「再開発に揺れるスラム街。対立するグループの抗争に砕け散った恋人たち。」ウエスト・サイド・ストーリー 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
再開発に揺れるスラム街。対立するグループの抗争に砕け散った恋人たち。
言わずと知れた1961年作の『ウエストサイド物語』のリメイク映画です。
若者グループの抗争と、たった2日間で終わってしまった恋を
歌と踊りで綴ります。
街を縦横無尽に占領して踊る狂う
スラムの不良グループ《ジェッツ=ポーランド系移民》に
対抗する《シャークス=プエルトリコ系移民》
2つのグループの覇権争いと、ジェッツに属するトニーと、
シャークスのマリア。
一目で恋に落ちた2人はグループの掟と兄ベルナルドに強く
反対される。
「ロミオとジュリエット」をモチーフにしたストーリーです。
プエルトリコ移民もポーランド系移民もスラムを取り壊されて、
将来に大きな不安を抱えている。
警察は彼らを追い出そうと圧力をかけまくります。
冒頭から映されるのは瓦礫の山の工事現場なのです。
若者たちのエネルギー。
踊らずにはいられず、
喧嘩せずにはいられない。
マリアもトニーも恋しちゃイケナイと分かっているのに、
止める事が出来ない。
ともかくエネルギーが渦巻いている。
スティーヴン・スピルバーグ監督初めてのミュージカル映画です。
それも当時アカデミー賞10冠に輝いた名作。
音楽は20世紀を代表する指揮者で作曲家でピアニストの
レナード・バーンスタイン。
作曲はバーンスタインだし、作詞はスティーヴン・ソンドハイム。
流れも殆どそのままですし、ストーリーも
ガッツリ決まっているし、有名な楽曲を殆ど入れるのだから、
スピルバーグ監督はやりにくかったと思います。
自由に采配する余地が殆どありません。
挿入歌は、
“ジェッツが一番だ“とストリートで躍動して歌い踊る、
「ジェット・ソング=JetSong」
トニーが、“今晩たしかに何かが来るかも知れない“と歌う
「何かが起こりそう=Some thing'sComing」
夜10時の「体育館のダンス」
華やかに広がる女性たちのドレスがマンボのリズに乗せてダンス合戦。
マリアにチノが「さあマリア」と声をかけて、トニーは彼女の名を知る。
そしてトニーが歌う、
「マリア=Maria」
は、恋の始まりの怖れと喜びに震える心を現す。
そして何よりのハイライトは、
トニーとマリアは夜の街の再会を待ち侘びて、
アパートのベランダで歌う。
「トゥナイト=Tonight」は圧巻。
(60年経ても色褪せない名曲バラード)
そしてアメリカに住む自分達のアメリカへの愛と
嫌悪の入り混じった、
「アメリカ=America」
翌日。お昼の12時。
シャークスを待つジェッツが“落ち着いて振る舞え“と歌う、
「クール=Cool」
そして他にも、
「ワンハンド、ワンハート=OneHand、OneHeart(ひとつの心)」
「アイ・フィール・プリティ=I Feel Pretty」
「サムウェア=Somewhere(恋は永遠に)」
そのいずれかを聴いたことのない人はいないでしょう。
それほどの名曲揃いです。
それにしても情熱的なマリア。
一目惚れしたマリアは飛びつくようにトニーにキスをします。
そしてあまりにも愚かなトニー。
何故、あの時ナイフを拾ったの?
守るべき恋人が出来たその時、男の子は大人に成長して
もっともっと臆病になるべきなんだよ。
(ヒーローになんか、もうならなくていいの!)
1961年の映画はブロードウェイ・ミュージカルの舞台を
元にしていますので、
途中、舞台的な装置が多々あります。
2022年の本作はストリートの広さを遺憾なく利用して、
ストリートを縦横無尽に踊る青年の群舞がアクロバチックで
見応えあります。
オリジナルのジョージ・チャキリスのように空まで高く足を
上げないけれど、その分、スピンがかかってダイナミックですね。
トニーとマリアの燃え上がる恋。
トニー役のアンセル・エルゴート。
甘い声の歌唱とスラリと背が高く美しい、
けれど今一歩圧倒的な魅力には欠ける。
マリア役のレイチェル・ゼグラー。
素晴らしくキュートです。
そして有名なシーン。
3階のベランダにいるマリア。
下からスルスルと鉄の階段を登っていくトニー。
そして歌うデュエット「トゥナイト」のシーンです。
もっともエモーショナルなシーン。
この映画。
もちろんベースは悲恋「ロミオとジュリエット」だけれど、
主役は街。
「ウエスト・サイド・ストリート」という題名はどうですか?
どうせなら、スラム街をぶっ壊すダンプカーやショベルカー、
ビルの爆破や解体の映像で終わるのなんかが、
新しく生まれ変わるニューヨークを予感させて、
良かった気がします。
琥珀糖さん(^^)/
こんばんは
ごめんなさい
今、気が付いて・・・
共感&コメントを
ありがとうございました。
12月も半ばになりましたね。
この名作のリメイクも
感動しました。
リタさん・・・ご出演嬉しかったですね。
「トゥナイト=Tonight」も最高でした。
「アメリカ=America」も躍動感で
感動したものです(´▽`)
スピルバーグ監督の夢が叶った作品ですね。