「狼は出てきません」ウルフズ・コール odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
狼は出てきません
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潜水艦映画でソナー係が主役と言うのも珍しい、類まれな耳を持つのだが音響分析なら早晩AIにとって代わりそうな役どころ。
緊迫感の演出は素晴らしいが戦闘ものと言うより上官と部下の信頼の絆を描いたヒューマンドラマに寄せているようです。映画の冒頭でアリストテレスの名言を引用して海に生きる人々を特別扱いしているのですが、哲学から入るとは嫌な予感・・。
些末なことだが主人公が家に帰った時に犬の姿が映ったが航海の多い独り身の軍人が犬を飼えるのか不思議に思ったら以後出てこなかった、編集のカットミスだろうか・・。
あわや第三次世界大戦という原潜からのミサイル発射の決断を巡る軍事サスペンス映画ではジーン・ハックマンの艦長とデンゼル・ワシントンの副官の対立を描いた「クリムゾン・タイド(1995)」が思い浮かぶ。それに比べて本作では大統領の発射命令受信後は大統領でも訂正ができない仕組みとは身の毛がよだつ。
やはり戦争映画では強大な敵が必要、アラブのテロ組織が古いソ連の潜水艦を使って開戦を仕掛けると言う着想はありそうで怖い、どうせなら味方同士で揉めるのではなく狼の声の主、ティムール3との戦いを軸にして欲しかった。人間ドラマを描きたかった割にはステレオタイプの軍人ばかりで、この終わり方ではセンチメンタル過ぎて潜水艦映画の醍醐味がありませんね。
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