「【南仏の小さな海辺の町の人々の生きる姿と並行して描かれる、愛が覚めつつある夫婦の観念的な愛の会話。ウーム、ヌーベルバーグ・・。】」ラ・ポワント・クールト NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【南仏の小さな海辺の町の人々の生きる姿と並行して描かれる、愛が覚めつつある夫婦の観念的な愛の会話。ウーム、ヌーベルバーグ・・。】
■アニエス・ヴァルダ監督作品は、劇場では「顔たち、ところどころ」しか鑑賞したことが無い。
だが、その後配信で少しづつ、ドキュメンタリー作品を観て、嵌った。
今作は、アニエス・ヴァルダ監督の長編デビュー作だそうだが、(1955年!)、「ヌーベルバーグの祖母」と呼ばれている事は、知らなかった。
せめて、「ヌーベルバーグの母」に呼称を変えられないだろうか・・。
◆感想
・上記の様に、私はアニエス・ヴァルダ監督作品は、ドキュメンタリー作品しか観たことが無かったので、作品の構成も含めて、”斬新であるなあ”という感想を持った。
1.メインストーリー
ある若い男(フィリップ・ノワレ:アルフレードじゃないか!当たり前だが若い・・。)が12年ぶりに故郷の南仏の小さな海辺の町へ戻ってくる。
その数日後、彼の妻(シルヴィア・モンフォーレ)が後を追ってやってくる。
結婚して4年目を迎える2人は倦怠期で、妻は離婚を告げるかどうか迷っているようだ・・。
愛に関する観念的な会話を重ねながら村を散策する夫婦。
だが妻は夫の故郷で生きる人々の姿を知ることで、少し心境の変化が訪れる。
2.サブストーリー
南仏の小さな海辺の町、ポワント・クールトで暮らす貧しき人々の姿が描かれる。
小さな男の子が、急な病で亡くなってしまったり、衛生局の検察官と漁師たちの駆け引きや、水上槍合戦の風景などが、生き生きと描かれる。
<ビックリなのは、何時か上記、メイン・サブストーリーが交わるのかと思いきや、交わらないのである。但し、町の人々の生きる姿を見た妻は、夫との愛を諦めかけようとしていた自分の気持ちに微かな変化が訪れる事を感じて行くのである。
そして、その描き方の匙加減が絶妙なのである。
アニエス・ヴァルダ監督のドキュメンタリーではない作品を、もう少し見て見たくなった作品である。>