「ミュージカルとしては圧倒的だが」犬王 andhyphenさんの映画レビュー(感想・評価)
ミュージカルとしては圧倒的だが
初日舞台挨拶に当選したので初日鑑賞。
最近まったく事前情報を仕込んでおく暇がなく、「犬王」も古川日出男の「平家物語」から持ってきたんだっけ、とかやや誤解しながら鑑賞した(室町時代だった…)。
「狂騒のミュージカル・アニメーション」の名のとおり、ミュージカル・ジャパニーズ・アニメーションとしては面白いつくりだなとは思った。琵琶法師と能楽師がロックをやる的な。舞台挨拶では皆当たり前のように「フェス」と表現していたが、確かにあの情景は完全にフェスだ。どっからあんな仕掛け組める資金調達したんだろうな、とか、犬王と友魚以外のメンバーどっから来たんだろな、とかすごく余計なことが頭をよぎってしまった。
正直なところ物語的な起伏というか妙はそんなに感じることはなかった。犬王と友魚は共に「平家の無念」に人生を取り込まれ、それを語ることで切り開こうとするのだが、肝心のそこが完全にロックフェスとかパフォーマンスで、すごく良いけど言葉が完全に入ってこないのが難しい。そこは主眼じゃないのかもしれないが、物語をロックやポップで語りきるのって難しいものだなあと…。
アヴちゃんは圧倒的でした。森山未來もあんなに歌の表現力あったんだなあと思ってそこはすごく沁みた。
犬王は結局呪いを解放したら先がどうなるのかきっと分かっていただろう。そして友魚はそこで折れることはできなかっただろう。だから最後はああいう形になってよかったのか、どうなのか…。
個人的には犬王の父(津田健次郎さんだった)の執念通り越した怨念的な部分と、谷一さんが大変心動かされた。
全体にリズム含め「ボヘミアン・ラプソディ」っぽさを感じてしまった。あながち間違ってもいない気はしている。