「愛おしい感覚」ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー たにはるさんの映画レビュー(感想・評価)
愛おしい感覚
ラジオで宮藤官九郎氏が良いと言っていたのを聞いて。
ポスター、イメージ写真だけを見ている時はよくある『冴えない女子が勇気を出して鬱屈としていた日常の明日をちょっと変える』みたいな感じだろうなーと思っていたのですが。
それは違ってはいなかったけれど主人公2人のキャラクターが濃すぎる。良い意味で。最高に良い意味で。
周りの登場人物達も濃い。濃いけど映画全体のバランスがとても良い。ミニシアター、単館系と呼ばれる映画でよくある小さな街の少人数で事が起きるスケール感も絶妙に良い。
色味、テンポ感、構図もポップでちょうどいいくらいのおしゃれ。
親と見るには気まずい下品さなんだけど可愛らしいコメディ具合と後味がとても気持ちが良い。体感的に、アーティストのライブでいうとみっちり2時間半のワンマンじゃなくてフェスで小一時間観るくらいのボリューム感。
昔はガリ勉と遊び人、みたいな棲み分けが分かりやすかったけど昨今は見た目がチャラかったりガチ趣味がありつつも高学歴だったりっていう人も多いと感じていて、映画の主人公のように成績の良さだけを心の拠り所にして生きてきた子も居れば厳格な家庭に息苦しさを感じつつ出来る限り抗っている子も居たり、個人の自由を認められつつある世の中だからこそ個性を強要されてしまう今っぽさがあるなぁと思いました。万人に薦めたい気持ちと、これが面白いと共有できる人は信用できるぞと言う気持ちになった映画でした。面白かった!