猿楽町で会いましょうのレビュー・感想・評価
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逃げることは、進むこと
うわ、これは久しぶりにすごいものを観てる!と、かなり早い段階からぞくぞく。この瞬間が過ぎていくのが惜しい、終わってほしくない!と、ざわつく気持ちを抑えながら、スクリーンを凝視した。
予告編を観たときは、うわ、ベタだな、と正直引いた。渋谷の片隅で、ふわふわと夢を追う、若い男女の話…。けれども、なぜか気になる気持ちがふくらんでいき、終映日にすべり込み。結果、観て本当によかった!と思えた。
なぜ、よかった!のか。どこが、どうすごいのか。
この映画は、甘さを寄せつけない。出会って、近づいて、のステップはありがちで、きっとこの後はすれ違いや別れがある、そんな予感はあった。けれども、2章として彼女目線で物語が改めて語られたとき、そのあまりの落差に愕然とし、目が離せなくなった。
夢を追いかける、やりたいことをやる、ということは、いかに自他に犠牲を強いて、人に取り入り、蹴落とすことを必要とするのか。そんなずるさをユカは怯まず体現し、醜さを人前にさらす。ユカを取り巻く人々も、みんなずるく、醜い。それでいて、嫌なやつと切り捨てられない。一面では余裕綽々で人を惑わすものをちらつかせる人も、他方では必死で、なりふり構っていられない切実さがある(はず)だから。とても他人事とは片付けられず、もつれていく彼らの行く末を見届けたくなった。
小山田は、きっと早いうちからユカの嘘に気付いていたはずだ。けれども、似たような傷があるから(スマホを覗き見ている負い目があったから)、優しく物分かりのよい態度を保っていた。激情から彼女の嘘を暴いたとき、彼は自分の嘘さえも自身に突きつけてしまう。それは本当に優しさだったのか、と。好きだから、と相手をやみくもに信じようとするのは、目前の嘘(かもしれないこと)から、平然と目を背けることではないのか、と。
写真一枚を残し、彼は部屋を出ていく。淡々とした姿に、彼は逃げていく、と言い換えたくなった。
人は、何かから本気で逃げ出そうとしないと、前に進めないのかもしれない。
【未完成映画予告編大賞グランプリ受賞作】構成が面白い作品。リアルな「痛々しさ」が残る佳作。
本作は、「未完成映画予告編大賞」という「未完成映画」の予告編映像(3分以内)でタイトルに具体的な地名が入った作品で競う映画賞において「グランプリ」を受賞した作品がベースになっています。
長編監督デビュー作で低予算での枠組みなので、キャスト陣は知る人ぞ知るという感じです。
つまり、内容が勝負な作品です。
内容は、割とリアルな設定のため、「痛々しさ」がまとわりついています。
思わず「これは実話としてもあり得るな」と思ってしまうなど、荒唐無稽とは思えない映画となっている時点で、「児山隆監督」が誕生した瞬間でしょう。
そして、本作は何といっても構成が面白く、まずは
【chapter1】として「2019年6月~2019年7月」を描いています。
次は、どこに進むのかというと、
【chapter2】として「2018年3月~2019年7月」を描くのです。
これは決して「トリッキーな時間軸いじり」ではなく、あくまで必然性を持ちながらの構成です。
この辺りの時間軸の構成力が上手く、一見すると交わりそうにない人たちがどのように交わっていくのかが自然と追えるようになっています。そして
【chapter3】では「2019年8月~」を描き、物語を進めます。
男女の恋愛模様に加えて、カメラマン、モデルとして業界あるあるな「売れる、売れない」という非常にシビアな世界を痛々しくもリアルに描いているので好みは分かれるかもしれません。
好みの問題はさておき、さすがはCMディレクターでの経験も生きていて、長編監督デビュー作では出来が良いと思います。
子供と大人の狭間で、無垢な永遠の天国を探したすべての人たちへ
主題歌の歌詞までもが映画の一部となっており、エンドロール中に涙が止まらなかった。
あの頃僕たちは、大人になりたくて、でも大人になんかなりたくなくて、でももう子供じゃないんだって思ってて、でもいつまでも子供のように純粋でいたくて。
だからこそ誰かの愛が欲しくて、体温が欲しくて、ずっとずっとあるはずのない天国を探していた。
純粋さは時に何よりも残酷で、だからこそ自分でもコントロールできなくて、受けた痛みに生きている実感を感じたりした。
きっと今もこんな青年と女の子は、無理に住んでいる都心のアパートで、永遠を口にしては仮初の安心の中で震えているだろう。
渋谷の近くに住めば、何かになれると思ったんだろう?
たった数ヶ月や1、2年のことでも、傷は深く、すべてが麻痺しまくった大人になっても、甘美な瘡蓋はまだ自分のどこかに残っている。
久しぶりに少し剥がして、中のぐちゅぐちゅが見てみたい。そんな人におすすめです。
これが刺さらない人、楽しい人生を歩んできたんだろうな。羨ましいです。
僕は、刺さりすぎてダメでした。また見てしまいそう。
作品に込められたメッセージがつかめないけど、
予備知識0で鑑賞。嘘つき自己中女の身勝手話はよくある話なので展開こそ凡庸でしたが、主演の2人をはじめ役者さん全員の真剣な演技に引き込まれましたので★4。マイナスの内訳は特に終盤、あの状況であんな撮り方ではほとんどブレて使えないだろうなあが☆0.5。「何者ではない者は何者でもないから堅実に生きろ」なのか、「ある人にとって東京は嘘をつかないと生きられないコワイところだよ」なのか、「主題歌を映像化してみた」なのか、監督が作品に込めたメッセージはつかめなかったので、他の人のレビュー巡回にて残りの☆0.5を回収しにいきます。
現代社会の表裏を煌びやかに残酷に絡み合う
2021年劇場(配信)鑑賞49本目 傑作 79点
現代の若者を一番顕著に描いた群像劇
もう女の子役がメンヘラのメンヘラ、卑屈で拗らしてるクソっぷりが凄い、言い方悪いけど顔もまさしくそう。
脚本も凄く良く出来てる。
なんか観てる最中これ良いなぁ凄いなあと思いながら鑑賞してたのは覚えているが、今文字に思い起こそうとするとなんだか気持ち悪い、なんか上手く思い出せないし思い出したくない。笑
けど、2021年個人的ランキング5位にランクインした作品です。
是非
全員クズ 19本目 (再込22本目)
モブ以外出てくる奴全員クズ。(褒めてる)
ちょっと時間をずらしながら同じ場面をを違う視点から観るパターンの映画。最近だと『最後の決闘裁判』みたいな?このタイプの映画は行動の裏や理由が詳しくわかるので好き。
『うみべの女の子』を観て石川瑠夏さんにハマったのでこの作品も鑑賞。キャスティングも良いし演技力も良かった。
全体を通じて女性の怖さ、ヒロインがつく嘘や、古着屋の変な声の男の行動で、社会的弱者の被る仮面についてが上手く描かれていたと思う。
猿楽町て知名度あるの?
渋谷と言えば道玄坂やセンター街は有名だけどこの町名読めませんでした 悪徳?スクールや夢をもって都会へ出たものの的なお話 読者モデルとかどの様な契約になってるのか事務所とか通さないのモデルとカメラマンが直でやり取りしたらトラブルも!石川もすっかりエロ専門女優に真剣交際まで至らないのに簡単にヤリたがる男女も違和感エロシーンを無くして普通の物語にした方が現実味があったと どうせ脱ぐなら小西に脱いで欲しかったけど!
猿楽町 渋谷繁華街も代官山も微妙に遠い
前提知識あまりなく下北沢で
街の上での流れの映画かと思っていたら大違い
割と激しめの部分もあるが結構現実にありそうなことだし、何かどんでん返しで主人公女性が実は男性、だからみたいなと確信してたがあっけなくはずれ
主人公同士、主人公女性がらみシーンは疲れたが主人公男性仕事がらみシーンの間で息つけた
観終わり直後は星1つと思っていたが、落ち着いたらよかったのかなと思える不思議な映画で星4
優れた脚本と等身大の演技に感心
チャプターが3つに分かれており、スタートでは、駆け出しのカメラマンと売れない読モの純愛映画か?と思うが、
チャプター1が、カメラマン視点に終始していたためだった。2、3で実は、、、が描かれており、1での伏線が回収されていく。1では伏線ぽくなく、現実世界の厳しさ故と思われるありふれた場面でも、2、3で回収されている。売れないカメラマンを金子さん、読モを石川さんが演じているが、感情移入しやすく素晴らしい。特に石川さんは、本当に主人公ユカなんでは?と思うくらい、見た目は明るいのに裏では、、、と思うくらいはまり役と感じた。
優れた良作です。
女性は怖いね
自分が観客ならば、を考えるべき
鑑賞料金を高く感じた。
本作を観たあと、正直に抱いた思いです。
悪い作品ではありません。
それにしても、映画ではないのです。
YouTubeなどの長尺CMのコンプリート版とでも言えるでしょうか。
やはり、商業映像出身の域を超えられなかったようですね。
等身大の世界観。
普通すぎる人物たち。
よくありそうな物語。
これらが上手にまとめられた映像。
それだけなのです。
観たあとに話すべきこともなく、料金を払ってCMを観に来た。
そんな思いだけが残りました。
児山さんは映画へ進出せずに、コマーシャリズムな映像に徹するべきでしょう。
胸にズドンときたものは。
観賞後に自分の胸の中に結構ズドンとくるものがあったんだけど時間が経ってもそれが一体何なのかを言語化できずにいます。
何が良かったのか自分でもよく分からないけどなんか良かったなぁ、という作品でした。
ユカには最初から嫌悪感を抱いてしまい、(絶対に友達にはなれないタイプだわ)(こういう子ほんとにいるよね)(あ、あの子にそっくりだわ)などと考えて観てました。
今ドキの言葉で言うと「あざとい」「メンヘラ」女、ってところでしょうか。読者モデルの撮影場面での作った表情さえも可愛いんだけど腹が立ってしまって(笑)。
それは石川瑠華さんの体当たりの演技がとても良かったってことです!
小山田は純粋な青年ですよね。ユカを本気で好きだからこそあんな行動を取ってしまったけどでもそれは(わかる。。)ってなりました。
演じた金子大地さん、雰囲気が塚本高史さんにちょっと似てましたね。塚本さんが若い頃にやりそうな役だったし。
結構生々しい部分もあったけどかなりリアル。
地方から夢を求めて上京してきた女の子の現実。
特にユカみたいに芸能界に憧れて東京に来ても高い家賃やレッスン代に苦労して夜のお仕事や風俗的なバイトをしていつしかそれが本職になっていく—。
小山田は少しずつ夢を叶えていってたけどこれからどうなるのかな?成功してほしいな。
脇の人たちの妬みなどの感情もすごくリアルだったし人間の嫌な部分をストレートに描いていて。
あ、わかった!冒頭に書いた私の胸にズドンときたものの正体は誰もが持っている隠しておきたい過去や醜い感情などを描いたその怖しいほどのストレートさだったんだわ。
欲という名のホラー
自分を認めて貰いたいが故についた小さな嘘が積み重なり、いつしか自分自身が分からなくなる。金子大地の純粋さと石川瑠華の危うい存在感が生み出す化学変化にゾクゾクした。
もう石川瑠華が「こういう奴マジでおるやん!」てな具合に生々しいから、石川瑠華=嘘つきって先入観が生まれそう。金子大地のどこまでも純粋で真っ直ぐな瞳にも魅了されたな。カメラ目線で見つめられた時はドキッとした。
「何にも無さそうだけど何か持ってる」役者です。久しぶりに追いかけてみたい役者に出会った。
これと言って派手な展開は無いのだけど、ホラー的な演出やサスペンスがグッと効いてるので一発触発の張り詰めた空気感に包まれる。東京国際映画祭スプラッター部門に出品されたのも納得。表面的なスプラッターは無いけど、内面的なスプラッター映画と言ってもいいのでは?
今泉力哉をリアルで面倒な恋愛映画の旗手とするなら児山陵はリアルで痛々しい恋愛映画の旗手と言ったところか。
つらくて切なく彷徨う心を描きます。
昨年から観たくて観たくて仕方
なかった作品。金子さんに石川さん。
有望若手俳優が期待をさらに高めて
くれます。
自身の都合を優先する女性が
素直な男性を振り回す物語にように
見えますが、、、たまたま出会った男女の
行き着いた先が「恋」のような場所で、
その場所を求めた経路が異なるが故に
展開するストーリー・・・
うん、これもラブストーリーだよなぁ。
予告編で映し出されてたコピーを
頭に思い浮かべてました。
求めた経路の違い。
それこそが本作のテーマの一つであろうと
思ってる「自分らしさの見つけ方」の
違いなのではないかなぁ?って思います。
「自分を、やりたいことを自ら見つける」子、
「評価され、求められることで自分を見出す」子。
そんな二人の出会ってから、自分の気持ちに
正直に素直に生き続ける姿を丁寧に、
語り過ぎずに映し出していきます。
本作では行動の経緯は描いてくれますが、
その行動をした理由を明確に描いてくれません。
きっと、そこは主人公二人の気持ちを、考え方を
読み取り、観たものが自由に考えれば良いという
ことなんじゃぁないかな?って思います。
だから、この子はどういうこなんだろう?って
考えさせてくれるシーンがたくさんあります。
さらに、感情の起伏もよく描いてくれます。
行動の経緯を細かい描写で見せてくれます。
多くの小山田像、ユカ像があるような気がします。
まさに「自分らしさの見つけ方」の種類くらいに
あるのだと思います。
「自分らしさ」を見つけている最中の方々には
心当たりあるような描写が多いのではないかなぁ?
って思います。また、猿楽町(渋谷)って舞台であれば
なおさら、多くの小山田とユカが居そうな感じです。
この二人のように、まだ見ぬ、見えぬ自分や将来の
不安を抱きつつも共にもがいている若者がたくさん
いるんじゃぁないかなぁ?なぁんて思います。
児山監督、初長編なんですよね。
すごいなぁ。って感心しきりです。脚本含め。
役者さんたちの演技・・・特に表情・・・
よくぞ引き出したなぁと。
石川さんの表情で胸が締め付けられ、
金子さんの叫びにつらくなりと、
気持ちがブンブン振り回されます。
そして街の表情が秀逸です。時に冷たく
時に煌びやか、時にハッピーな未来を
期待できるような・・・。いやーすごいです。
次回作も大いに期待したいです。秀作です。
あ、余談ですが、
「あなたはどんな人ですか?」の面接時質問された
時のユカ(石川さん)の表情が2021年現時点で
僕の中で最高の表情(の演技)です。
腹立つ
札幌出身の金子君目当てで鑑賞🎬
金子君とても良かった!
良く出来た映画ですが
とにもかくにも、田中ユカのキャラがめっちゃ腹立つ笑
小山田君が純粋で、とてつもなく良い青年に思えたのは、まわりが良くない人達だからかな?
元カレもアレだし
田中ユカはその後
地元に帰って働くタイプと想像
でもまた新しい彼氏がいそう
可愛いなぁ可愛いなぁと思って付き合ったらとんでもない人だった
そんな映画ですね🎦
でも、こうゆう日常は沢山ありそう
この世界。
登場人物全員嫌い
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新米のカメラマン小山田が読モのユカの撮影を担当したことから、あざとくて可愛い掴みどころのないユカのことを好きになっていく話。
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ユカって女に嫌われる女タイプ(少なくとも私はこういう女嫌い)で、ポテチの袋は開けられなくてカルピスサワーとほろよいの桃を飲んで、ブラがスケスケの白ティーに短パンの部屋着に、1本しか啜らないうどん。そして何より自分が一番辛い時にまず男に頼る女。
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それでも最後にクラスメイトが学芸会でダンスに立候補した時に手を挙げなかった自分が恥ずかしかったと言うユカは自分よりは偉いと思った。私は未だにやりたいと思ってもずっと手を挙げない人生を歩んでる気がする。
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そして、ユカのようなあざといメンヘラ女を生み出しているのはこの映画に出てくる男たちだと思う。性的に搾取されたり、ちょっと隙があるからって変な男に言い寄られてしまったり、都合良く扱われたり。
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ちゃんと大事にしていた小山田だって、人の言葉で自分を見繕っている中身空っぽのユカの本当の部分ってあんまり見てなくて、ただ可愛いから好きになったように見えたな。
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男性からしたら「ぶりっ子でも可愛いから良い」とよく言うけど、それは男性が自分にとって得なだけの自己中心的な主張に感じるし、ユカみたいな子にとって本当にそうやって生きるのは幸せなのかと思ってしまう。絶対友達いないし。
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登場人物全員嫌いだけど、自分の友達の嫌なところ全部集めたらこうなりそう。
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君、自覚あるの? どっちでもいいけど
読者モデル出身の若い女性タレントと若い写真家の恋。石川瑠華と金子大地が好演。石川瑠華はなんか持ってる。自身の経歴とダブるような役柄ではあったものの、映画初出演・初出演でこの堂々たる演技。小西桜子は美味しい役だったけど、彼女も「初恋」、「ファンシー」で出演ながら堂々としていた。
時間軸の構成ににゃっとさせられました。
自覚に乏しい女の子に振り回される複数の男たちの哀愁もなかなかよい。
おしゃれな映画。
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