朝が来るのレビュー・感想・評価
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人生において子どもを育てるということとは
子育ては本当に大変なことで偉業である。人はなぜそこまでして子どもを生み育てるのか。
娯楽に溢れ、家族を持つことイコール幸せではなくなった現代に、その価値を問う物語。
河瀬直美監督の“役積み”により感情変化をじっくり丁寧に撮った作品。永作博美の悲壮感漂う演技が素晴らしい。
養子縁組など実際の当事者に話をしてもらったかのようなドキュメンタリータッチの演出で、以前の『光』を彷彿とさせる。
幸せのために子どもを生んだのに子育てに疲弊する家族という病のニュースや映画を最近よく見るが、子どもを持てることがどれだけ尊いことか、命の重さを改めて痛感させられる。
森林の描写は、自然は誰の子孫だとか関係なく全体で育んでいく象徴だからだろうか。
あらすじとしては、「子どもができない夫婦が養子をもらい幸せに暮らしていたある日、本当の母親が現れる」と簡単に言い表わせてしまうものだが、お互いの人生をそれぞれの視点から描きながら、それらが交わっていく時間軸を行き来しながら最後まで謎も引っ張る見事な構成。
子を持つ親としては、要所要所で涙腺を持っていかれた。
おやじギャグ
肝心な所で甘い。
朝が来る
現実か、映画か
河瀬監督の作品は今までに何度も拝見しています。
昔は抽象的な作品が多かったですが、「あん」以降は映画の輪郭がはっきりと写し出されるようになり、20代の私が見ても理解できる内容になってきています。
その中でもこの作品はとても印象深く残りました。
役者の方々の演技なのか現実なのか曖昧なくらい自然な演技、それを支えるカメラワークが素晴らしいことは言うまでもありませんが、途中にある木々の映像、広島の牡蠣の養殖の海、その意味を考えさせられる流れに圧倒されました。
身近なこととして考えたことのない、不妊症、養子縁組、思わぬ妊娠、出産、全てが自分のことのようにリアルに感じられ、観賞後には心にずしんと重みが残りました。
何が正解なのだろう、何が彼らの人生にとってベストなのだろう、とまるで映画の中の1人に自分がなったかのような。
前半は夫婦の人生が映し出され、後半にひかりの人生が映し出されるのも、より心をえぐられました。
河瀬監督だからこそ織りなせる、演出のリアリティ。
映画のメッセージがより鮮明に心に響きます。
この作品は色々な人に見て欲しいです。
邦画はこの道をこれ以上追うな。
やりたいことはわかるし、できているのだとも思う。
映像としての品質は間違いないものだと思う。
しかしどうにも分からないし、入っていけない。
そこにある状況を豊かに表現してはいるのだが、状況はいつもただそこにあるものとして、一定の距離をこちらと保ち続ける。最終的にメッセージは届くのだが、結果こちらも一線引いた反応をせざるを得ない。その要因がリアリティの欠如なのか、多すぎる心象表現なのか、構成のディテール不足なのかは分からないのだけど。
まるでドキュメンタリーとも評されているが、ニュースやドキュメンタリーとドラマはまるで違う。
「伝える」という側面において、フィクションとして詰め切れていない感が拭えません。
あくまでスタイルに準拠する話。まぁ個人的な趣向も多分に含んでいます。
ただこのスタイルでいいんだと、邦画界が相変わらずこの道に甘えるのはもう勘弁です。
この監督の力量をもってしてギリです。
「サラリーマン見たことある?」と思ってしまう居酒屋シーンの奇妙さ。
顔に「自然」と書いてあるような永作博美と井浦新の過度に自然な演技。
突然マンガから出てきたように現れる借金取り2人のキャラクター。
ポスト樹木希林を順調に歩みはじめた浅田美代子。
作品を背負うには頼りなさが否めない歌のクオリティ。
意地悪な見方をすれば、こういった見どころもありますが、少し胃もたれしました。
映画館出てから暫し動けなくなった
くらい感動しました。
日比谷シャンテまで行って良かった
クリスマスイルミネーションが
心落ち着かせてくれた😌💭
気持ちの描写ひとつひとつが
とてもゆっくりと丁寧に、
さらに綺麗な景色と共に流れていきます。
長時間ですが、私はこういう河瀬監督が大好きです。
みんな自分の事で精一杯で
ひかりの「その後」を想像してあげられる大人が居なかったね。周りの目だけを気にしてる両親なんてダメの代表だよ。
当事者のひかりにとっては思い出でも何でもない、
しっかりとした事実。それも若すぎて自分の思い通りには行かない現実。最後の手紙で分かった本当に言いたかった事。
どんな気持ちを背負って生きてきたのか·····
不自由なかった家を捨ててまで独りで生きてきたひかり。
好きな人達全員が敵になった時、どんなに絶望しただろう。
考えれば考えるほど、切ない。
ちゃんと見渡せば味方は居るはずなのに信じる事も難しい·····
「ちびたん」だけが拠り所だったんだろうな、
10代の5年間と大人の5年間では全然価値が違うから。
みんなそれなりに一生懸命なんだとおもう。
朝斗だって一生懸命で、
広島のお母さんとしてひかりを受け入れてて
最後のひと言がちゃんと言えて偉い偉い!
あのひと言が聞こえたらこの映画は完結します。
エンドロールの最後まで堪能して頂きたいです。
ちゃんと、もっとハッピーエンドが待ってます。
個人的に今年見た映画の中のNo.1!
親とは、子とは、家族とは、問いかけに心揺さぶられる
重い映画だ。
ドキュメンタリーと見紛うような演出。
観賞から2週間以上経っているのに、この映画のことが頭から離れない。間で他の映画も観たのに。
…河瀬直美、恐るべし!
特別養子縁組の制度を紹介すると共に、そこには二つの「対局の事情」が存在することを教えてくれている。
映画のストーリーは、産みの母を名乗る女が突然現れるサスペンスなのだが、養母(永作博美)と実母(蒔田彩珠)の両方の体験が丁寧に描かれていて、「対局の事情」を抱える二人の母親の両方に感情移入できるようになっている。
そして、時間と場所の組み替えが巧みで、上質のサスペンスでもある。
施設で、ある妊婦が取材を模したカメラに向かって、養子を待っている夫婦たちは唯一持てなかった子供を得ることで全てを手にするのだと、自分たちがそのお陰で助けられることは承知しながらも、不公平感を募らせている思いを吐露する。この涙のシーンは、子供を手放さなければならない彼女らにもやりきれない辛さがあることを示していて、胸が痛む。
育てられない親の子供を、産めない親の子供とする制度は合理的だが、人の心は割りきれない。だからこそ、浅田美代子演じる団体の主催者は、可能な限りの配慮をしつつ厳しいルールを課しているのだろう。
井浦新が無精子症と判明した夫の苦しみをにじませる。
特別養子縁組のセミナーで「来て良かった」と小さく呟く彼の表情と口調に、一縷の希望が見えた安堵が感じ取れる。
永作博美は、空港のロビーで泣き崩れる夫を抱き支える姿、赤ん坊を受け取って産みの親と面会したときのその産みの親である少女に向ける眼差し、友達を傷つけたと思い込んで謝る息子にかけるいたわりの言葉などで、深い優しさと包容力をみせる。
そして一転、産みの親を名乗る女に対して真実を見極めようと投げかける涙を浮かべた視線には、家族を守るという強い決意が表れている。
そして何より、蒔田彩珠が光っている。
なす術なく転落の運命を辿っていく少女の危うい姿が切ない。
純粋で、素直で、真面目な少女にはあまりにも過酷で、娘を持つ親である自分はいたたまれなかった。
最も蒔田彩珠に寄り添うべき母親(中島ひろ子)が彼女を責めるのだが、その心理は理解できる。理解はできるが、あの母親次第で少女の運命は全く違ったものになっていただろうと思うと、悲しい。
親とは、子供を信じて励まし支えていかなければならないのだが、思いどおりなならない苛立ち、無視できない世間体などから、いつの間にか親が子供を追い詰めてしまう現実。親である自分に「お前はどうだ?」と突き刺さる。
子供を信じ続けた永作博美と、蒔田彩珠を押さえつけようとした中島ひろ子は、母親像の対として描かれているようだ。
永作博美が蒔田彩珠を探し遂に見つけるラストのシークェンスは、この養母のできすぎなほど天晴れな行動に涙を禁じ得ない。
孤独で過酷な6年間を生きてきた少女に「朝が来る」のかもしれないと祈りに近い思いが込み上げる。
そして、エンドロールの最後、たった一言の台詞がとてつもない救いを示してくれるのだ。
…河瀬直美、恐るべし!
ドキュメンタリーのよう
良い映画でした
先日TBSラジオの番組で河瀬監督が映画の内容や特別養子縁組という制度の話をされているのを聞いたのをきっかけに映画を観に行ってきました。
子供を手放さざるをえない親が抱える問題や気持ちの葛藤。
子供を養子として迎える側の夫婦が持つ事情や悩み。
私自身3人の子供に恵まれ何の問題もなく親になりましたが、世の中には子供を授かるという事に関して様々な事情をもつ方がいるという事をリアルに感じ、自分の置かれた日常に感謝しなければいけないと考えさせられました。
好きな人の子供を授かり、それが望まない妊娠の場合、悩み、傷つき、責任を一番背負わざる得ないのは結局女性であるという現実。
こうした心の傷みを抱えなければならない人を少しでも減らす為に重要なのはやはり若者への教育だと思います。
性教育をはじめ異性を思いやる心の教育に目を向けてもらいたい。
若者をはじめできるだけ多くの人に観てもらいたい映画です。
良い映画を制作して下さった河瀬監督とキャスト・スタッフの方々に感謝です。
いい映画だった。 河瀬直美さんの作品を見たのは初めてだけど、ドキュ...
傑作で間違いない!!
うーん
二人の母親
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