「音楽の好みで評価は変わってしまう、時代に合わせた音で良かったのでは?」犬王 komagire23さんの映画レビュー(感想・評価)
音楽の好みで評価は変わってしまう、時代に合わせた音で良かったのでは?
(完全ネタバレなので必ず映画を見てから読んで下さい)
映画が始まった時は、素晴らしい映像に琵琶の音色で、なかなか見たことがない映画のワクワク感、傑作かもとの印象がありました。
しかし犬王出演の舞台が始まると、え?この映画はロックコンサートの映画だったの?との感想に変わります。
しかもそこで流されるのはクイーン的な2世代古い音でした。
私は室町時代の音は室町時代に使われた楽器や音で奏でる必要があったと思われます。
また、犬王出演の舞台の楽曲は70~80年代のロックを湯浅監督はイメージしていたようですが、現在からするとその音は古すぎると感じました。
つまり室町時代の作中ではありえないエレキギターの音が鳴り、かつその曲調は映画を見ている現在からは古すぎるという、不協和音が私の中には生まれてしまいました。
犬王の声を担当したアブちゃんはロックバンドの女王蜂のメンバーですが、女王蜂の音は現代的でやはりいいです。
・女王蜂『犬姫(INU-HIME)』Official MV
・女王蜂 『KING BITCH』Official MV
犬王出演の舞台の曲のほとんどは、湯浅監督のリクエストで70~80年代のロックのイメージで大友良英さんが作曲したそうです。
私は犬王出演の舞台の曲は女王蜂が全て作曲し、使用する楽器は室町時代にあったもので作る必要があったと思われました。
個人的には70~80年代のロックに乗れず、かつ室町時代でのエレキギターの音への違和感が長時間続くことになり、正直かなり厳しい時間が続くことになりました。
そもそもここまで長時間ロック映像を見せる必要はあったのでしょうか、映画はやはりドラマで見せて欲しいとは思われました。
しかし私のようにこの曲調に乗れなかったのは少数だったのかもしれませんし、映画の内容をよく分からないまま見たこちらの責任もあったのかもしれません。
ストーリーの筋は面白さもあったと思います。
壇ノ浦で滅んだ平家の呪いが解けて行く化け物の犬王という見せ方も素晴らしかったと思われます。
個人的には、素晴らしい映像が展開していただけに、残念な感想になってしまいました。