「光と影、上から下から存分に100点満点の演技を楽しむ」ウエスト・サイド・ストーリー momoさんの映画レビュー(感想・評価)
光と影、上から下から存分に100点満点の演技を楽しむ
そもそもミュージカルを映画にする意味はなんなのか。
と思って観に行く。
舞台は豊洲のアラウンドトーキョーのように回転する客席こそあれ、基本的には正面からしか観る事が出来ない。
映画では上からの俯瞰も、下から舐めるように撮影することも可能だし、光と影を存分に使える。
オープニングにもエンディングにも影が効果的に使われていた。
舞台では日々の俳優のコンディションもあるが、撮り直しの効く映画では俳優たちのパーフェクトな100点満点の演技を楽しむことが出来る。
絶対に舞台のミュージカルができないことを次から次へとやってのけ、映画にする意味を存分に感じられるのだ。さすがのスピルバーグ作品だ!
とりあえず吹き替えで観て原曲の響きを存分に楽しんだ。
ストーリーは起承転結を四コマ漫画で表現できるくらいシンプルなので、その分、歌やダンスや衣装も楽しむ余裕がある。
衣装の色のコントラストがとても美しいし、キレのあるダンスも完璧だ。
最初は、どうでもいい不良同士の抗争で、ヤンキー漫画を映画にした今日から俺はと変わらないくだらない喧嘩のように思えるのだが、後半になると民族間の対立の根深さを感じ、やがてメンツをかけて戦わねばならない男VS恋と平和を望む女という構図にも思えてくる。
時代を超えて幼少期からワルたちを見てきたばーちゃんの視点からすると本当にやるせない。ばーちゃんが歌うからこそ歌詞の意味が俯瞰的に思える。
元ネタを生かすも殺すも腕次第なのだが、生かしきって間違いのないパーフェクトな映画に仕上がっていた。
だからと言って星5つにはならない優等生的もの足りなさもあるのだけど。
とにかく、主演の声優が宮野真守と聞き、吹き替え版も観に言ってしまいそうだ。ブラボー!