「展開に驚きは少ない」スペシャルアクターズ 水陸両用水戸黄門さんの映画レビュー(感想・評価)
展開に驚きは少ない
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どうしても監督の前作との比較は避けられませんが、対比しても物語自体の爽やかさ、演者の演技力やコミカルな会話劇、中盤以降のテンポ感やここぞでのカメラワークなどは十分期待通りだったと思います。
きちんと起伏は用意していますし、それ以前をラストまでの前フリとして利用するという物語の構造も丁寧でよく出来てる。
ただ、カメ止めと比較すると要所での大きな展開部分でのパンチ力不足が否めない。
最後にきちんと兄の治療だった というオチをつけたことで、宗教団体の安っぽさだったりの理由づけがなされていますし、リアリティは保てていますが、予想の範疇を超えるような驚きに欠くため今ひとつの粋を出ない。
しかし作り手の喜びや面白さというものに関しては一貫して表現されており、前作では映画を撮るクルーに、今作では演技をする俳優にスポットライトを当て、何かを作っていくという過程が清々しく描かれています。
人間讃歌と仰られている方がいましたがまさにその通りで、無名の役者だからこその人間味を切り取ったようで、特に今作ではそれが非常に活きてたなと思います。
物語に焦点を当てるとインパクトに欠ける部分こそありましたが、それでももう一度見てみたい という気持ちを抱かせてくれる よく練られた作品ではないでしょうか。
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