「teenage」ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
teenage
ズルい脚本というか、上手い脚本だった。
キャラ設定も技アリだ。
前半を観るに、ほぼほぼ内容がないようなエピソードが綴られる。どうでもいい話というか、そこら辺に転がってる話を若干大袈裟にって感じ。
半ばまで観てて、あーこりゃハズレかな、なんて事を思う。
ところがだ。
後半になり話が急速に目的地を目指し収束していく。
そうすると、どうだ。
たった1日にも満たない時間なのだが、しっかり彼女達は成長する。
ラストを観る頃には心地良い感動すら覚える。
無軌道のように見えた脚本は、そのまま十代の未完成かつ未熟な感性のようで、自由だし制約を蹴散らしながら進んでいくようだった。
様々な価値観が1夜にして変わる。
未完成だからこその柔軟性が羨ましい。
人との邂逅もそうだし、固定観念の破棄もそうだ。
未知の世界、この場合はパーティなのだけども…そこに踏み出す勇気とか「若さ」に溢れた作品だった。
SEXに対するアプローチも赤裸々で、変に真面目ぶる訳でもなく等身大だったような気がする。
ちょっと凄いなと思うのは、主役2人のスリムな方。
冒頭はパッとしないなぁなんて観てたのだが、彼女がその夜に破った殻は相当多く、相当分厚い。
卒業式で見た彼女は誰より魅力的だった。
最後のカットに至る空気感も好き。
ああいう事してたわ。
色々な事を「若さ」で薙ぎ倒し乗り越えていく時代。
脆いから強い。
硬いから崩れやすい。
そんなエネルギーに溢れた作品だった。