「苛々を通り越して怒りすら湧く」新解釈・三國志 ともにょんさんの映画レビュー(感想・評価)
苛々を通り越して怒りすら湧く
意地で最後まで見ましたが、こんな映画初めてです。
もう演義の要素すらない。
貂蝉を差し向けたのは王允であって劉備じゃないし、そもそも貂蝉を推薦した趙雲はこの時まだ劉備の配下ではない。
(それに、渡辺直美が歴史的観点での美女だと何度も強調するなら、趙雲など他の美男とされている登場人物も歴史的観点での美男にすべきであって、彼女を遠回しに笑いものにしている感が酷いし、後に曹操が歴史的観点とやらに当てはめると美女ではない小喬を欲しがる理由がない)
長坂で麋夫人が趙雲に阿斗を託したのは、自分は足を負傷して逃げきれないと分かっていたからで、捕虜になるのを避ける為に井戸に飛び込んだのであり、あんな軽い飛び込みではなく確実に自死する為。
周瑜は諸葛亮と劉備を闇討ちしてやろうかと考える程に警戒していたが、赤壁での同盟の証に孫権の妹(尚香)は劉備と結婚している。
曹操が欲しがっていたのは大喬と小喬の二喬で、余談だがレッドクリフでは大喬になっている。
(大喬は孫権の兄である亡き孫策の嫁、小喬は周瑜の嫁)
魏に潜入していた劉備配下の龐統が魏軍の船同士を繋げるよう仕向け、黄蓋(老将)が魏に下る振りをして魏軍の船に近付いて火をつけた。
ついでに言うと、逃げた魏軍の曹操は、過去に曹操の食客だった事がある関羽が義理で見逃してくれた。
以上が三國無双と中国ドラマ(途中までしか見ていない)の知識。
ちゃんとした三国志演義が見たいなら、長いけど中国で作られた古い方の三国志のドラマをオススメします。
時々冗長な感じはしますが、没落した劉備がわらじを売っている所から始まり、合戦シーンは人民解放軍を動員しているので迫力があります。
あと、日本とは違い、姓名字(せい、な、あざな)をフルで呼ぶ事はありません。
普通は家族の間でも名というのは諱(いみな)なので字(あざな)で呼びます。
他人が軽々しく名で呼んだらその場で切り殺されても仕方ないくらい重要なものです。
皆、劉備とか曹操とか普通に呼んでましたけど、だったら全員姓名で統一してくれれば苛つく事もなかったんですがね。
諸葛亮孔明と名乗るバカはいません。
カタカナや英語を使っている時点で、新解釈でも何でもない、ただ三國志の登場人物を使った寒い学芸会だとしか言いようがないです。