朝が来るのレビュー・感想・評価
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少女は大人になりました
時代からして河瀬監督の意図した、この少女 そして養親たちの過酷な人生が、まるで走馬灯のように浮かび上がる構成
浅田さんの疲れた表情、心の描写は凄い!(やはり樹木さんの後を継ぐ人は貴方だ)
自分の不運を嘆く少女に「バカだからなんじゃない・」とヤクザさんの一言 今の時代表してすごい
ミスリードがうまい。
子どもを返して欲しい、と現れた若い女は一体誰なのか、たくみなミスリードで観ている人は最後の方まで判断がつかない。前半は夫婦、中盤は少女、が中心になって物語が進む。最後の数分で真相が明らかになる。最後の最後、一秒が大事。
何度も海の映像が出てくるのが印象的。
本当の主役は
はじめ主役は夫婦だと思って観ていたが、次第に主役は母親達に変わってくる。ドキュメンタリータッチの母親達のシーンはリアル。母親達の気持ちも事情も、それぞれなんだなぁと。
ラストの子どもの見つめるシーンがなんとも言えない。
あと、光の表現とか素敵でした。それと何気に浅田美代子の存在がすごい安心感。
なかったことにしないで
永作博美と井浦新の葛藤がメインかと思って見にいったが、この作品の主役は蒔田彩珠ですね。浅田美代子含め、みんな自然でとてもいい演技でした。
序盤はむしろ不妊の話。これはこれで世代によっては刺さるだろうな。。苦しい。。
中学生での出産、それを必死に隠そうとする親。何事もなかったように、はい、高校受験ねって言われて、心の整理ができるわけがない。。子供を産むことが決まった時点でもう戻れない。その重みをずしりと感じる。
ところどころ挟まるドキュメンタリータッチが妙にリアルさを演出していたように思います。
エンドロール後に救われました。子供の力って無敵だよな、ほんと。
あーアップの髪型の永作博美かわいかったなぁ。多少しわが増えてきたものの、50歳とは思えぬかわいさは健在でございました。
最後の最後に皆が救われた。
テーマが重い割にはあっさりした印象。
ドキュメンタリー風に淡々として話が進んでいく。ドロドロの愛憎劇にならないところは同じ題材を扱った「夕日のあと」と違うところかな。この作品のシナリオを見てないから何とも言えないが、ト書き部分が凄く多くて、演者の皆さんは大変だったと思います。河瀬監督にしては分かりやすい部類の作品です。
アサトヒカリを最後まで聴いて
MARVELがエンドロール終わりまで観させるのを常識にしたにも関わらず、未だに途中で帰るひとが多いのは理解できない。最後まで観るべき作品。最後の一言の破壊力たるや。
原作は未読です。ただ、終わり方はともかく、今まで辻村深月の小説でここまで憂鬱な気分になったことはないので、おそらく河瀬監督の色なのかなと思う。宣伝の仕方からもう少しミステリー調を想像してたら、かなりガツンときました。
夫婦のシーンも恋人たちのシーンも、幸せなはずの場面でも悲壮感が漂う。作品全体のトーンがただただ悲しい。
養子縁組とは、「子どもを持てないひとと、子どもを育てられないひとをつなげる制度」。そんなのは、一方的な考えなのだと思い知らされた。子どもを手放す側からすれば、恵まれない自分たちから恵まれた人間たちが子どもを取り上げて勝手に幸せになるようなもの。そんな考え方もあるのかと、「嫉妬」という一言で衝撃を受けた。
評価はもっとしてもよいのだけど、これもまた永作博美の「八日目の蝉」のときと同じく、親でなきゃ、母親でなきゃわからないことが多すぎて自分には正当な評価ができないので少し低め。それにしても青木崇高はチンピラが似合う。
登場人物への名付けが絶妙
2人の女性のドラマをそれぞれ映して、
最後に邂逅させる構成も
シーンの移り変わりに入る美しい風景画も情緒的で
素晴らしかった。
永作さんの演技は非の打ち所がない。
蒔田さんのどんなに堕ちても、
清さを感じられる姿も良かった。
表情を映すズームの連続で若干、映像に酔った感じは残りましたが。
たまに影を帯びるシーンで、永作さんがとても老けて見えました。映像って撮り方で、人物を如何様にも映し出すんだなあと感心。
樹木希林から浅田美代子へのバトン
河瀨直美監督作品といえば、音がとても重要な位置を占めている。デビュー作『萌の朱雀』、『殯の森』でも印象的だった森のざわめき、風にそよぐ音、静かな波の音、虫の声、いろんな音が伝わってきて五感を刺激してくるのです。永作博美目線と蒔田彩珠目線が交錯する描写だったけど、彼女たちの心象風景を表現しているかのように思われました。
そんな双方からの目線を繋ぐのはベビーバトンの浅田美代子。彼女の老けメイクや蒔田メイクのおかげで6年の月日がとてもわかりやすかった。辻村深月原作の『ツナグ』繋がり、『あん』の監督繋がり、適当に書いたつもりのタイトル通り、いろいろ繋がっている。個人的にはドラえもんとも繋がってほしかった・・・
何の予習もなく観たのですが、予告編からは『八日目の蝉』のようにミステリーになるのかと想像していたのに良い意味で裏切られた感じです。また、河瀨監督、是枝裕和監督に共通するドキュメンタリータッチの表現は健在。永作、井浦新の自然な夫婦感や片倉家の母親役・中島ひろ子がまるで親子のような雰囲気を出していました。
「ごめんなさい」をそれぞれの俳優が使い分けている。ほとんどが素敵な意味を持っている「ごめんなさい」。特に息子の朝斗が言う「ごめんなさい」はまるで大人の世界を理解しているかのようであり驚きでした。
特別養子縁組についての話でもあり、育ての親・産みの親それぞれの愛情が描かれていて、とても優しい作品でした。新聞販売所で知り合ったトモカや借金取りだって、ある意味優しい心の持ち主。優しさあふれる河瀨作品は全て地球の記憶にしたいくらいだ。ただ、今回はちょっと尺が長すぎと感じたし、マホとトモカの区別がつかなかったりしたけど・・・
永作博美さんの涙にもらい泣き
六本木ヒルズで
舞台挨拶付きで観れました。
河瀬監督ならではの独特の撮影方法を知りました。
役積みという撮影2週間くらい前から実際の役として、たとえば、家族として一緒に暮らしたりしながら
本番に入るというものでした。
永作さんが赤ちゃんのお包みを井浦さんと選んだの?
ほんとに?と思いました。
舞台挨拶ではそんな裏話が聞けて
2倍楽しめたかなと思いました。
原作は読まずに、養子縁組の話とだけ
予習して臨んだのですが、
もらい泣きしてしまうタイミングが何回もありました。
永作さんと井浦さんがほんとの夫婦として
悩んでいる感じが痛いほど伝わってきたし、
蒔田 彩珠さんの目まぐるしい変化や、浅田美代子さんのリアリティもほんとに刺さりました!
中学生が妊娠するというシリアスなテーマですが
最後の最後に救われて、晴れやかな気持ちに包まれ
アフターのご飯を美味しく頂くことができました。
ヒューマンドラマ好きの方、
必見です!
@六本木ヒルズ 東宝シネマズ
蒔田彩珠さんの進化を見た。
蒔田彩珠x河瀬直美監督というタッグに、蒔田さんの進化を見ました。
これまでは、暗いイメージが多かった蒔田さんの役は、
最近の映画では明るい役も出始めて印象が変わってきており、
この作品でその印象が非常に良い意味でぶち壊されました。
「役になりきる」という演技を作り出す河瀬組の映画の作り方は、蒔田さんの演技に深みを与え、
今まででも映画に締まりを生んでいた演技がさらに進化したように見えました。
あんな表情、あんな目、あんな声、どんな経験を積んだらできるんでしょうか。
本作の彼女の役はそういう一つ一つの経験が積み重なって成長ていく役なので、
その感情の運び方がすごすぎました。本当にすごかった。これは順撮りしたのかな、、、
蒔田さんの涙を見るたびにもらい泣きしていたので大変でした。。。笑
ラブシーンも美しいキスの映像や肌を触りあうシーンだけにとどめ、息遣いを中心に置く。
非常に女性らしい。
ストーリーには非常に重い軸がたくさん出て来る。メインは不妊治療だが、
そこから養子縁組の話を「子供が親を探すためのもの」と抽象し、
マイナスなイメージを持つ日本で入り込みやすい物語にしていること、
そもそも妊娠という女性の問題を女性監督が表現し、主要キャストも問題を抱えた女性が多い。
そこで生まれる絆を非常に良い距離間で表現していること。
それでもいろいろな不条理を抱えて生きていく人間たちの難しい生活を表現しているが、
それぞれのシーンをパズルのピースのようにちりばめ、
合間合間に美しい映像で時間経過で埋めていき、
全体的には非常に美しい物語にまとめられている。
女性らしい、「美しい映画」を見ているという感覚が襲ってくる。
カメラワークは非常にジンバルを使用したショットが多い。
完全にこれらは朝斗(息子)目線の映像なのだろうが、
そう思ってみているとちょっと?な部分があるのでもっと深い意味があったのかもしれない。
ただ、個人的には非常に全体の構図を意識した撮影方法と感じた。
ヨリの映像を三脚で撮ろうとすると、キャストさんにまずは一度テストしてもらい、演技を作る必要がある。これではリアリティにかけると感じたということか。
ジンバルを使用して、リアルタイムでキャストさんの表情、動きを追う、撮りたい構図にカメラマン(おそらく監督)が纏め上げる。ヨリの映像でジンバルが多いのは非常に効果的と感じた。
後半はFixの画が何となく多くなっている気がした。朝斗も大きくなって、周囲の状況を理解してきたということだったのかもしれない。
最も印象的なのは、第3者が問題を抱えた女の子たちにインタビューするシーン。
ここの色味やキャストさんたちの表情が一番イキイキと伝わってくる。嬉しさや悲しさも。
私たち観客に、こういった問題について真剣に考えるように。と投げかけているのだろうか。
もしもそうなら、完全に監督の思うつぼだ。
不妊治療、養子縁組、望まない妊娠、セックス、非常にいろいろと考えさせられる139分だった。
女性監督ならではの丁寧な演出に脱帽!!
ストーリーは特別養子縁組をテーマにそこにかかわる人達の悲喜交々を描いているが、とにかくその丁寧な演出に脱帽!!
河瀬直美監督の作品は初見だが、女性監督ならではの丁寧な演出により、各キャラクターの個性を一つ一つ紡ぎあげる手法は見事!!特に永作博美演じる佐都子と蒔田彩珠演じるひかりの子供を巡る愛憎劇はまさに見ごたえ充分。心象風景を風や自然を通し演出する所などはまさに女性監督ならではのもの!
元々各種映画祭等ですでに実績がある監督ではあるが、更なる飛躍が望めそうな1編!!
映画らしい映画、これこそ映画館で観るべし
河瀬監督らしい映画です。
ドラマではなく映画らしい映画。
行間や表情、間、映像美で物語るので、「ながら」観では伝わらない良さがあります。
ちょっと長いですが、最初から最後まで連続で見て欲しい。
ドラマや携帯ではなく、映画館の暗闇で見せられるから伝わるものもあるのだと、実感できた。
ストーリーはとても重い。
半分ドキュメンタリーのような感じで進みます。同時に、映画らしいストーリーもあり、それぞれの立場で考えるととても切ない。
また、一方的にどちらが正義とはなっていないのも良い。
中学生同士の恋愛の無邪気で美しいこと。
それでいて、最後はどうなるのか、展開が読めない。
また、永作博美と井浦新はもちろん、蒔田彩珠がとてもいい。演技が上手い、、、とかじゃなくとても自然でリアル。涙のシーンも本物の涙。という感じ。
これって、スタートとカットはかかるんですかね?
とても不思議。
テレビでやってましたが、撮影前から家族のような暮らしをしてから撮影するそうです。だから、子役も演技が上手い、、ということではなく、どこまでもリアル。
東京の綺麗な映像と、海と森やの田舎の映像、花びら、雪、霧、月、夕陽と映像美。
とくに光、逆光はとて印象的。
「ごめんなさい」にもいろいろある。それぞれ切なくて涙。
内容自体はとても思いけど、見終わった後にとても余韻が良い。
育てるということ。。
たった、1人の子供を幸せにできないなんて情けない。。と、自分自身思ったりする。でも、親も手探りなのよね。。
少しずつ親になっていく。。
それは光であり、闇でもある。
皆、悩みながら生きている。
でもね。
子供の将来を思ってなんて。。
チョイと違うよね。自分が安心したいだけ。
なのかも。。
ラスト、エンディングまで是非席を立たないでくださいね。
素晴らしい‼️
河瀬直美監督の映像美、人間に肉薄する撮り方を維持しつつ、多くの人に受け入れられやすい大衆性も実現しているのは、素晴らしい。主役3人の演技が本当にいい。
社会から光を当てられない問題を見事に描いた。
映画構成に一本取られた💦
養子縁組にて男の子を迎え入れた夫婦が、産みの親(らしき人)から「息子を返して下さい。それが駄目ならバラしますのでお金下さい」と脅迫されちゃう話。
あらすじだけ観ると「ダメダメ産みの親の脅迫話」「産みの親?育ての親?どっちが子の為?」とか想像してダラダラ映画が進行して行きそうだと思うじゃないですか💦
正直言って違いました。😖
しっかり特別養子縁組内容をドキュメンタリー風に取り入れ、また「夫婦の前に現れた女性は誰?」と言うミステリアスさも上手く取り入れながら、早くして産みの親なった少女と遅くして育ての家族になった2つの人生が語られるのだ。
この映画構成にしてやられたのである✨
養子縁組家族の話では済ませては行けないのです。
不器用な幼母の話でも済ませては行けないのです。
話が重なった時、さらに奥にある、血の繋がりを超えた姿をこの映画は魅せてくれます。
手紙の内容もC&Kの歌もエンドロール後の一言もアクセント的で良かったです。
「家族って色々な形があってもいいですよね、、」
河瀬監督お見事でした‼️
愛はなんだ、愛がなんだ、愛ってなんだ
またもやちょっと重く暗めの映画。9月,10月はこういった作品が多めですね。
それでも、井浦新と聞いたら行くしかありません。予告もかなり面白そうだし、期待度高め。
うん。前半はとても良かったんだけど、後半がどうしても間延びしちゃっている。139分は長いかな
しかし、いい作品でしたよ。
実の子をもてなかった夫婦が特別養子縁組から男の子を迎え入れてから6年後、産みの母親から男の子を返して欲しいという連絡が入るという話。
まず第一に2人の"普通"の演技がとてもいい。
役者にとって1番難しい役は、武将?探偵?同性愛者?違う。私は普通の役が1番難しい役だと思う。
何故か。それは、私たちにとって一般人というのがいちばん身近な存在だから。どれだけ自然体で演じられているかが試される役じゃないかな。
それを見事に永作博美と井浦新は演じきったと思う。ぐっと堪えながら涙を流すシーンや重い空気に潰されそうになるシーンはグッとくる。偉大なる俳優さんだな
そして映像美。
タワーマンションを照らす朝日。広島の小さな島を照らす朝日。同じようで全然違う。
太陽の光なのに妙に暗く、幸せ100%では無いのが照明で表されており非常に美しい。
また劇中で多く映し出される森や海などの自然も、映画の良さを引き出している。
しかし、全体的に薄っぺらいなと思ってしまう。
その原因として考えられるのは2つ。
まず、主題歌の乱用。
「糸」のようにフルで2回も3回も流す訳では無いのだが、口ずさんだりラジオで出てきたりとやはりしつこさを感じてラストに涙が流れずシラーっとしてしまう。
そして、夫婦の尺。
前半は夫婦、後半は産みの母親と二つに分かれているのだが、夫婦メインなはずなのに意外と描かれておらず、かといって後半がいいかと言われるとそうでも無い。なんだか深くなり損ねたなという印象。
とまぁ、結果としてはまずまずかな。
先日鑑賞し、家族愛という似たようなテーマの映画「ミッドナイトスワン」の方が良かったので、少し厳しいが★3.0で。
というか、実際映画館で見てみたらそうでもなかったけど予告で見ると若干蒔田彩珠が岸井ゆきのに見えた。ちゃうちゃう、岸井ゆきのは空に住むですって。
キノと河瀬直美が本気出したらこうなった。的な。
参りました。やばいです。刺さるとか刺さらないとか、そんなレベルちゃいますもん。水の呼吸拾一ノ型でぶった斬られた感じ。って、それ死んでるやんw
「八日目の蝉」で思いました。永作博美の共感を引き出す能力は半端無い、って。前半は彼女一人にやられます。真綿で地味に締め付ける様に、夫婦と子供の歴史に引き摺りこまれてしまいます。
これが後半戦の蒔田彩珠パートで、ちゃぶ台ひっくり返してランナー交代ですもん。あんだけ永作一家に引っ張られてた物語りを、コレまた蒔田彩珠が一人でかっさらってきます。逆流もろともせずに上流に向かってUターン。的な。
ラス前がチョッピリ雑かねぇ、ってのは有りますが。原作未読なんで何とも言えんけど、二人の女性の生き方と境遇の対比に「わざとらしさ」も「過剰演出の臭さ」もなく、静かに淡々と人間関係の変化を追いかけて行く描写が大好き。
役者さんが全員良いし。
良かった。とっても。
邦画に限って言うと、刺さる映画の女性監督率、俺の中では80%超えてますw
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10/26
刺さる邦画に共通してる事の一つが「手抜きの無い脇役陣」ってのがあると思うんです。
蒔田彩珠パートの若手女性だけを例にしても、駒井連・山下リオ・葉月ひとみ・森田想です。全員主演作品あり、文句無しの実力重視選定ですもん。男性陣も、青木崇高と青葉竜也のチンピラコンビとか、贅沢とも言えるくらいです。この、手を抜かず、キッチリ固めてる所も好きです。
なお。この映画は主題歌の歌詞内容からも、ポスターでは背中を向けて座っている、片倉ひかりの物語り。かねぇ。間違い無く、蒔田彩珠は「志乃ちゃんの蒔田彩珠」を超えたし、永作博美も「八日目の蝉の永作」を振り切ったと思います。
映画は原作と違う価値をどう提示していくか
原作があって、その小説が素晴らしければ素晴らしいほど、映画化による価値を提供するのは難しい。今までも数多の作品が挑戦し、幾多の失敗の山は築かれてきた。
原作に一字一句忠実に表現する作品もあるが、それでは原作を超えることは不可能だし、そもそも映画化する意義もない。
逆に原作というより原案に近いかたちで、エンディング含め全く違う作品をつくるものもあるが、原作の世界観を壊して全く新しい世界観を作り上げることに「成功」した作品に個人的にはお目にかかったことがない。
本作は原作の世界観を忠実に表現しつつ、その上に河瀬直美監督が新たな価値を提供することに成功している作品だと思う。
出産子育てに関する夫婦間の問題や特別養子縁組という社会テーマを個人的な問題に落とし込み、さらに女性の息苦しさや貧困問題などの重いテーマをあえて淡々と描いている。原作者の辻村 深月の表現力も素晴らしいが、引き継いだ河瀬直美監督も内容を押し付けることなく観客に判断を委ねるかたちをとっている。
この映画は永作博美の圧倒的な表現があってはじめて完成した作品になっている。
カット割りに都市の高層マンション群と瀬戸内のおだやかな海がコントラストに描かれているのが印象的。
凪の画もとても詩的で監督らしい表現。
演者最高なのにもったいない
映画というものは、総じて監督のものであり手柄は監督のものであると私は思う。
しかしその逆も然りで駄作…というより受け容れられなかった作品もまた、監督の責任であると思う。
その視点からこの作品を評価すると、
テーマ性はとても大切で繊細で、
伝えなくてはいけない内容だったにも関わらず、
何がどうしてこんなにごちゃごちゃにしてしまったのか、
ドキュメンタリーを撮りたかったのか、
それともフィクションを撮
りたかったのか、
甚だ疑問に感じた。
才能ある蒔田彩珠を素晴らしい使い方をしたにも関わらず、
脚本、編集がメタメタで、
詰め込みすぎと、浅知恵のミックスジュースという感想しか残らなかった。
終わって脚本家をエンドロールで見つけて目を疑った。
これ、監督がダメにしたのでは?
脚本家の高橋泉は好きな脚本家で、構成力がとても上手な作家のはず。
となると、この仕上がりいったいなに???
前半、蒔田彩珠が出てくるまで全部要らなくない?
そういうのが気になると、
せっかくの素晴らしい展開も感動出来なくなってしまう。
非常に残念な作品。
全208件中、181~200件目を表示