「スリラー?」ジョナサン ふたつの顔の男 昭和ヒヨコッコ砲さんの映画レビュー(感想・評価)
スリラー?
私がこの作品をカテゴライズするならヒューマンドラマかな。
殺人が起こるわけでもなく、犯罪を犯すわけでもない。
先天性の多重人格の青年の人格ジョナサンとジョンの対話の物語。
印象的には「五番目のサリー」に近い。
だが、本作は自らの領分と存在に関わる物語ながらも驚くべき静かさを維持してエンディングまで迎えるのが大きく異なる。
開始直後、映し出される2人がまず同一人物とは分からないくらい見事。
髪型などの差異はささいなことで所作がまるで違う。
ビデオレターも彼らの仕組みを理解するまでは、さながらカメラ通話かのよう。
この作品で不確かなのは「ジョン」「ミナ博士」が信用しきれないことと、「3人目の人格」の経緯が不明なこと。
ジョンの生活は彼の報告と町で出会う彼の知り合いの話で非常に断片的。
しかも些細なものではあるが、嘘や申告しないことも多く、強かに羽目を外すタイプ。
2人が母親のように慕い、頼りにする博士はジョナサンの視点ではジョンに傾倒した感触があり、2人の思慕と対称的とは言い難い印象を受ける。
これらをどう判断するかであの静かな物語の結末の感触は変わるのかも。
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