「漢なら萌えろ!」T-34 レジェンド・オブ・ウォー 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
漢なら萌えろ!
ロシアから進撃してきた戦車映画。
公開時から激アツ興奮は聞いていたが、確かにこれは燃えたぜ!
第二次大戦下。
ロシア軍士官のニコライは前線の村で、ナチスの指揮官イェーガー率いる戦車中隊を迎え撃つ…!
砲弾や砲撃、直撃や爆発の瞬間をCGを駆使したスローモーション表現がユニークで斬新。
まるでこちらも戦車に乗って一緒に闘ってるような臨場感。
単なる撃ち合いではなく、相手の先を読む知力戦。
あちらが中隊に対し、こちらはまさかの戦車一両で。
圧倒的劣勢を覆し、敵戦力を壊滅させる。
のっけからド迫力の戦車バトル!
…しかし、全編これだけだったらここまで燃えなかった。
さらに面白くなったのは、ここから!
敵戦車中隊は壊滅し、イェーガー自身も顔に傷を負う。
ニコライも自身の事より部下を失った深手の傷を負い、捕虜となる。
収容所で、ここで会ったが百年目。イェーガーと再会。
イェーガーは個人的な恨みを晴らそうとする。ただ処刑するのは容易い。そこでイェーガーは、ナチスの戦車兵育成の為、軍事演習の標的にする…。
当初は拒むニコライだったが、承諾。
同じく捕虜になったかつての同志3人を選出。
そしてある計画を立てる。それは、演習の最中に戦車で脱出するというものだった…!
はっきり言って無茶無謀。
周りはナチスの手の内。
あちらは実弾使うのに対し、こちらは実弾ナシ。
イェーガーも眼を光らせている。
…が、大好きなアニメ『銀河英雄伝説』で言っていたが、有能な指揮官の頭脳一つは数だけは多い愚隊にだって勝る。
それに、こちらにはこれがある!
ロシア軍戦車、T-34!
現存する本物を使用。
だからこそのこの偉容!
ひと度走行すれば画面から地響きが伝わってくるような重厚感。
ダイナミックでありつつ、“白鳥の湖”だって踊れる!
勿論、砲撃シーンは一番魅力の迫力!
以前『フューリー』のレビューでも言ったが、怪獣映画ではヤラレ役の戦車だが、改めてこうも見せ付けられるとしびれるほどカッコいい!
このT-34だけじゃなく、ナチスのパンターも然り。
これらはミリタリー・ファンには堪らないだろう。
ニコライは仲間と共にT-34を修復。戦車の中の死体と共にあったたった6発の砲弾を隠し、脱出計画を練る。
イェーガーも演習場に地雷を仕込むなど、両者虎視眈々と…。
…そして、遂にその時!
実弾ナシのT-34から放たれた砲弾に狼狽えるナチス。
ニコライたちはナチスを翻弄。
第2回戦もハラハラドキドキの興奮!
堂々正門を突破し、収容所からの脱出に成功する!
ここでちょっとブレイク。
ニコライの有能な指揮官ぶりには同性でも惚れ惚れ。
仲間3人も個性的で、掛け合いは作品にユーモアを与えてくれる。
収容所で出会った捕虜で通訳のアーニャ。恋愛要素は少々+@な気もするが、ロシア美女で男臭い中で華を添える。それに、脱出して待ち合わせの場所で戦車で彼女を迎えに来るシーンは何だか微笑ましい。
ニコライたちの逃亡劇。途中の湖で水浴びをし、自由を謳歌。
が、イェーガーがただ黙って引き下がる訳が無い。彼も自分の命を懸けて追跡。痕跡と向かうであろう場所を特定する。
小さな村で待ち受けていたイェーガーの砲撃から始まる。
ニコライは有能指揮官だが、イェーガーも有能指揮官。頭がキレる者同士の因縁の一騎討ち! 一歩も引けを取らない!
共に相手の先を読み、戦術や作戦を立て、超接近戦も。
相手を一両ずつ叩けば、こちらにも犠牲が…。
この最終決戦がこれまたハラハラドキドキ大興奮!
果たして、勝者は…!?
エンターテイメント作品なので、結末は分かり切っている。が、ニコライとイェーガーの最後が良かった。
橋から落ちそうなパンターから手を伸ばすイェーガー。
ニコライはその手を取る。
卑劣な悪役だったら道連れにするが、イェーガーは最後にニコライと握手をし、パンターと共に落下…。
恨みや憎しみを持つ相手だったが、心の中何処かでは、同じ戦車乗りとして戦士として、認め合っていた。
漢たちの健闘にーーー。
かくしてニコライたちは生き残り、アーニャとも再会を果たし、ハッピーエンド。
少々ご都合主義もあるが、それすら痛快なくらいの面白さ!
もう一度言う。
漢なら萌えろ!
独ソ戦を題材にした映画にありがちな重苦しさを長続きさせず、エンタメ振り切り。ロシアン・エンタメも、なかなか面白くなって来たんじゃないかと思いますが、ハリウッドとは別路線を期待してます!
去年から、海中(ハンキラ)→海上(いぶき)→陸上(T34)と来て、今年は空に舞い上がる予定(トップガン)だったのに。コロナ、早く収まって欲しいですね。