パリに見出されたピアニストのレビュー・感想・評価
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個性と自由を認める社会風土
世間知らずの青年が大人に翻弄されながら、少しずつ自分の道に気づいていき、逆に周囲に影響を与えつつ成長する物語である。卓越した才能が見出されたのは幸運であり、人はそれを運命と呼ぶかもしれないが、客観的には偶然以外の何ものでもない。
才能というのはひと言で言えば、そのことが他に替え難く好きなことで、歌が上手な人は四六時中歌っているし、釣りの上手い人は年中釣行に出掛ける。人を騙すのが好きな人や留守宅に侵入するのが得意な人もいるだろう。善悪は別として、好きこそものの上手なれで必ず上達する。そして壁が訪れる。その道で食べていけるかどうかの壁である。
詐欺師や泥棒は実利のある才能だからそれで生きていけるだろうが、音楽や芸術はどんなに才能があっても、それで食っていけるかどうかは世間の評価次第である。いまでは何百億円もする絵が画家の生前には発表されることも少なく、売られもしなかったという話もある。
音楽の演奏家の場合は生きている間に評価されないと意味がない。コンサートに沢山の人が来てくれて、その多くが演奏に感動してくれることが目標だからである。音楽は人が演奏するから美しい。将来はAIが正確無比な演奏をするかもしれないが、熱量がないから誰も感動しないだろう。
本作品の肝はそのあたりにあって、人がその人生を背負って演奏するから、昔の曲が現在に蘇る。個々の演奏者なりの解釈、個々の指揮者なりの解釈により、クラシックの名曲たちは常に変化していく。だからクラシックはいつも新しく、コンサートに人が行く理由となる。
フランスは芸術と哲学の国だから、個性に対して常に寛容である。その演奏家の出自がどうであれ、演奏するチャンスは与えられるし、演奏のみによって公平に評価される。権威や権力に高圧的に支配される時代でも、芸術は誰に対しても平等でなければならない。そういう精神性のある土壌が羨ましい。権威や権力に極端に弱い精神性の国民が住む極東の小国では、同じ条件の主人公がいても、決して表舞台に立つことは出来ないだろう。
既に日本ではあいちトリエンナーレの事件がに象徴されるような、表現の自由に対する弾圧が始まっている。これがどれほど恐ろしい事件なのか、歴史が明らかにしていくだろう。本質はナチスと同じだからである。日本の芸術家全員が声を上げなければおかしい。浅はかなパラダイムに引きづられて表現の自由を投げ出してしまうのは芸術の自殺行為だ。
本作品はプロットでは若干ご都合主義的な面はあるが、芸術と表現の自由、それに人間の生き方の自由を認める社会風土が伝わってきて、心を和ませてくれる映画に仕上がっている。差別と格差とヘイトが社会風土の主流となってきている現在の日本の息苦しさの中で、一服の清涼剤のようであった。
グッドウィルハンティング@クラシックピアノ
とにかく演奏シーンが美しい。
全面ガラスを通した光が溢れる練習室。
照明を落としたホールでライトに照らされる国際コンクールでの主人公のプレイ。
さすがは芸術映画で名高いフランスの作品。ウェルメイドな感動お涙ものでも、格調高いルックで最後までうっとり。
重く大きく響くピアノの音もいい。映画館で見ないと、これはきちんと評価できないでしょう。
プロットは表題のとおり。
才能と自我は表裏の関係にある。自惚れで、多くの才能が大成しないままつぶれてゆく。
他方、才能が演奏の最大の動機である。表現することと生きることが等価であり、それにどんなためらいも無い。わたしたちはそのような人を天才という。
この作品は優れた伯楽(マスター)たちが、天才を世に送り出すための努力を描いた映画である。
マスターたちは演奏者としては、大成しなかった。それでも、才能を見いだして全力で育てあげることで、マスターたちの人生にまた別の福音がもたらされた。わたしたちが社会のために後進を育てる所以である。
鼻っ柱を折られる主人公、主人公の背後で動く陰謀、怪我による挫折、思わぬ伏兵、一度あきらめかけたところからの復活。
音楽スポコンものの定番が全部ある。気軽に見て、感動の落涙をぜひ体験してほしいのです。
天才は人を振り回すのも天才な作品
全くノーチェックの作品でしたが、近くの映画館で上映時間があったので観賞しましたw
で、感想はと言うと、結構おもろいw
ピアノに興味のある不良少年がピアニストとして大成していく話で成り上がりのサクセスストーリーでベタではありますが、よくまとまってるし、結構面白いです。
「最強のふたり」を思い出す様な貧富の差を越えた交流を見せるフランス映画で良い作品であります。
なんですが、ツッコミどころは結構ありますw
登場人物の殆どがいろんな心境の変化が早過ぎ!
もう、これでもかとコロコロ変わります。
それも殆ど全員w
主人公のマチューはピアノで成り上がりたいと思っていても他人から強制されるのは大嫌い。
強制されるのであればチャンスだって、サクッと手放してしまう。もう駄々っ子ようw
かと思えば、やっぱりチャンスを逃すのは勿体無いとばかりにサクッと出戻る。
盗みで忍び込んだ家に立派なピアノがあると当初の目的を忘れてピアノを弾いて、取っ捕まるw
ピエールに屋根裏部屋を借りても彼女を連れ込んでばかりだしw
根が子供と言えばそれまでですが、とにかく節操が無いんですよね。
マチュー役のジュール・ベンシェトリはイケメンですが、終始マット・デイモンに見えてました。
最後だけ、マイケル・J・フォックスに見えたかなw
このマチューの移り気な性格は才能を持つ反面としての行動の現れと思えば理解も出来なくはないんですが、なかなか凡人には理解しづらいw
マチューの才能を見込んだ音楽学校のディレクターのピエールも何故ここまでマチューに入れ込むのが不思議のばかりに入れ込む。
マチューの才能を鑑みてではあるけど、劇中で他の生徒を押し退けてまで贔屓するマチューの才能がどうにも分かりづらいと言うか、伝わってこないんですよね。
ピエールに頼まれて、マチューにピアノを教える女伯爵のエリザベスも何処でマチューの才能を信じようとしたのかも不確かな感じだし
マチューの恋人も喧嘩したと思ったら、次に会った時にはもう無かった事の様に振る舞ってるし
マチューの母親もピアノをするのに反対していても、やっぱり応援してたとか
マチューの不良仲間も“けっ!良い子ぶりやがってよ。もう仲間じゃねえ”的にマチューを疎外してたのに、マチューのピンチには駆けつけてくれるし、応援してくれる、実は良い奴らw
総じてブレないのはピエールの嫁さんがマチューに対して快く思ってないぐらい。
いろんな細かい部分での描写が少なくて、もう皆なんかブレブレに映るんですよね。
純粋と言えば、そうなんだけど、割りとこの辺りの描写が大事に思えて、ツッコマざるえない。
そんなとってもとっても優柔不断な人達で一番割り食ったのはマチューの代役になった青年。
マチューの代役でいつでもスタンバイ出来る様にしておいて、マチューが来なくて、舞台にも上がったのに、マチューが登場して、笑顔で交代する。
もう人が良過ぎます。
細かい描写に良い部分も多いかと思えば、“えっ!そこは描かない?”と思う所も多数。
マチューの天才の片鱗はもう少し見せても良かったかなとは思いますし、マチューとピエールがケバブを食べるシーンなんて、結構好きなんですよね。
そんな移り気な性格の登場人物達に振り回される作品ではありますが、良い作品かと言えば、良い作品かと思います。
ミニシアター系ではありますが、観賞後に“あ~良かった”と思える満足感アリ。
そんなツッコミが個人的には多分に感じた作品ではありますが、結構お薦めなので、気にならない人にはかなりの良作。もし気になるとちょっとブレブレに感じる困った作品ではありますが、あくまでも重箱の隅をつついた様な小意地の悪い一意見ぐらいで軽く流して頂けると幸いですw
もしもぉ~ピアノがぁ~弾けたならぁ🎵
パーカーが定番な悪ガキがタキーシードの似合う実に凛々しく自信に満ちたピアニストへと成長して行く・・
彼の「人生リセット巻き返し」に
周りの人達までも笑顔が増えて
幸せのお裾分けを得ているようで口元が緩んだ🍀
足取りも心も軽く劇場を後に出来た
実にトレビア~ン🎵な作品でした!
ハッピーエンドでめでたし
良い映画はかならずオープニングシーンが素晴らしい!
駅にあるご自由にお弾きくだいのピアノを弾く青年と、その青年の才能を見出す音楽家。
フランスの貧しい家庭環境で不良化しているイケメンの主人公が名門の音楽学院のピアノコンクールで学校を代表して出場するとはかなりのご都合良いストーリーだがいろいろな出来事もあって面白いです。
好きになった黒人の女の子に言われないとその気にならない優柔不断さや、コンクール当日の幼い弟の事故必要か?とか。そんなんだったらもうちょっと早く行っとけや!と突っ込みどころ満載でしたが、最後は感動的に終わってか良かったです。
フランス映画大好き
フランス映画は今年に入って何本か見てるけど、この作品が今年No. 1かな。
まず、主人公演じる俳優がとても良い。繊細な表情、表現、ピアノを弾いている魂のこもった演技。
素晴らしい。
ストーリーもわかりやすくって、予想しやすいけれど
それが良い。
女伯爵主人公の距離が少しずつ縮まっていくシーン、
先生と主人公のケバブを食べるシーン
ジーンときます。
屋根裏部屋で先生が妻とあっさり別れを告げたところ、ラストのニューヨークのコンサートで女伯爵といつの間にかカップルになっていたところとか、いかにもフランスらしい。
ピアノも素晴らしくて、静かに涙が流れる作品です。
才能に恵まれた青年の話
フランス映画って難解なイメージがあって、あまり見なかったけど、全然そんなことないですね。
王道ストーリーの良質なドラマで、とても面白かったです。
しかし、この青年は才能があったから、貧しくても、反抗しても、大人からの支援を受けられたけど、現実はこれほどの才能を持った人は希少。
そんな普通の若者がどう自分を生かす道を見つけるか、それこそが、多くの人が悩んでいることだと思うので、そんなドラマも見てみたいなーと思いました。
【ラストシーンの後のワンテロップの言葉に落涙する】
観終わった後の余韻の残り方でその映画の良し悪しを図るとすれば、この作品は可成り残った。
・貧しい家庭に育ちながらも幼少期からピアノに親しんでいた(ある人物から習っていた)マチュー(ジュール・ベンシュトリ)
・マチューが「駅ピアノ」を弾く姿と音色に聞き入る男ピエール(ランベール・ウイルソン)
・マチューを厳しく指導する”女伯爵”エリザベス(クリスティン・スコット・トーマス、役にピッタリ)
の3人が織りなす物語の面白さ。
又、
・マチューの悪友達が最後の最後でマチューを助けようとする姿
・ピエールと妻との哀しき関係性
・エリザベスが技術指導を厳しくする姿と徐々にマチューのピアニストとしての天性の素質に気付き、自らの苦い過去を語り、重要なアドバイスをマチューにする場面
・マチューのガールフレンドの境遇とマチューの境遇との対比
等々、心に響く場面が随所に散りばめれられ、観ている側はどんどん物語に引き込まれ、涙が溢れてくる。
<もっと、クラシックをしっかりと聞いていれば各シーンでの曲の意味合いなども分かるのになあ、と思った作品でもある>
邦題も良いが原題も良い、感涙作。
自分の成功を実現できるのは自分だけよ
駅構内に設けられた「ご自由にお弾きください」のピアノ。ここから展開するストーリーは、想像の範囲内。何の捻りもない。邦題そのまんま。「セッション」のようなヒリヒリ感は皆無で、ありきたり過ぎて逆に驚く。
何を今さら、こんなお話を映画で撮るのか?
チープなグッドウィルハンティング
端的に言えば、グッドウィルハンティングの劣化版みたいな映画。
不遇な天才のシンデレラストーリーはいいんだけど、ことごとく話がチープ過ぎる。
途中いろいろな障害があるけど、どれも取ってつけたような内容だし、致命傷になるんじゃないの?という最大のピンチは、場面が変わったら無かったことになっていてビックリ仰天!
主人公のメンタル設定も、こいつ大丈夫か?というくらい幼稚だし、グッドウィルハンティングでいうロビン・ウィリアムス役の役者さんもイマイチ魅力に欠けるし。
設定はいいんだけど、脚本が、、、
こんなところにボードレール
不良少年…というよりも最早犯罪者な少年がピアノの才能を見初められコンクールに向けて音楽院で学んで行く話。
駅のコンコースに置かれた「ご自由にお弾き下さい」なピアノを弾く姿が音楽学校ディレクターの目に留まり社会奉仕活動をかねて音楽院で学んで行くストーリー。
定番中の定番とも言える壁や妨害等、葛藤と挫折なんかを織り込んでみせて行く。「変わっちまったな」なんてベタベタなヤツまであったりね。
ピアノのことを言われても良く判らない自分にはベタ過ぎるということばかりが引っかかるも悪くはない。
ただ、終盤の主人公だけじゃなく周りも含めた切り替えというか変化が急だし唐突だし、それまでのだるい程の展開と比べて話が雑過ぎてあれれ?
面白かったけど、この作品ならではというものがあるワケではないし、刺さる程の起伏もなかった。
成長するための翼は誰にでも生えている
最近、某オーディション番組を観ていたのを思い出し、今まで自分と向き合い夢に賭ける青年の映画を観たくなった。
成功するのを恐れないで
自分の感情に深く向き合う
などフランス映画らしく、刺さるフレーズが要所要所にありそれに出会うたび観ている自分たちも過去、現在、未来と照らし合わせられる。単純なサクセスストーリーとして観ることもできるが、挫折や恋愛、反抗、成長、恩師、成功など長い人生を生きていく上で大切な要素がたくさん詰まっている。
特に恋人が黒人の女性だったのが印象的でこれからの時代を象徴しているようだった。
久々のフランス映画
最近めっきり影を潜めているフランス映画…この映画はベルギー合作ですが、難解な部分は全くなく、思ったとおりに進みますので安心して観られます。
マチュー役のジュール・ベンシェトリ…ちょっと中性的ですが気になりました顔をしています。現代的なイケメン。
女伯爵と呼ばれる役のクリスティン・スコット・トーマスが素晴らしく、主役と思われるピエールをくっています。はじめは鉄仮面を被っていますが、本気でマチューを仕込むことになってから、マチューと心を通わしホンの少しだけ見せる笑顔が素敵。
ファッションもみどころ。ピエールの奥さんの奥さんが目の色と全く同じグリーンのセーターを着ていてオシャレでした。日本人の私にはお手本にはなりませんが(笑)
ラフマニノフ ピアノ協奏曲 第2番
ラフマニノフ ピアノ協奏曲 第2番
これは、誰もが一度は耳にしたことがある作品で、作中でも語られる、そのエピソードもあまりに有名で、主な登場人物の人生も、それぞれ、この作品に重ね合わされて設定されたように思う。
そして、誰もが一度は…と書いたのは、浅田真央さんのソチのフリープログラムの曲でもあるから。
多分、中学の音楽の授業で聴くことがあるようにも思うのですが、とにかく浅田真央さんの、あの演技の曲です。
当初、浅田真央さんは、ロシア・ソチでの開催だから、ロシアの作曲家の作品を選んだみたいなうがった見方をする人もいましたが、これまでの浅田真央さんの苦難を考えると、僕は、浅田真央さんも、この作品に自分の人生を投影していたのではないかと思っています。
また、浅田真央さんは、バンクーバーでもラフマニノフでしたし、そんなロシアだからラフマニノフなんてことはしませんよ。
ちょっと出来過ぎなストーリーだけど、オリジナル・タイトルで、指が未来を拓く…も、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を感じさせるタイトル。
悪者も出てこないし、良いじゃないですか。
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