「ザイラー・ワシームの魅力溢れる引退作」シークレット・スーパースター セッションさんの映画レビュー(感想・評価)
ザイラー・ワシームの魅力溢れる引退作
『きっと、うまくいく』『PK』『ダンガル きっと、つよくなる』に続き、またしてもアーミル・カーン出演の傑作愛され映画が誕生!!
「ミスターパーフェクト」の愛称通り、毎回完璧な役作りを行ってみせるだけでなく、常に母国の社会問題に目を向け、映画を通じて誠実なメッセージを送り続けるアーミルには賞賛を贈ることしかできません。
本作は、家父長制と女性蔑視が根強く残り、当の女性でさえその考えから抜け出せないインドの現状を映し、その中で歌手になる夢を掴もうと奮闘する少女のサクセスストーリーを描いた作品です。
何と言っても、主人公インシアの魅力が凄まじい!歌い出した一瞬でその声に魅了され、彼女の夢を後押しする男の子チンタンとの不器用な恋を応援せざるを得ません。インシアがチンタンの掌に「ある言葉」を書くシーンのキュートさよ!
そんなインシアを演じ、作中同様に大きく知名度を上げたザイラー・ワシームは、「女優活動が宗教的信仰心の妨げになる」として今作を持って引退してしまいました。
イスラム教徒でもある彼女は『ダンガル』撮影のため断髪を行った際、イスラム急進派から大きな批判を浴び、遂には殺害予告を受けるまでになってしまったようです。
彼女のような才能溢れる女優がたった3作で引退してしまうのは非常に悲しい。いつの日か、彼女自身の宗教的信念が脅かされることのない形で、再びスクリーンに戻ってこられるよう祈っております。
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