犬王のレビュー・感想・評価
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時代を馬鹿にしては駄目だ。
つまらん。
見せ場と触込みの音楽舞踏シーンの何たる扁平。
西洋音階と電気器材の無い室町時代ならこの程度でもそこそこヒットしたのに、という見方か。
時代を馬鹿にしては駄目だ。
今更宇崎竜童とMジャクソンもどきて。
クレしんヒロシみさえの伸びやかに度肝抜く歌唱舞踏シーンを想う。
圧倒的体験!映画館必須! でも人を選ぶやろな…
ぶっ飛んだ映像、演出をしっかりとストーリーに乗せて成立させるって言う湯浅監督の真骨頂が発揮されてて満足度が高い!アニメの可能性を広げてる!これは映画館で見るべき映画
あそこまでぶっ飛んだ演出だと完全にファンタジーだけになって何でもありで白けちゃいそうなところを平家物語や藤若、舞台の裏方、政治とか現実を絡めてしっかりと引き留めるところはさすが ホントにうまい
怨みや渇望、理解といった人の想いもしっかり乗っていてストーリーとしても面白かった
ただクイーンオマージュっていうのがチョット古めかしい感じが…わかりやすさを求めたんだろうけどここでなんか新しいのをドーンでも際立ったかな
いやー面白かった、もう一回観に行こうかな
ここはライブ会場か
画の強さと音楽に圧倒されるんだけど、
ちゃんと物語があって…名前をつける事でこの世に存在した犬王と名前を変える事で自分らしい在り方を見つけた友有……
大変えもいものがあった……
いつの時代も新しい芸術は打たれる釘なんだなって思ってしまうな……
また、圧倒されすぎて放心状態だったのでもっかい見たい
考えるな感じろ
考えるな感じろ映画では、ない
芸を極めていくごとに異形が解消されていくという設定に一瞬どうなんだ、それは…と思ったけれど、貴族との宴会シーンで仮面の中は美しいのか醜いのかと聞かれた犬王の「俺の仮面の中は美しい。しかしその仮面の中もまた仮面だがな。」「どういうことだ?」「すべては作り物だという事だ」といったセリフがアンサーとなっていると思う。あと「平家らは俺を呪っているわけではないと思う。ここにいると歌って欲しいのだ」というセリフ(うろ覚えだが…)。
作中では何度も目の見えない友魚が見ている世界、またその顔を隠すために仮面を付けた犬王の仮面越しの視点が描かれる。歴史と同様に「美しさ(または、異形)」の定義もまた、社会によって(強者によって)作られる。だからこその「異形」目線での歴史の語り直しの物語。犬王の「異形」に見える部分は、強者によって語られてこなかった名もなき者達の物語。
しかし犬王が自分の物語を捨てた後「犬王はその後も重用されるが歴史に残ることは無かった。一方で世阿弥は自作の謡曲を作り続け後世まで…」のような文章をわざわざ文面で出した意図は汲めない。少し説教じみすぎているように感じた。ほらね、だから自分の物語を捨ててはいけませんよと言うような。または別の意図があるのだろうか…。素朴なことだが、友魚と対照的に、犬王が自分の、そして語られてこなかった者達の物語をあっさり捨てたこともよく分からなかった。もはや犬王は「異形」ではなくなり、体制に取り込まれてしまったということなのか。しかし勝者によって語られなかった物語を異形目線で語り直すということ自体は体制と距離を置く行為であるし、作中でもそのように描かれていたと思うが。
それと、犬王達がブレイクしはじめた当初の街の庶民たちのセリフがどう見ても批評の言葉(≠庶民の言葉)だったのが気になった。批評=現代(未来)からの目線だと仮定すると色々考えられそう。
考えるな感じろ映画だとか言われているけれども、メッセージ性自体はてんこ盛りだと思った。しかしこの作品が、どこまで行っても逃れられない人間の身体そのものというテーマに向き合っていることは確か。私たちを縛る不自由な身体。考えるな感じろ映画だという評価はそういうところから出てくるのだろうか。
とにかく、アヴちゃんの声が本当に良かった。上手すぎる。
能楽はロックンロール!!
カメラワークが素晴らしい!これまでに無いようなアニメ映画でのパフォーマンス。聴覚や、触覚を視覚で表現する斬新さ。
アヴちゃんの歌声は透き通ってもあり、ハスキーで、さらにまた奥行きを感じる。
犬王のパフォーマンスはまるでクイーンの全盛期のように奇想天外、現代に生きる私にさえ心に刺さります!
ただ、メッセージが伝わりにくい、、、、
平家盛衰を再奏する二人の運命
現代京都の路上に始まり、フラッシュカットで南北朝の時代へと一気に遡る演出は川島雄三『幕末太陽傳』を彷彿とさせる。これから語られるできごとが史実の従順なトレースを超越した延伸性を秘めていることの示唆だ。
湯浅作品の醍醐味といえば、不可視の身体感覚を巧みに捉えたダイナミックで奇想天外な作画演出だが、本作はそれがある種の統制の中で意図的に展開されていた。『マインド・ゲーム』においては画面や時間の節々にまで節操なく及んでいたものが、本作では場面場面によって出力の多寡を適度に調整されており、カオスながらも安定感のある画面作りに成功している。
特に盲人に関する作画は他に類を見ない出色の出来だ。水彩ではなく、敢えて力強い油絵具で盲人の感覚世界を描き出しているのがすごい。目が見えないことは単なる事実であり、決して弱者性などではないことを誇らしく顕示しているようだった。
歴史の闇に葬られた平家盛衰の物語が犬王の語りによって少しずつ成仏を遂げていく過程は、単純でありながら確かなカタルシスがある。アヴちゃんはほんとに声優未経験なの?ってくらい演技が上手い。湯浅政明のピーキーすぎる作画演出に追随するどころか余裕で並走できている。
そういえば舞踊シーンではカメラの位置が固定されていることが多かった。アニメのアクションシーンで10秒以上カメラが静止しているというのはかなり稀なことだ。犬王の舞踊は外連味なくとも舞踊として成立するのだという気概を感じた。
平家盛衰の物語を下地とする以上、犬王たちがそれと同様の運命を辿ることは必然だ。語ることを最後までやめなかったがゆえに死の罰を課せられた友魚と、語ることをやめたがゆえに空疎な生に縛り付けられ続けた犬王。どちらを選んでもどうにもならないというのが残酷だ。
ただ、犬王という歴史の暗部がそのまま現代に投げ返されてくるラストカットのくだりは少々やりすぎというか、受け手に対して優しくあろうとしすぎなんじゃないかと思った。そのせいで結局何が言いたかったんすかこれ?みたいな終わり方だったし。犬王が無音の中を空虚に舞うシーンで唐突に幕を閉じるくらいの暴力性があってもいいと思う。
鑑賞動機:製作スタッフ10割
原作未読。『アラビアの夜の種族』とか『ベルカ、吠えないのか?』は大好きなんですけど。
異形の時期の方が魅力的に見えてしまう。観たことないものから見たことあるものへ、ヒトならざる者から見慣れたニンゲンへ。序盤の演出(触って文字を認識するところとか)に膨れ上がった高揚感が、徐々に萎んでいく感じ。そういう物語だといえばそれまでだが。
ちょっと期待し過ぎたのかな。
演者さんは良かったし、ライブシーンも(飽きるまでは)おもしろいアイデアで楽しかった。
音楽とダンスとに乗れない(私は乗れなかった)と楽しめない映画ではないとは思う。一時人気を誇っても権力に抵抗しても結局歴史に埋もれてしまう諸行無常の物語…(なにせ「平家物語」ですから)
①「犬王」のことをWikipediaで調べただけで事前知識まったくなしで鑑賞。②アニメ映画は余り観ないし通でもないので、あくまで個人的な意見だがアニメーション(絵)としてはとても良く出来ているのではないかと思った。仮面の目の穴を通して子供の犬王が外の世界を見るカットとか新鮮だったし、南北朝時代は京都でも星は綺麗に見えたんだろうなぁ、とか細かい描写に美しさ・斬新さ・面白さを覚えた。③歴史好き兼奈良県人としては、南朝や大和猿楽に触れたシーンでは“おおっ”と思ったが、それ以上先に進まず残念。観阿弥・藤若(世阿弥)と犬王との絡みも有るかと期待したが、それもなく残念。ただ話の本筋ではないので仕方ないでしょう。④「平家物語」の中の“壇之浦に三種の神器が二位の尼(平時子)と安徳天皇と共に入水した部分”と、足利義満の代で三種の神器が南朝から戻り南北朝合一した歴史とを結び付けて、この物語の背景とした着想は面白い。⑤犬王が、恨みを残して死んだ平家の亡霊の言いたいことを代弁した(歌った)度に身体の一部が普通の人間の身体パーツに変わっていくところは『どろろ』かい?と思ったが、最後まで観るとやっぱり『どろろ』だった。⑥“平家の亡霊がこんなに沢山”という台詞のシーンがあったが、京都1000年の都(この映画の時代では400年の都ですか)は怨霊の都であり、平家だけでなく平安京遷都以来の後継者争いに敗れた皇族・主権争いに負けた藤原氏の傍系や政争に負けた他の貴族・源氏・平氏・北条氏・南北朝京都合戦で死んだ人々等の怨霊も渦巻いていた筈で、その中で平家の怨霊だけチョイスするのもどうかと。⑦新しい”能”としてロックミュージックを持って来たのは新しい様でいてありきたりだと思った。クリエーター達が“ロック=反体制の音楽”という意図であったかどうかは勿論分からないが、もしそうであれば他の映画で前例があるので別に驚くような試みではない。広い範囲で言うと今では最早“ロック=反体制”ではないし、現代では能や伝統芸能のほうが逆にロックかも。⑧自分の好きなタイプのロックミュージックでなかったので、ただうるさくて単調で歌詞も良く聞き取れず、その上長々と続くのでこのシーンだけ眠たくなってしまった。QUEENのリアルタイムファン(正確には『JAZZ』までのファン)だが、京の河原で“WE WILL ROCK YOU”を聞かされてもねぇ…⑨踊り(ダンス)も既成のダンス・パーフォーマンスを採り入れたものばかりで(ストリートダンスやブレイクダンス、アイスダンスや新体操その他諸々)何かアッとさせるパフォーマンスはなかった。金閣寺?(義満の北山山荘)で演じられたパフォーマンスも背景の絵の方に心奪われた。⑩知魚が元々旅に出た目的は、自分と父親とがこのような目に遭った理由を探ることだった筈だが、琵琶法師が口承で虐げられた人々の事を伝える(平家物語は軍記物で決して虐げられた人々だけの話でもないんだけれども)と知って琵琶法師になり名も“友一”と変え、犬王と新しい芸能を立ち上げると共に自由と独立心とを持った「ここに有る」と“友有”と名乗る(犬王という一緒に何かを作り上げる友が出来たという意味もあるのか)。しかし、幕府が平家物語は“正本”しか今後詠ってはならね、という御触れを出した時、長いものに巻かれろ、という先輩法師の忠告を振り切り、それでは自分の「平家物語」は語れない、虐げられた人々の思いは伝えられないとして最後まで抵抗し、結句京の河原で打首となる。その時、自分の名前は“友魚”だと言いつつ死んでいく。幽霊になった時に呼んで貰う為とも思えるし、最後自分の出自である一漁師に戻っていつも為政者の犠牲になる庶民としての矜持だけは保ちたかっのかも知れない。何故彼が盲い父親が死なねばならなかったのか、その元凶は三種の神器を揃えて南北朝を統一し自分が日本国の最高実力者になる足利義満の権力欲であったことを、友魚は最後に知るが恨みを晴らすことなく京の河原に果てる。カタルシス無し、である。彼の歌に狂喜乱舞した京の庶民も彼の処刑を遠巻きに見るだけ。⑪一方、犬王の方は、足利義満の寵愛を受け、“もう「平家物語」の正本でしか踊るな、今後は婉美な踊りだけにせよ”と言われると、一瞬逡巡はするが驚くほどアッサリと義満に靡く。友有の命乞いもしない。元々猿楽師の家に生まれた彼としては、やはり天下の権力者の庇護のもとで自家の猿楽を栄えさせる事が最終の目的だったのか(史実でも彼は生涯義満の寵愛を受けたそうだが、その割に唄等残ってないのは考えて見ると不思議。踊りの婉美さは世阿弥も称賛するほどだったということは書いたもので残っている。)。ここでもカタルシス無し。⑫権力の前に真逆の道を選んだ二人だが、ラスト、600年後に再会した二人が出会った頃の二人であったのはせめてもの鎮魂か。
ミュージカルというか、、ライブビデオ?
琵琶法師トモイチの演奏時間が長過ぎて15分程ウツラウツラしてました。
あの部分もう少し短くても、、
それ程の演奏で、民衆にはそう聞こえたという描写なのかもしれませんが、エレキギターや金属音の演奏もなあ。ちょっと萎えるというか。
でも、テーマもしっかりして話自体は良く出来てました。さすがの湯浅監督。
観応えのある劇場アニメーション
今のところ4回鑑賞しました。
1度目は普通に、2度目はラストを踏まえて、3度目はコメンタリーを聴きながら、4度目は極上音響&字幕つきで。
描かれているものは、きれいなもの、かわいいものだけを描いていないし、アニメーションとして惜しい処もなくはない。
聴こえるものは、セリフは方言が多く聞き取りにくいし、ミュージカルの歌詞は前知識がないとピンと来なくていまいち世界に入りにくくて、尻の座りが悪い気分になるかもしれない。
でも、私が観たかった劇場アニメーションはこれだ。
製作に関わったあらゆる人のインタビューを読み、原作を読み、ムック(犬王誕生の巻)を読み、私は終演までにあと何回観に行けるだろうといまだに胸踊らせている。
まぁた、こんな見たこともないアニメを…
『鎌倉殿の13人』『平家物語』に夢中になり、個人的にもついこの間、厳島神社に旅に出るなど、期せずして「平家の滅亡にまつわるエピソード」に触れる機会の多い今年、また「まつわり系」の作品に遭遇することとなった。
湯浅作品は比較的テレビアニメシリーズの方が個人的には好き作品が多い印象。
今回は社会や権力に虐げられた表現者やマイノリティのアイデンティティについてのお話なワケだけど。
これまた変わった作品を…。
室町時代の物語を、まさか足を踏み鳴らしながら観るなんて。
正直、評価の仕方が解らない感じ。
ふたりの男の友情をもっと描いておくれよ
劇的なストーリーと演出のはずなんですが歴史を淡々と見せられているだけ感がある
犬王と友魚の関係は絶対にエモーショナルで俗に言う巨大感情的な関係性なのにそこの描き方が薄いので折角のラストが弱い
やり過ぎるとBLになってしまうので難しいがもう少し何かが欲しかった
びわは居ませんでした
室町時代を舞台に、二人のミュージシャン?が成り上がって行く話しです。
CMでミュージカルアニメと言っていたような気がしましたが、ライブアニメと言った方がいいかもしれません。
(個人で感じ方が変わるので、気にしないで観るのがイチバンかな)
イチオシは松本大洋氏のキャラデが作品にマッチしていた点です。よくぞ松本大洋氏を採用してくれた!と思いました。
犬王役のアヴちゃんは、役に合っていたかと言うと、う〜ん、どうなんでしょ。
これは好みが分かれるかもしれません。
そういえば、この前TV放送があった、山田尚子監督の平家物語も、本作品と同じサイエンスSARU製作ですね。
もしかしたら、びわが群衆の中に居ないかな・・と思い、つい探してしまいました。
同時期に公開した作品の中では話題性が低い方なので、ヒットはしないと思いますが、観ておいた方がいい作品だと思いますよ。
実写に負けないアニメーション
現代から室町時代までタイムスリップし、知られている歴史と知られなかった物語を目の当たりにする動く美。最上の色彩が動いている。実写に負けないリアルさと大空を飛び回る感覚。新しい映画の形を模索してゆく画期的な作品。他にはない。もう一度観たい。
諸行無常ぢゃ
俺は何を見ていたのだろうか?
少なくとも普通のアニメ映画では無い。
予告編の映像を見て興味のない内容の映画ながら引き込まれたので見ました。
琵琶法師と能楽師が平家物語を舞う話の筈なのだが全くぶっ飛んでいる。平家ガニも大喜びだよ。
壇ノ浦で水没した三種の神器を探す親子の話から神器を見つけたものの訳あって明暗位しか分からない視力となったその子供が故あって琵琶法師となり兄弟子と戻った京都で偶然遭遇した謎の能楽師犬王と連んで全く新しい平家物語の演奏と演技を作り出し京の世を騒がせる大ヒットを飛ばすと言う映画。
ぶっ飛び具合が半端ない。ラップ、ロック、フォーク、アカペラなど思いつく音楽とミュージカルも真っ青の技術と演技を色々駆使したとんでも無い物だった。
凄すぎて参った。音楽やミュージカルが大好きな人ならもっと細かい解説をしてくれるだろうが生憎こちとら素人なのでご容赦を。
一つだけ残念な所が琵琶、太鼓などの他にエレキギターなどの現代楽器も入れた音楽だった。できれば当時の楽器をアレンジしたり木や石、骨で手作りした楽器の音を作り出して入れ替えて欲しかった。
ミュージカル部分が曲がりなりにも当時でもなんとかなった?かも知れないと思わせる小道具を駆使していたのとは対照的だった。
もし琵琶や太鼓、笛以外の楽器を映像でも音でも作ってくれていたら満点だった。
ポップでも描かれている琵琶をエレキギターの様に演奏するだけで音もエレキってのは微妙な違和感を覚える。
それにしても何とも幻想的な映画と諸行無常、
うーん想像の遥か上だった。
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