ブラインドスポッティングのレビュー・感想・評価
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こんなに感動させられるとは...
観る前までは、黒人差別に焦点をあてたヒップホップ映画かなと思っていたが、全然違った。違ったというか、そんな単純なものじゃなかった。
黒人に対してだけでなく、盲点から生まれる全ての差別について考えさせられる映画だった。
黒人だからといってギャングみたいに見られる人、黒人社会で育ったのに無理して悪ぶる白人にしか見られない人、高級化する街に居場所を奪われる人、逆に住み易くなって喜ぶ人、警察に射殺される丸腰の黒人青年、その青年を射殺してしまった警官。
それぞれの人にはそれぞれの世界の見え方があり、何が正しいとは決まっていない。ただ、相手が自分とは違う世界の見え方をしていることを理解しないと、そこから差別が生まれてしまう。
そんな深そうな反面、主役2人の軽快なノリのおかげで、ものすごくポップなエンタテインメント映画に仕上がっている。
とにかく色んな人におすすめしたい作品。
ミィルフィーユ
オークランドはサンフランシスコのお隣。今は高級化が進み、元からいた住民がいなくなり、IT系の儲かった皆さんが移り住んできている。
そんな街で引越し屋で勤めているコリンは一年続いた保護観察が後3日で終わるという緊張走る時期。
彼の幼馴染で親友で一緒にトラックで運送屋しているマイルズはちょっといっちゃってるこの界隈では少数派だった白人。だったというのは最近はよそ者が移り住んできているので、白人そのものは珍しくなくなってしまっているからだ。
そんなある日、コリンは事件を目撃することとなって。
ともかく、一つ一つの題材が全て三層くらい重なり合ってて、何一つとして単純ではない。それらの諸問題が絡み合い、まさに一筋縄ではいかないストーリーが展開されていく。人種差別を取り扱っているのだが、差別はそれだけではないし、登場人物の人種も入り組んでいる。(アジア人も極東系もいればインド系もいる。)
しかし同時にメインキャラクターであるコリンとマイルズのやりとりは普通の会話のようなのだが、他の誰に聞かせるわけでもないラップになってて軽快だし、スラングも独特だが言葉匠で聴き心地がいい。コメディ要素もいっぱいで鼻で笑う系から、声が出てしまう系まであり見ていて楽しい。
あとかっこいい。かっこいいのだ。
まさに盲点
「ブラインド・スポッティング」まさに盲点。
ブラックにはホワイトの暮らしは見えないし、ホワイトにはブラックの苦悩は分からない。ましてやホワイト・イン・ブラックかどんな思いを持っているのか、ブラックの世界から出ようとしているブラックにとってのコミュニティとはどんなものなのか、他の人には分からない。
そんな分かり合えない世界で暮らすコリンとマイルズをユーモアとリズムを交えて描いた傑作。特にヒップホップのフュージョン感覚が活かされており、素晴らしい。
主役の二人が脚本も書いているということで、緩急自在のストーリーテリングとまさにストリート感覚のラップが良い。
オークランドの今を切り取るマスターピース。
見逃すべきじゃない。
笑いもあるけど恐ろしいシーンもあり。
ハラハラドキドキ感が凄かったです。
1年間の保護観察期間を何事も無く過ごせば無罪放免なんだけどラスト3日で色々な事態が発生。
「我慢しろよ!」とか「止めろ!」とか叫びたくなります。
銃社会の恐ろしさが伝わってきます。
そしてラストのラップで語るシーンは迫力あって圧巻!
ラップは苦手だったけど本作では違和感無く楽しめました( ´∀`)
2019年ベストムービー!⭐️⭐️⭐️✨
アメリカはオークランドが舞台の社会派ドラマ…地元貧困層の心情をきめ細かに描き、秀逸だ。この監督の次回作にも期待が上がる…そんな作品。
タランティーノの新作など話題作が多い中、地味に公開されているが、見逃すのはもったいない!
オススメです!(笑)
オークの国OAKLAND
服役を終えて1年の指導監督期間をマジメに過ごし残り3日で晴れて普通の生活に戻れる黒人男性が旧知の仲である白人の親友の悪ノリに振り回される話。
23時の門限に焦り帰宅途中の主人公の眼前で事件が起きて、それが心につかえた状態ながら生き方を変えて行こうとする心情が伝わってくる中で厄介ごとに巻き込まれて行く。
若い世代のヤンチャな生体をみせつつ人種差別や警察の横暴等を孕んだドラマで、終盤の盛り上がりばかりという感じは否めないながらなかなか面白かった。
ヴァルの服が気になって仕方ないw
黒と白の違い
銃を突きつけて怒涛のようにラップで攻め立てるシーンは迫力があり、圧倒された。
白人警官を絶対悪としては描かない、二人の友情も何ら変わらないように映る終わり方が良い。
自分の状況が変わった時に覆ってしまう価値観や考え方など、居る場所は同じなのに変化する何かや、変わらずにある物や事柄。
二人の関係性がD・エアーの「バッドタイム」にも似たような雰囲気があり「憎しみ」のハラハラする展開も思い出したりして。
とにかくこの二人から目が離せない、見捨てることは出来ない、魅力溢れるコンビ感が心地良い。
すごくよかった
ずっと地元で暮らして幼馴染と友達付き合いしている青年たちだが、大人になると家庭を持ったり持たなかったり、悪さのレベルも司法が介入するレベルになり、それでも仲良くつるんでいるのが頼もしい。オレにはそんな友達はすっかり絶滅してしまい、うらやましいばかりだ。
保護観察が終了まで残り3日という状況設定が、何気ない日常でも「何か起こったら?」とスリリングに感じさせる。ストーリーでぐいぐい引っ張られる感じはないのだけど、日常の引っ越し業務や家族の存在がすごく生々しくリアルだった。
映画秘宝で紹介を描かせていただいた。
nigga ≒ , ≠ nigger
"COMMANDER MOVING"という引越し屋に勤めている幼馴染のコリンとマイルズのいかにもいかつい2人のいい大人が、今夜もつるんでいると、なぜか乗れない男コリン。それもそのはずで、1年間待った日本ではみられない保護観察期間満了まであと3日、穏便に何事もなく、ましてトラブルなんてチョー大変。その上、仮住まいの更生復帰施設には門限もあり、しかも行動範囲つまり自分自身だけで行ける地域も限定されている。そのことが最後にオークランドの地域図を破り捨てるところでわかるし、施設の管理者からはコリンの度重なる門限破りに目を光らしているプレッシャーもかけられている。
I, uh, saw the cops kill a nigga last night.
そしてある夜、コリンが1人でいつもの運送トラックを運転して赤信号で待っていると突然、トラックの前に黒人青年が飛び出してきて、その彼の後を追ってきた警官が警告もなしに発砲し、黒人青年は道端に倒れたまま動かなくなってしまっている。コリンはバックミラーで彼の姿を見えると同時にちょうど運転席の横に警官が立っており、警官もまた瞳孔を開いたまま放心状態で魂を抜かれたかのようにこちらを見つめていた。
その夜から何故かコリンは警官に射殺された黒人青年を何とかしてやれたのではないかと思ったのか、いつかは自分もあのような姿になると思っているのか、次の日からは悪夢や幻覚を見るようになり、そのことを悩み憂鬱な日々が続いていく。
そんな中、昔付き合っていたヴァルからも過去のことで
What if the cops showed up
and they saw you stomping that white dude?
Who do you think they would have shot? Miles?
なんて言われ完全にヴァルがコリンと距離をおいていることがわかる。
マイルズとマイルズの妻、アシュリーとの子供ショーン(ショーン役のジギー・ベイティンガー君、すみませんでした。最後の最後まであなたのことをheと言われなければず~ッと女の子と思っていました)。彼がある事をしたために、怒ったアシュリーはコリンと旦那のマイルズ2人とも家から追い出してしまう。
そんなことはお構いなしに2人してパーティに行くがそこでマイルズが些細なことから黒人青年と喧嘩になってしまう。マイルズのことがわからなくなったコリンが..........?
Yeah, my nigga.
-Yeah, bruh.
Nope. Say it.
-What?
Say"nigga."
-Oh, fuck you!
Say it! Say, "Yeah, my nigga!"
-No, and you know........Come the fuck on!
But........But why?
-'Cause you know I don't say that shit!
-You been calling me that since we were 12 years old.
........................
“nigga”という言葉が、マイルズの中では2人の間に何故か垣根のような隔たりを感じさせる場面となっている。
ラストのシーン、引越しを受けた先が、あの警官の家だとわかるとコリンは、感情をラップの韻を踏みながらあらわにし、警官に詰め寄る。
The difference between me and you is.......
I ain't no killer.
I ain't no killer.
最後は、キュートな終わり方で次の行き先は、有名なフットボールチームのクウォーターバック.........なんていつの間にか普段の2人となっていました。
ちなみにアメリカの受刑者の数は世界の受刑者の1/4とも言われ、犯罪者の数は当然のこととして、それを上回ると考えると、この映画の保護観察制度というのも納得ができ、オークランドの地が古くは、ブラックパンサー・パーティの発祥の地として知られている。そのため黒人の人権活動の活発な土地柄もあってか、唯一無二の殺人者でカルト教団の教祖であるチャールズ・マンソンのおかげで、せっかく死刑を復活させたのに今年になってから州知事が、"一時中止”命令書にサインをしている。700人を超える死刑囚はどちらへ? しかしながら今現在でもカリフォルニア州の中でも犯罪が増加しているといわれるウエスト・オークランド。その地がこの映画の舞台となっているが、その危険な土地柄にもかかわらず、その反動の代わりと言っていいのか文化やファッションなどカウンターカルチャー(古い言葉?)特にミュージック・シーンの発信の地としても知られている。
前半のコミカルな2人のオトボケな場面も出てきていて、多少笑える部分も登場するが、ラストのシーン、マイルズが通称:グリーン・ジュースを飲む場面や途中、黒人青年の言った言葉やしぐさなどに差別とまでは言わないにしろ無意識に、また知らず知らずに抱いていた表現のしにくい感情、違和感に対して怒りを爆発するシーンを見ると映画の題名になった「Blindspotting」の意味を再確認できる。映画の中でも"脳が無意識にいつでも無視してしまう盲点?それを回避できると思っているとそうでもない。"という言葉。
何もなかったようにまた2人して引越し屋の仕事をこなしていくところは、何か言いようのない、ある意味爽やかさも感じてしまう心地よい映画と言ってよいものとなっている。
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