「何ッッでまだこんなことしてんだ俺ェェィ!!」カイジ ファイナルゲーム KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
何ッッでまだこんなことしてんだ俺ェェィ!!
20代の底辺カイジは活きが良くエネルギーが迸り、激しく燻るような色気を放つ青年だった。
あれから10年、30代も後半の今作のカイジにあの頃のギラつきはナリを潜めている。
それはそれで枯れかけた色気があって嫌いじゃないけどね!好き!!
しかし変わらない底辺生活、その似合い方よ。
未だ最低賃金でギャーギャー喚いている様が妙にリアルで、完全に哀れで惨めの領域。
東京オリンピック後、スラムと化したNIPPON、TOKYOを舞台に、政府の陰謀を止める為カイジ達の賭けが始まる。
缶ビール1000円、コンビーフ定食3000円。
消費税大幅増税、年金大幅カット。
2020年を迎えた今、この先の未来、あり得なくもなくもなくもなくもなくもない…よね?
今このご時世に響く言葉が多い。
国って誰のことなのか。一握りの富裕層だけが得をする世の中は正しいのか。
どん底のどん底まで落ちたことのあるカイジがだからこその頼もしさがある。
毎回凝った仕掛けのゲームを楽しみにしていたけれど、今回は少し予想外かつ期待外れな部分もあった。
自分のためにギリギリのところを責めゆくカイジが好きなので、今回の参加動機も賭けの内容もなんだか物足りない。
ただ、帝愛との深すぎる因縁には燃える。
本編の大部分を占める「人間秤」のパート、その内容は賭け事やゲームというよりも人間買収ドラマ。
金持ちをいかに自分の味方につけるか、いかに民衆の気を引くカリスマになるかの勝負。
このゲームに切羽詰まったモノはあまり感じられず、とにかく生きるか死ぬかでヒリヒリしてほしいんだよなぁ〜と思ってしまう。
いや、集団心理をまざまざと見せつけられて面白いんだけども。
大好きデスゲームも少し見られたし、ピーチクパーチク騒がしく疎ましかった桐野の役立つ所も見られたし。
おなじみのドンデン返しも、圧倒的不利な勝負のスリルも、頭の回転の良さも、いつも通りちゃんと楽しめたし。
しかしカイジって、頭が良いんだか悪いんだかね。短絡的で単純なところを抜いたら昇りつめられそうなのに。
新キャラ陣がなかなか良かった。
特に福士蒼汰演じる高倉。
藤原竜也、吉田剛太郎と、圧が強くアクが強く絆の強い役者に挟まれてナヨってしまうんじゃないかと心配だったけど、完全に張り合っていたしむしろ他を圧倒する程の存在感があった。
真剣佑はパッツンパッツンのスーツが気になりすぎてダメだった。もっとサイズ合うの着せてあげて!
懐かしき旧カイジメンバーとのちょっとした再会も嬉しい。絶対植毛してる班長好き。そして神出鬼没の遠藤女史。ハァー好きだ。
そこでアナタ出てくるのね!という人も。シリーズ通して観ているので軽率に沸いてしまう。
テレビ的な演出も、長いタネ明かしシーンも承知の上。
豪華キャスト陣は目で見て楽しいじゃない。
テンポの悪さと「人間秤」のインパクトのなさで若干テンションダウンしたものの、普通に面白くは観られた。
10年以上カイジのモノマネをされ続けている彼だからこそできる、ギャグ的なシーンには思わず吹き出してしまう。
完全にキャラ化してしまった藤原竜也の扱いは常々不満に思っているけど、やっぱりこういうことができるのは藤原竜也しかいないし、熟した藤原竜也がまだこんなことやってくれることに感謝だし、藤原竜也自身も楽しんでやっているのかなあなどと思うと、これまたキュンなのである。
とにかくビールが美味そう!でした。
キンキンに冷え切って悪魔的なビール。
1000億円もの勝負を終えた後ということも美味さを倍増しているんでしょうね~
この後『フォードvsフェラーリ』も続けて観ようかと思ったのですが、カイジだけで満足してしまいましたw