パリに見出されたピアニストのレビュー・感想・評価
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気持ちよかった
パリの下町のピアノ好きな若者が、音楽院のディレクターに見出され、コンサート出場者に抜擢される話。綺麗なピアノ演奏が全編を通して聞ける。
ストーリーはまっすぐ。いろいろな必須エピソードが出てくるけれど、どれも必要以上には描かれない。というより、必要未満と言った方がいいか。
そんなことより、ピアノを聴け!ということなのだろう。好意的な解釈が、この映画を心地よくする。その結果、安心して気持ちよく観られました。
追伸(ここ、ネタバレです。ご注意下さい)
ラストシーンで、恩師が隣にいたことに気づかずにいたアホは、私です。一緒に観ていた人の「次回作があるとしたら、『あるコンサートから、恩師が現れてくれなくなった』という展開から始まるかもね」というコメントにキョトンとしたことから、指摘されて初めて知った…
はっきり言って最高です。
素晴らしいストーリー
サクッと楽しむのにちょうどいい
感動❗
音楽が奏でる喜び、悲しみ、そして希望…
皆さんは“ラフマニノフピアノ協奏曲第2番” に
どのような印象をお持ちですか?
近年ではフィギュアスケーター浅田真央さんの
競技に使用されたあの曲!
あの伝説のソチ、フリーの演技曲として
強く印象に残っている方も多いと思います。
わたしの“ラフコン2”に対しての
子供の頃の印象は「怖い!」の一言でした。
当時の〈日曜洋画劇場〉のタイトル曲でしたので
よく覚えています。
やがて最後まで通して1曲聴くようになり
ソルフェージュすることを覚え
そして歳を重ねるにつれ、この曲の持つ深みを…
ラフマニノフ本人が、挫折の床から希望を見出だす過程を…
この曲に色濃く反映されていることに感じ入り、
そして想いを巡らす…
そう、懸命に生きているすべてのヒトに!
あなたに! わたしに!
「この指で、未来を拓く。」
というキャッチコピーさながら
主人公のマチューが“現代のラフマニノフ”のような
祝祭感に包まれるラストに、音楽の持つ力を再確認!
同日に『蜜蜂と遠雷』をも観賞。
互いに補完して感性を満たしてくれてイイ感じ♪
個性と自由を認める社会風土
世間知らずの青年が大人に翻弄されながら、少しずつ自分の道に気づいていき、逆に周囲に影響を与えつつ成長する物語である。卓越した才能が見出されたのは幸運であり、人はそれを運命と呼ぶかもしれないが、客観的には偶然以外の何ものでもない。
才能というのはひと言で言えば、そのことが他に替え難く好きなことで、歌が上手な人は四六時中歌っているし、釣りの上手い人は年中釣行に出掛ける。人を騙すのが好きな人や留守宅に侵入するのが得意な人もいるだろう。善悪は別として、好きこそものの上手なれで必ず上達する。そして壁が訪れる。その道で食べていけるかどうかの壁である。
詐欺師や泥棒は実利のある才能だからそれで生きていけるだろうが、音楽や芸術はどんなに才能があっても、それで食っていけるかどうかは世間の評価次第である。いまでは何百億円もする絵が画家の生前には発表されることも少なく、売られもしなかったという話もある。
音楽の演奏家の場合は生きている間に評価されないと意味がない。コンサートに沢山の人が来てくれて、その多くが演奏に感動してくれることが目標だからである。音楽は人が演奏するから美しい。将来はAIが正確無比な演奏をするかもしれないが、熱量がないから誰も感動しないだろう。
本作品の肝はそのあたりにあって、人がその人生を背負って演奏するから、昔の曲が現在に蘇る。個々の演奏者なりの解釈、個々の指揮者なりの解釈により、クラシックの名曲たちは常に変化していく。だからクラシックはいつも新しく、コンサートに人が行く理由となる。
フランスは芸術と哲学の国だから、個性に対して常に寛容である。その演奏家の出自がどうであれ、演奏するチャンスは与えられるし、演奏のみによって公平に評価される。権威や権力に高圧的に支配される時代でも、芸術は誰に対しても平等でなければならない。そういう精神性のある土壌が羨ましい。権威や権力に極端に弱い精神性の国民が住む極東の小国では、同じ条件の主人公がいても、決して表舞台に立つことは出来ないだろう。
既に日本ではあいちトリエンナーレの事件がに象徴されるような、表現の自由に対する弾圧が始まっている。これがどれほど恐ろしい事件なのか、歴史が明らかにしていくだろう。本質はナチスと同じだからである。日本の芸術家全員が声を上げなければおかしい。浅はかなパラダイムに引きづられて表現の自由を投げ出してしまうのは芸術の自殺行為だ。
本作品はプロットでは若干ご都合主義的な面はあるが、芸術と表現の自由、それに人間の生き方の自由を認める社会風土が伝わってきて、心を和ませてくれる映画に仕上がっている。差別と格差とヘイトが社会風土の主流となってきている現在の日本の息苦しさの中で、一服の清涼剤のようであった。
グッドウィルハンティング@クラシックピアノ
とにかく演奏シーンが美しい。
全面ガラスを通した光が溢れる練習室。
照明を落としたホールでライトに照らされる国際コンクールでの主人公のプレイ。
さすがは芸術映画で名高いフランスの作品。ウェルメイドな感動お涙ものでも、格調高いルックで最後までうっとり。
重く大きく響くピアノの音もいい。映画館で見ないと、これはきちんと評価できないでしょう。
プロットは表題のとおり。
才能と自我は表裏の関係にある。自惚れで、多くの才能が大成しないままつぶれてゆく。
他方、才能が演奏の最大の動機である。表現することと生きることが等価であり、それにどんなためらいも無い。わたしたちはそのような人を天才という。
この作品は優れた伯楽(マスター)たちが、天才を世に送り出すための努力を描いた映画である。
マスターたちは演奏者としては、大成しなかった。それでも、才能を見いだして全力で育てあげることで、マスターたちの人生にまた別の福音がもたらされた。わたしたちが社会のために後進を育てる所以である。
鼻っ柱を折られる主人公、主人公の背後で動く陰謀、怪我による挫折、思わぬ伏兵、一度あきらめかけたところからの復活。
音楽スポコンものの定番が全部ある。気軽に見て、感動の落涙をぜひ体験してほしいのです。
もしもぉ~ピアノがぁ~弾けたならぁ🎵
才能に恵まれた青年の話
【ラストシーンの後のワンテロップの言葉に落涙する】
観終わった後の余韻の残り方でその映画の良し悪しを図るとすれば、この作品は可成り残った。
・貧しい家庭に育ちながらも幼少期からピアノに親しんでいた(ある人物から習っていた)マチュー(ジュール・ベンシュトリ)
・マチューが「駅ピアノ」を弾く姿と音色に聞き入る男ピエール(ランベール・ウイルソン)
・マチューを厳しく指導する”女伯爵”エリザベス(クリスティン・スコット・トーマス、役にピッタリ)
の3人が織りなす物語の面白さ。
又、
・マチューの悪友達が最後の最後でマチューを助けようとする姿
・ピエールと妻との哀しき関係性
・エリザベスが技術指導を厳しくする姿と徐々にマチューのピアニストとしての天性の素質に気付き、自らの苦い過去を語り、重要なアドバイスをマチューにする場面
・マチューのガールフレンドの境遇とマチューの境遇との対比
等々、心に響く場面が随所に散りばめれられ、観ている側はどんどん物語に引き込まれ、涙が溢れてくる。
<もっと、クラシックをしっかりと聞いていれば各シーンでの曲の意味合いなども分かるのになあ、と思った作品でもある>
邦題も良いが原題も良い、感涙作。
チープなグッドウィルハンティング
こんなところにボードレール
不良少年…というよりも最早犯罪者な少年がピアノの才能を見初められコンクールに向けて音楽院で学んで行く話。
駅のコンコースに置かれた「ご自由にお弾き下さい」なピアノを弾く姿が音楽学校ディレクターの目に留まり社会奉仕活動をかねて音楽院で学んで行くストーリー。
定番中の定番とも言える壁や妨害等、葛藤と挫折なんかを織り込んでみせて行く。「変わっちまったな」なんてベタベタなヤツまであったりね。
ピアノのことを言われても良く判らない自分にはベタ過ぎるということばかりが引っかかるも悪くはない。
ただ、終盤の主人公だけじゃなく周りも含めた切り替えというか変化が急だし唐突だし、それまでのだるい程の展開と比べて話が雑過ぎてあれれ?
面白かったけど、この作品ならではというものがあるワケではないし、刺さる程の起伏もなかった。
成長するための翼は誰にでも生えている
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