劇場公開日 2022年5月28日

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「鎮魂と呪と芸能のエンタメ」犬王 あきさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0鎮魂と呪と芸能のエンタメ

2022年5月29日
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鑑賞方法:映画館

古典芸能であり、現代アートであり、総合芸術でもあり、まさにエンターテイメント!ニュー平家物語とでも言うのかな。斬新で良かった。
猿楽(能)とか琵琶とかの伝統芸能からロック(まさかのQUEEN!)、タップダンス、体操、フィギュアスケートなどの現代の芸能が融合し、さらに異形のモノと生者と亡者が混ざり合う、何とも形容できないモノ。ライブを観てるかのようで楽しかった!いや、舞台を観てたのかも?
そもそも芸能なんて鎮魂やら魔除けやら豊作やら降雨などを祈って生まれた庶民のモノだったのに長い年月が経って「伝統芸能」という取っ付きにくいモノになってしまっただけで本来はこういう形のモノだったんじゃないかな。
音楽や表現も勿論だけどそれを形にしたアニメーションも細部まで繊細で儚くて、でも泥臭さもあって圧倒的。美しかった。
友魚のライブシーンは森山未來の実写では?と思うくらいに生々しい。不思議なことに友も呪いも異形の姿も失った犬王があまりに凡庸で、美しさとは歪さと紙一重のところにあるのかもしれないな、などと思ったり。
ちょっと取っ付きにくいところはあるけど何だか凄いモノを観た!みたいな感じでした。

あき
momokichiさんのコメント
2022年6月16日

不思議なことに友も呪いも異形の姿も失った犬王があまりに凡庸で、美しさとは歪さと紙一重のところにあるのかもしれないな、などと思ったり。

なるほど!最後の方でなんかショボくみえたのはこういうことか。
貴殿の言語化能力に敬服します。

momokichi