劇場公開日 2022年2月11日

「なくなった運動場」ウエスト・サイド・ストーリー コショワイさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0なくなった運動場

2022年2月12日
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鑑賞方法:映画館

1 ニューヨ−クのスラム街を舞台に、2つの不良少年グループの抗争と禁じられた愛の行方を描く。ブロードウェィミュージカルの二度目の映画化。

2 1961年版の前作から半世紀振りの再映画化となった。時代背景やメインスト−リ−は概ね前作と変わりはない。その中で、佳曲揃いのナンバーや切れの良い群舞に彩られたシ−ンはやはり心に刺さる。とは言え、前作をTVで初めて見たときのインバクトに比べれば感動は少ない。とりわけ、ク−ルのナンバーは、前作と本作では入るところが違っていたが、群舞の迫力と完成度は圧倒的に前作が優っていた。

3 前作は、舞台版も手掛けた演出家が共同監督となり、セットを活かした舞台ミュージカルの趣きがあったが、本作はカメラワークや空間の使い方がより映画的であった。
 2つの映画版の大きな違いは、決闘の目的の明確さにあった。シマを巡る争いに違いはないが、前作は運動場の争奪であった。しかもファ−ストシ−ンとラストシ−ンも運動場であり、舞台としても効果的に使われた。これに対し、本作は、シマは特定されてはいない。しかもこの街には、居場所はなくなるとさえ言っていた。どちらが先に出ていくかみたいなこととなる。こうしたことから、どこでもない夜のストリート上でラストを迎える。味気ないものとなった。

4 スピルバーグの演出では、決闘で使うための銃の扱いや決闘場所を尋問するための警察署の場面などサラリと流せば良いところをもたついていたり、国籍や言語にこだわりすぎていた印象を持つ。

5 俳優ではリタ・モレノの扱いは敬意を示したものであり、効果的な役どころとなった。
マリア役は目が印象的なラテン系の女優を抜擢したが、前作のナタリ−ウッドの美貌にははるかに及ばなかった。

コショワイ