劇場公開日 2019年11月15日

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「こんなスーパーマンは嫌だ!」ブライトバーン 恐怖の拡散者 風のビリーさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0こんなスーパーマンは嫌だ!

2025年4月17日
iPhoneアプリから投稿

この映画はスーパーマンのパロディだと思えば、たしかにそれなりに解釈はできる。少年から出るビームやマントをヒラつかせて飛ぶ映像はまさに古典的なアメリカン・ヒーローだ。

しかし、映画「キック・アス」を思い出して欲しい。あそこの少年(また青年期はじめの)はスーパーヒーローへの憧れから様々な妄想をし、やがてコスチュームを着て街を歩くようになる。コミックの世界とは違い、かなり痛い目を見てしまうのだが、それはある意味で誰もが憧れだけではやっていけないという悲しい現実でもある。

しかし今作「ブライトバーン」には、そのしっぺ返し(自己陶酔のせいで、現実が見えてない奴らに対しての)が全くない。つまり、これは「思春期や反抗期に、誰もが頭の中で描く残酷でそれでいて自分では制御のきかない妄想」だという解釈もできるわけだ。

あくまで私の解釈だが、主人公の少年がヘッドホンをして自分がなりたいヒーローの姿やシンボルのマークをひたすら書き殴っている姿から、今の環境(友だちがいないこと、周囲から変人だと思われていることなど)からの逃避が見受けられる。

自分の邪魔になるものはすべて殺してしまおうとするところも、やはり子どもの妄想に近い。この映画ではヒーローであるにも関わらず、一度もピンチの場面がないのも子どものご都合主義的オママゴトに捉えることができる。

なので私は、この作品を「みんなが隠している少年少女の心の葛藤」を描いたものだと受け取った。

ただ、少し話の展開が無理やりなところもあり、星3つにさせてもらった。

風のビリー
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