劇場公開日 2020年7月3日

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「【自ら抱える閉塞感を”アメリカ”のブルース・スプリングスティーンの歌と詩に出会い、糧として、成長していく”イギリスの田舎町”に住む青年の姿を、移民問題も絡ませて描き出した作品。】」カセットテープ・ダイアリーズ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【自ら抱える閉塞感を”アメリカ”のブルース・スプリングスティーンの歌と詩に出会い、糧として、成長していく”イギリスの田舎町”に住む青年の姿を、移民問題も絡ませて描き出した作品。】

2020年7月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

幸せ

-ブルース・スプリングスティーンのファンでなくても、十分に楽しめる"アメリカのロック"により、サッチャー政権末期の"イギリスの田舎町に住む"パキスタン青年の苦悩と成長する姿が印象的な作品-

■少しだけ残念な点
・ブルース・スプリングスティーンの歌に引っ張られ過ぎて、ストーリー展開が粗い所。
ジャべドのパキスタンの家族一人一人がもう少し、描き込まれていればなあ。特に失職した父親。

■印象的なシーン
・不況のため、台頭するネオナチ始め、多民族排斥機運を憂う、近所のおじいさんの言葉。と、ジャべドに掛ける言葉。
-イギリスの第二次世界大戦を含め、様々な経験をした年代の方の正しき姿勢が描かれる。-
・そして、不況に見舞われていた英国で、移民という理由で今まで英国のために頑張ってきたのに失職する父親の姿。
-"マイ・ビューティフル・ランドレットでは裕福なパキスタン人が描かれていたが、イロイロなパターンがあったのだろう。それにしても、ジャベドの父親には同情するが、無職になってからも家長として、振舞おうとする姿には哀切な感を抱く。-

・勿論、ブルース・スプリングスティーンの歌が大音量で流れるシーンでは、ハイテンションになってしまうよ!

・ジャべドの全校生徒の前での父を称えるスピーチ。
ー子を持つ者であれば尚更、沁みるなあ。ー

・父親がカーステレオからパキスタン音楽カセットを抜き、ボスのカセットを挿入するシーン。
-息子の成長する姿を認めたんだね。-

〈爽やかな青春音楽映画であるが、文化の違いを認め合い、相手の立場、思想信条を許容する大切さを描いた作品でもある。〉

NOBU