劇場公開日 2022年5月28日

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「歴史に葬られた能楽師と、盲目の琵琶法師の波乱の人生」犬王 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5歴史に葬られた能楽師と、盲目の琵琶法師の波乱の人生

2023年1月23日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

凄いものを観させて貰いました。
世界が賞賛するのも納得の奥深さ。
よくもこれだけの才能が集結したものです。

原作:吉田日出男「平家物語 犬王の巻」
監督:湯浅正明
脚本:野木亜紀子
音楽:大友良英

ミュージカル・アニメーションです。
室町時代に実在した能楽師・犬王と、その無二の親友で相棒の
盲目の琵琶法師・友有(幼名・友魚→友一)の波乱の生涯を描く。

後になって思えば、2人は時代のあだ花。
パッと咲いてパッと散った大輪の花&花火。
(ステージは記録されなければ残りません)
しかし、犬王と友有のパフォーマンスは室町時代の大衆(庶民)の心に
確かな記憶と引っ掻き傷を残した筈です。

出演者ではアヴちゃん(犬王)
(アヴちゃんのためにこの役があった)
(性別不詳・正体不明・・・年齢非公表)
(本人は平家の末裔と自称する。女王蜂のボーカル)
アヴちゃん・・声に張りと艶。力強さそして裏声(ファルセット)
…………………………歌唱力抜群。カリスマ性も合わせ持つ。

森山未來・・最高のパフォーマンス。盲目の琵琶法師は彼のためにある。
……………………歌の素晴らしさに驚きました。軽々とROCKしている。
……………………プロの舞踏家なのは知ってたけれど、歌もプロ級。
……………………声に哀愁とサビそして強かさがある。

この「犬王」
実写で観たい、とても観たい。
森山未來は踊れるんだし、アブちゃんもきっと踊れる。
CG&VFXそしてスローモーション&ストップモーション
部分アニメも使って!!

犬王と友魚(ともな)のパフォーマンスは、野外ロックフェスティバルの演目、
コンサートみたいだった。
犬王の「鯨」
影絵や明かり松明のパフォーマンスに、動きは荒唐無稽。
民衆が総立ちで手拍子打って踊って、
友魚の琵琶は背中に担いで曲弾きしたり、
太鼓はドラムだし、琵琶とデッカい琵琶のもう一本は、ベース。
まるでbandだ。

2回目を観て、分かったのは、
犬王が最後には異形(手足はコンニャクのお化けみたいだった、)
から普通の顔と身体に変わっていたこと。
これはひとつ芸を覚える度に、身体を手に入れていたのね。
キチンと台詞で説明があった。
しかしパッと見では内容が完全に把握出来ない。

平家の落武者の亡霊が犬王と友有(友一=友魚)には、見える。
彼らの恨みを晴らす、
そんな主張も2人にはある。

友魚の父親が殺されてたくだりとか、
犬王の父親が犬王を妬んでるくだり、とか!
一回見ても理解不能だった。

壮大な歴史ストーリーで、
おまけに、
平家の亡霊が見える設定とか、
だからこそ素晴らしいし、
何回も観たくなる。

柄本佑(足利義満)
津田健次郎(犬王の父)
松重豊(友魚の父)
とても適材適所でした。

もう一度言いますけれど、
同じキャスト・スタッフで実写版を観たい。

ガラパゴス・ジャパンのこれぞ本領を発揮したアニメ。
これはディズニーにも負けない!!真似出来ない!!

世界に分かってくれる人々がいることが、
とても嬉しい。

琥珀糖
CBさんのコメント
2023年1月24日

たしかに、このままの俳優での実写版、観たいです。
へえ、あぶちゃん、平家の末裔(自称)なんだ。言われるとそんな気がしてくるな。
熱のこもったレビュー、ありがとうございました。この映画にぴったりなレビューだと感じました。

CB