「呪いの映画」スクールズ・アウト KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
呪いの映画
真正面からまともに喰らうと生きるのが嫌になって飛び降りたくなる映画。
いや全然、食べて寝て起きて電気付けてガス燃やして映画観て生きていくけど。生きていくけども。けどさ。
不快感と不気味さと羞恥心に塗れ、神経も精神も常にゾワゾワと逆撫でされながら観られる、すごく良い映画だった。
103分の上映時間は体感だと135分くらいに感じたけれど、その内の1秒たりとも飽きはしない。面白かった。
担任の自殺というショッキングな冒頭から引き込まれた。
眩しい太陽と汗ばむうなじが強く印象に残る。
何かおかしい6人の生徒。
知的に早熟な彼らの生意気な言動には苛つきを通り越して恐怖すら感じる。
不可解な行動の奥にあるその正体、辿り着いてしまった答えの予想外の形。
幼いが故に見て見ぬ振りも出来ず、がんじがらめに縛られたその傾倒。
生きづらくて可哀想にと思いつつ、笑い飛ばすことも頭ごなしに否定することも出来なかった。
現実感がありすぎてオカルトホラーよりもよっぽど恐ろしい。
生活感のあるプチ怪奇現象はこれまた厭さ満点。
強制的に侵食され引き摺り込まれていく感覚がジワジワと身に沁みてきて、そのいやらしい追い詰め方に本当に泣きそうになった。
濁った水とゴキブリの吐きそうなくらいの気持ち悪さが堪らなく好き。
頭のおかしい人間が多く、思いもよらない方向からの攻めが地味にしんどい。
絶望感の中に可愛らしさと安堵を混ぜたラストにガンガンに胸掴まれた。大好き。逃げても無駄無駄。
掴んだ手は初めての信頼の証。
いっせーので死ぬのも不意に死ぬのも本当は怖いよね。
地球の上、そう遠くない場所で起きている汚い現実。
こんなふうに畳み掛けるように見せられるとノイローゼになる。
知ってた。全然知ってたけど。
目を背けていないと到底生きてはいけないから。
陰謀論みたいに掲げていたけど、そんな極端に考えなくても、地に根を張った問題だからガツンと来るものも大きい。
今朝、日本の世界遺産が燃え落ちるニュースを見て朝からめちゃくちゃ沈んだ。なんとなくリンクして感じてしまう。
見て見ぬ振りして生活していても、きっとこの映画は頭の中にこびりついてずっとずっと離れないんだろうな。
のほほんと生きる現代人への問題提起や警鐘というより、もっと性質の悪い呪いのような映画だと思った。
カメラワークや音楽は洗練されてクールだけど、さりげなくてドヤ感が無い。
そのナチュラルさの中に大きな不穏が入るアンバランスさが好き。
主人公ピエール先生がめちゃくちゃセクシーで発情待ったなしだった。
スティーブへの熱い視線にときめき。
さりげなく暴露される親友との関係にもめちゃくちゃ滾った。
呪いのような映画だけど、色んな意味でドスケベだし地味に欲望が渦巻いているところも好き。