「映画の中では生きています。」王の預言書 Naakiさんの映画レビュー(感想・評価)
映画の中では生きています。
李王朝、第24代国王、憲宗(ホンジョン、けんそう)の時代、なんて言わないまでもいつになったら止めるのかわからない、韓国の李王朝時代の高官同士の権力闘争、そして疲弊するのが弱い国民の構図。しかも、いつも優柔不断な国王。それでも面白いのでついつい見てしまう。
2組の兄弟の姿を描いている映画で、前半と後半の部分で大きくシナリオが分かれていて、そのパートごとに大きなイベントが起きるようなものになっている。
前半、兄ノルブが、兄弟とも中国に売られそうになるところを自分が身を挺して一人だけ捕まってしまい、兄弟が離れ離れになってしまう。その兄の情報をヒョクが知っていると聞きつけあいに行くと今抱えている問題を優先するためにフンブに対して、あまり取り合おうとはしないでいる。どうしても兄の消息をしりたい彼は、何度もヒョクを訪ねるうちに彼の人柄に触れ、いつの間にか友達になっていた。しかし、フンブの小説の影響力を知ったヒョンの兄の王朝高官ハンニが"王の預言書"を書かせて王を亡き者にしようとするが.......!
後半は、のらりくらり暮らしていたフンブが、民衆のために立ち上がる映画となっている。
この映画は、行きつくところは、2組の相反する、真逆な兄弟の姿を映し出していて、しかも、兄弟の骨肉の争いも描いている。
映画の中で往来でも宮中でも狂言役者が、芸術的な踊りや狂言回し的なものを見せるところは、素晴らしいの一言で見ている者を圧倒させている。
ヒョンの兄のハン二役の人をどこかで見たのに思い出せない自分がいたが、後で韓流テレビドラマ「トンイ(2010)」でチャポドチョンの長官役をしていたチョン・ジニョンさんでした。また物語の中盤でフンブが、ハンニの罠にかかり、評定所で嫌疑をかけられ罪を被せられそうになった時に弟子のソンチョルが自分がやったと証言するシーンのソンチョル役のチョン・ウヒさんは、自己犠牲とも取れる役も相まって印象も含め、とてもきれいな方です。つまり、この映画のテーマとして、自己犠牲というのもあるかもしれない。
最後に韓国映画「ビリーバー(2018)」にも出演されていたキム・ジュヒョクさんが2017年に交通事故で他界されています。最後にテロップで感謝の意を述べられています。