「涙を笑顔で隠して。91歳のセックス・セラピストの輝き。」おしえて!ドクター・ルース MPさんの映画レビュー(感想・評価)
涙を笑顔で隠して。91歳のセックス・セラピストの輝き。
91歳のセックス・セラピスト。とてもキャッチーな肩書きが興味をそそる。そして、画面に登場しドクター・ルースは、ラジオの"セックス相談室"に電話してくる悩める現代人の切実な相談に、明るく、そして的確に答えていく。明るいのは生来のキャラクターだが、世界の名だたる名門大学でヒューマン・セクシュアリティを学んだ経験値を元手に、もぞもぞした相談を軽く一刀両断にいていく彼女のアドバイスの、何と的確で端的なことか!?「そうですねぇ、えーと、それはですねぇ」的な対応は皆無なのだ。同時に、第二次大戦のホロコーストで家族を亡くした凄絶な過去を、その底抜けに明るい笑顔の裏側に隠していることを知ると、ドクター・ルースのことが余計に愛おしく思えてくる。それ以上に、彼女は最愛の夫に恵まれ、子供たちからも尊敬され、仕事で大成功し、今も現役バリバリ。つまり、女性としてすべてを手に入れた理想的な成功者なのだ。だから、本作を"女性のための人生セラピー・ドキュメント"と名付けたい。
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