「疑問しかない」糸 nicoさんの映画レビュー(感想・評価)
疑問しかない
12日に先行上映を観て来ました。
きっと感動して何度か映画館に足を運ぶことになるだろうなどと思っていたのですが、主役二人を含め豪華なメンバーを揃え海外ロケまでして時間もお金もかけて4ヶ月延期になった都合で長期間これでもかとウザいほど宣伝して。
で、満を持して見せられたものがこれか。
なんでこんな子供騙しのファンタジーを?これほんま大人が作ったん?
なんでこれでいけると思ったん?
ふざけるのは辞めて頂きたい。
そもそも人と人との縁だの絆だの言ってるのに主人公である高橋漣(菅田)の親、兄弟、身内一切出てこないのはどういうことなんですかね?
中学の時、漣と葵(小松)が駆け落ちして警察に捕まった時も、漣が結婚した時も子供生まれた時も嫁に死なれた時も最後に葵と再婚する時も、漣の親は一切出てこない。
なんなの?気持ち悪い。ワケあり?
葵や香(榮倉)の親は出てくるのに。
なんや漣の親は息子の人生にノータッチかい。そんなわけあるかい!
人が産まれて初めて出会う人は親でしょう?そこから人生は始まるわけでしょう?漣は天真爛漫な少年だった。それが葵との事で挫折感を味わった。その後無気力な青年となりもうなんでもええわとチーズ工房で働いてる。
いや、そこまで性格変わる?(笑)
そうなるまで親のフォローはなかったん?それとも警察沙汰でめっちゃ怒られて親にも心閉ざしたとか?
周囲に白い目で見られたとか?
家業の工場つぶれて進学できなかったとか?
あの天真爛漫な少年が8年もの間立ち直るきっかけもなくここまでクサったというのか?どーも納得いかん。
家族など一切登場しない2人だけのラブストーリーならそれでもいい。
しかしそれだけではないスケールの大きな人と人との物語って宣伝しとるやないかい!
で、この二人が離れていても互いを支えとして生きてきた?
いやいやいやいや。
え、ありましたか、そんな場面?
ラブストーリーとしての説得力もありません。たいしてすれ違ってもないし、それぞれの人生生きてただけだし、運命によって引き離されたってあれは単に子供だっただけだし、人と人との巡り合いって、ただ大勢役者が出てきて普通にいい芝居してただけだし。
最後はさほど強い想いも感じられないこの二人が唐突にテレパシーで引き寄せられるが如く再会しあっさり結ばれる。
えーっっ!!?
長年会ってもない大人になった2人が
中学時代の続きのように再会したら
いきなり抱き合ってハッピーエンドって。
頭おかしいやん(笑)
しかも花火をバックに君らが抱き合ってる間もほったらかしてきた幼い娘は
父の帰りを待ってると思うんだが?
行き先もちゃんと告げず、人任せにして可哀想に。
香が命がけで生んだ子だぞ?
結を頼むと病室で言われたやろ!
そして美瑛→函館、車飛ばして6時間。
今日中には帰れまい。
お泊まりかこのやろう。
最低や。鬼畜め。
どこが愛の物語だよ!
そもそも葵ちゃんのような向上心の高いガッツのある女が嫌な思い出しかない美瑛に戻るかね?
そんな惨めな過去など消してしまいたくなるんとちゃうかね?
急に食堂のおばちゃんに会いたくなって行ったとしてもだ、偶然そこで漣に会ったとしてもだ、あらお久しぶり!懐かしいわねーで終了やと思うけど。
わざわざ自分の封印したい黒歴史を思い出させる
子連れの冴えない田舎モンと一緒になるかね?(すまない菅田くん)
てか漣は葵→香→葵
そして葵も漣→水島→漣
君らの人生には異性は2人しか登場しないのか。もっと他に目を向けろよ。
てか葵ちゃん今からでもシンガポール
行きなよー!
リアルに考えれば葵ちゃんは虐待された過去があり子育て経験もないのに人の子を育てることへの不安や葛藤だとか、その子の祖父母に当たる香の両親との関わり方だとか色々デリケートな問題があると思う。
そんな二人の関係なのにやっぱりいくら作り物とはいえあんな能天気なハッピーエンドはおかしいんだ。
見てて気持ち悪いんだ。無理!
ったく、なんで大の大人がこんな説得力ないもん作ったかな。
役者はこの脚本に納得して演じたのだろうか。
いや監督、さすがにこの展開はおかしいっすよと誰か忠告しなかったのか。
期待しすぎた、、。瀬々監督だったし菅田将暉だったし、じーんと胸を打つ人間ドラマであろうと勝手に思い込んだのが敗因だ。
子役含め役者は皆良かったです。
しかし脚本がお粗末。お粗末すぎる。
葵はまだしも、北海道のド田舎から出たことない漣がなぜ「北の国から」並みの北海道弁を使ってないのか?
タバコ吸えないくせしてなぜ斎藤工は喫煙シーンを断らないのか疑問しか残らない残念な作品だった。