「二度ある事は三度あるのかと思いたくなるぐらいの気持ちです。」スペシャルアクターズ マツマルさんの映画レビュー(感想・評価)
二度ある事は三度あるのかと思いたくなるぐらいの気持ちです。
「カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督の全国上映長編作品第2弾との謳い文句ですが、今年の夏に上田監督を中心にした3人の共同監督と言う、“何故 3人?”と思ってしまう「イソップの思うツボ」が見事にハズして、もはや無かった事の様にされてますがw、大々的にカメ止めを謳っているので、観る前から結構ハードルを下げて鑑賞しましたw
で、感想はと言うと…やっぱりかぁ…と思うくらいにスカされた感じでイソップの思うツボとおんなじくらいの残念感。
一言で言うと、学生の自主制作映画の様な感じで、エンドロールを観てた時に“演技系の専門学校の卒業制作のお芝居を映像化したら、こんな感じ”でエンディング曲がそれを強く思わせるくらいにチープと感じました。
こう言う作り方の作品も他にも沢山あるし、そう言った作り方にも良さはあると思うのですが、ストーリーのどんでん返しや奇抜さを狙い過ぎて、全体的なクオリティに気が回ってない感じで、いろんな所の甘さや緩さが味ではあると思いますが、どうもそこに甘んじ過ぎてる感じです。
プロアマ問わずのオーディションで選ばれた15人のキャストとありますが、いくら当て書きをしていても、やっぱり演技の実力はプロはプロフェッショナルで、アマはやっぱりアマチュアなんですよね。
最初は皆アマから始まりますが、まだ見ぬ原石を求めていたとしても、それに頼り過ぎるのは、限りなく神頼みと同じかなと思うんです。
作品の要所要所でプロを起用する事でキチンと引き締まる所はあると思うのに、何故こうもアマに拘るのかは正直上田監督のスタイルなんでしょうけど、それで全体のクオリティが下がるのならどうなのかなと。
単純に制作費の問題があるにしてもですが、例えば、レストランなら、コックの腕が良かったとしても、相当の代金を求めるなら、材料にはそれなりにお金をかけると思うんですよね。それと同じかなと。
カメ止めは今から思うと奇跡の様な挑戦が功を奏した様な作品で、作品から溢れる熱意と創意工夫。
そして失敗を恐れないチャレンジ精神が産み出した様な作品でしたが、周囲が二匹目のドジョウを狙い過ぎてる感じと上田慎一郎監督が少しダレてるのか分かりませんが、どうにも失速感が拭えないです。
周囲が必要以上にカメ止めの看板で売れると思ってる節もあり、本来は上田監督は小規模かつ実験的作品を作りだすスタイルでちょっと周りに制作ペースを急かされてのかも知れません。
カメ止めと比べてはいけないと思いますが、謳い文句でも「カメラを止めるな!の…」と謳われてる以上はやっぱり期待はしてしまいます。
ツッコミ所は多々ありで、設定もブレると言うか、“別にこれでなければならない”と言う理由が無いんですよね。
売れない役者が何でも屋的な俳優事務所「スペシャル・アクターズ」で依頼を解決していくと言うのは、未熟な演技を逆手に取った様な手法の様に思われても、それならキチンとプロの役者を起用して、何でも屋の俳優事務所ではなく、興信所や探偵事務所、もしくは本当に何でも屋でも良いのに、“何故、俳優事務所?”と思ってしまう。
これが頭から最後までモヤッと薄い膜の様にまとわりついて、いろんな部分の細かい設定のチープさが目に付いてしまいます。
ラストに繋がる設定ではありますし、ネタバレになりますが、結局劇中劇な訳ですが、劇中劇だからこそ、リアルさが求められる所までチープになっていて、正直ミニシアター系ならまだ良しとしても、松竹配給の全国公開がこれで良いのか?と思います。
謳い文句の「この映画、予測不能」とありますが、違う意味で予測不能で、ラストのどんでん返しは確かにちょっとしたどんでん返しでもそれほど驚く程ではないし、それならばそこに至るまでの伏線を張り巡らしてなければ、唐突に“実はそうでした”と言われても、ちょっとズルい感じがします。
ミステリーではないので、謎解きをする必要は無いにしてもどうなのかと。
またラストのオチを立たせるのなら、やっぱりツッコミが出てしまい、
“じゃあ、ムスビルも即席の新興宗教かどうかは調べたら分かるのに何故調べないの?”とか
“弟が物凄いお金を使って、兄貴を治療しようとしたぐらいに成功したのなら、風の噂でも弟の成功は耳に入る筈なのに”とか
いろんな事にツッコミが出てしまいます。
和人の気持ちを落ち着かせる為のオッパイボールの件りも、それならもっと和人のオッパイ好きを強調する場面があった方が良いし、それでこそ、色気担当の教団幹部の女性の活躍の場だと思うのに、それも殆ど無いw
なのに、和人はオッパイボールは放さないw
気を失うのも克服出来たのなら、最後はオッパイボールを空に投げるぐらいの描写があったも良いのにそれもないw
キャスト陣も悪くはありませんが、何処か素人臭が抜けきれず、良い部分が逆に隠れてしまいました。
主人公の和人役の大澤数人さんは一皮剥けると化ける感じはありますが、次にどんな作品に出るかで変わるかと思うので気にはなります。
社長役の富士たくやさんと社長の娘役の北浦愛さんは結構引っ掛かります。
あと、ムスビルの幹部役の櫻井麻七さんは綺麗だなぁとw
設定や細かい所は悪くないんですが、やっぱり緩さが漂って、イソップの思うツボの感想でも書きましたが、正直“また、やってしまったか…”と思うし、もうカメ止めの貯金はゼロで、カメ止めの威光は使えないと感じます。
ミニシアター系の作品なら特に悪くないかと思ったりしますが、今後も全国上映作品として発表していくのなら、何処かで仕切り直しが必要かと思います。
「あの『カメラを止めるな!』の…」の謳い文句が次回作でも使われていたら、正直“今回もまた…”な感じがしますw
二度ある事は三度あるとは言いませんが、仏の顔も三度までな気持ちと“三度も待たねえよ!”と思いながらと三度目の正直は微かに期待したい気持ちは十分にありますw
辛口に書きましたが、あくまでも個人的な感想で、面白かったと思う方の気持ちに水を刺す気持ちはありません。
一意見の1つとして受け止めて頂けたら幸いですが、書かずにはいられない気持ちがあった事を汲んで頂けたら幸いですw
BOSSちゃんさん
コメント有難うございます♪
カメ止めは面白かっただけに期待して観賞しただけに結構残念でした。
あくまでも個人的な一意見ではありますが、やっぱりガックリな感じなんですよね。
上田監督の作品は…次に期待ですw
また、お暇がありましたら、覗きに来て下さいね♪