「人生の主役は君だ」フリー・ガイ REXさんの映画レビュー(感想・評価)
人生の主役は君だ
AIを通じて、日々同じことの繰り返しに飽いた人々に、人生楽しもうぜ!とエールを送る良作。
独自に開発したゲームを半ばだまし取られた開発者の2人。
しかし二人の開発した「成長する」AIがモブキャラのガイに投影されていたことで、完璧かにみえたゲームの世界が、徐々に変化していく。
ゲームのモブキャラ視点では、ゲームプレイヤーは何でもできるヒーローのようなような存在。
プレイヤーはサングラスをかけてプレーをするため、ガイは突如空から現れるプレイヤーたちを「サングラス族」と呼んでいる。この設定の妙で、観客はするりとフリー・シティに入り込むことができる。
同じ行動を設定どおりに動くしかないモブたちは、自分の行動に疑問を抱かない。
しかしガイは成長するプログラムなので、そこに違和感を覚え始める。
これはプログラミングした人間側からしたら「バグ」のように見えるし、ガイが周りのモブに影響を与えていく点は「ウイルス感染」みたいなものだろう。
プログラムの生みの親が、自分の設定したキャラに愛を告げられ心が揺らぐシーンは、なんともいえないおかしみがあった。
しかし人間同士も相手を完全に理解できないという点では、自分の幻想や虚像を相手に投影しているといえるだろう。
その点をうまくついている。
もちろん、ゲーム世界が現実化したら?というギミック的な面白さも十分楽しめる。
そしてガイを通じて、人生の主役は君だよ、と変化を恐れる人たちを勇気づけてくれます。
ゲームをだまし取った経営者アントワンを「ジョジョ・ラビット」のタイカ・ワイティティが悪乗りで演じる。
ちなみに東京の渋谷の街にフェルサブルータの垂れ幕があったが、2017年にこの興行を当時見に行ったので、懐かしく思った。