトリコ人の俳優を起用出来なかったそうですが、今回スピルバーグがプエルトリコ人の俳優に拘ったそうなので、そこに関してはリアル重視でした。
ストーリーに関しては、移民における人種差別を描いていました。
40年前の映画でも描いていたはずの問題が未だにアメリカにある事にある種悲しさを感じますが、だからこそスピルバーグは未だ続いてる今のアメリカの情勢を感じて今回リメイクに踏みきったのだと思います。
そういう意味では、リメイクする意図が大いに感じられました。
人種間の対立や男女における価値観の違いや偏見をテーマに盛り込んでいるので、コミカルな場面やロマンチックな場面はありつつ描写は重いです。
ただ、人間のどうしようも無さや刹那的な衝動等を描いているので、多くの登場人物に共感が生まれます。
ただ、肝心な主人公とヒロインの恋愛描写に関しては正直弱かった気がします。
ディズニー映画もそうですが、傑作の恋愛映画は、基本的に男女が出会って良い感じになり結ばれるまで少し時間をかけることが多いです。
ただ、今作に関してはトニーとマリアが出会ってそうそう良い感じになってキスしてしまうので異様に早いです!
いやいや、「寝ても覚めても」じゃないんだから!(笑)
それから、説明的な台詞も多いです。
今作に関しては世界観を理解するためにある程度必要だとは思いますが、当時の街の様子は冒頭に文字で説明するなどの工夫はしても良かったんじゃないか?と思いました。
いろいろ気になった部分はあるものの、ミュージカル映画として、エンターテイメントとして、面白いものとなっていました!
(余談)
日本の映画製作者の皆さん、ミュージカル映画を作りたいのならこのウエスト・サイド・ストーリーを観て勉強してください!
クルクル、ジャンプ、ヒラヒラと
前半のダンスシーンが長くて、ウトウトしてしまった。
1961年の映画は未見だが、1度は耳にしたことのある名曲が流れるたびに興奮した。ラストはそうなるだろうなと思っていた通りだったが、泣いてしまった。
ただスピルバーグがインタビューで、ミュージカルの中に入り込んでいるような臨場感や迫力を出すようカメラワークにこだわったと言っていたが、それって必要だったのかな?
例えば「レ・ミゼラブル」では、舞台版にはない船を引っ張るシーンや、革命の群衆が歌うシーンが、映画ならではのダイナミックな演出で楽しかった。ウエストサイドストーリーの舞台版と1961年の映画を観ていれば見せ方の違いがわかって面白いのかもしれないが、歌のないダンスシーンが続くと飽きてしまった。「インザハイツ」と背景が似ていたが、ダンスはあちらの方が観ていて楽しかったと思う。
映像と音楽と動きの楽しさでいえば、ジョーズの迫る背びれや、ETの飛ぶ自転車、インディジョーンズのトラックでのアクションの方が勝っていた。
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