「戦前のユダヤ系フランス人がいなくなったダゲール通りの話。」ダゲール街の人々 マサシさんの映画レビュー(感想・評価)
戦前のユダヤ系フランス人がいなくなったダゲール通りの話。
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パリ『ダゲール通り』に店を構えて生活する人々の様を描いた話。
途中、経歴をインタビューする場面があるが、だいたい、戦中から戦前の人々と分かる。淡々と人生を語るが、一人も戦争の事を語る者がいなかった。
パリは空爆も市街戦も無かったから、当然の事かもしれないが、パリに定住していたユダヤ系の人々は、ヴェル・ディヴ(冬季競輪場)事件に遭遇している。つまり、15000人近いユダヤ人が検挙されて、強制収容所へ送られると言う事件だ。この事件をパリの人々は見ている。いや、見て見ぬふりをした。
この映画はそう言ったテーマの映画ではないが、自分たちの人生経験にも戦争の事は語っていない。それどころか、肉屋の主人は兵役の話までしている。フランスでの兵役とは、ナチスに加担した側の兵役になるので、ヴェル・ディヴ(冬季競輪場)事件を起こした側の軍隊となる。この映画はそう言った主旨の映画ではないが、この人達の人生経験や人生観を聞いても、あまり心は動かされない。
今、この通りは日本料理、タイ料理、ベトナム料理と言った異国の料理店が立ち並ぶ通りの様だ。多分、肉屋も床屋も楽器店も存続していないと思う。香水屋もね。おばあちゃん認知症だったんだね。
ダゲール通りからヴェル・ディヴはセーヌ川を隔てた対岸の位置になる。距離は6km位で、直線上の中間部にユダヤ人街のマレ地区が存在する。
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