「宣伝とは違ったねぇ…」ジョナサン ふたつの顔の男 テツさんの映画レビュー(感想・評価)
宣伝とは違ったねぇ…
うーん、これはどう見れば良いのだろうか…
少なくともスリラーというカテゴリーの作品ではないよね?
1つの身体に二つの人格、お互いに守ってきたルールが破られたことで、お互いへの想いや嘘などが散見し始めることによって主人公に大きな変化が訪れるという作品なわけで…
想像していたのとは違うけど、ジョナサンがどういう運命に辿り着くのか気になってしまいなかなか見いってはいける作品ではありました。
人が持つ欲望、嫉妬、嘘、怒り、後悔などの感情が巻き起こすであろう関係の変化を二重人格というツールを使って描き出した作品って感じ?
ジョナサンはジョンという別人格と共に暮らす青年。彼らはお互いに12時間毎に交代し、ビデオに記録を残し合って問題なく生活していたのだが…
昼間はジョナサン、夜はジョンが生活をしており、その時間に起こったことや会った人をビデオで記録しあっている二人。この作品はジョナサンを主軸にしているだけに、ジョンが主人格で登場する場面はまれ。
ジョナサンの意識が無くなる、切り替わる際には暗転したりと舞台のようだ。
初めはジョンの小さな隠し事、バーで酒を飲み、彼女を作ったことから物語は始まる。
ジョナサンは探偵を使って探り、ルールを破ったジョンを非難する。その彼女-エレナ-にジョナサンは会ってしまったり、家に来たエレナにジョナサンが事情を説明しても理解はしてもらえず。
やがて、ジョンからのビデオメッセージが更新されなくなってしまう。
不安に駆られるジョナサンはエレナにメッセージをお願いするなど、接触を図るうちにエレナに恋心を抱いてしまい…
ジョナサンとジョン、1つの身体を共有する彼らはお互いに不満と嫉妬を抱えていたのだろう。ジョナサンは才能を認められてはいるものの、この生活では仕事をフルタイムですることは出来ず、新規のプロジェクトにも関われない。そして彼女を作ったジョンに対して嫉妬したりもしていた。
また、ジョンも夜だけの生活に不満を覚えていたのだろう。そしてジョナサンの真面目な仕事ぶりやルールをしっかり守る姿を疎ましく(同時に見習いたい)と思っていた末に彼女と出会ってしまったのだ。
ジョナサンはエレナとの関係を隠し続けながら、ジョンへのメッセージを残す。残し忘れた次の日からジョンからのメッセージも残り、再び共有生活が始まるのだが…
ここから主治医?も物語に絡んでくるのだが、イマイチどうしたいのか分からない存在だ。
出てきた割に、ジョンにジョナサンの隠し事をアッサリ言ってしまうし(ジョナサンが言わなかったせいもあるが、医者ならもう少し上手くやれよと言いたい)彼らをどうにかしたいと思っている割には、不安定なときに限って居ないし…まあ、彼女も分かりきってない部分が多いのだろうが……
あと、人格を消せるという例として出てきた、かつていた三人目の人格、医者が最近会っていないという息子?など出てきた割に物語には登場しない話も多かったかなと。エレナとも別れたら一切登場しないし。ジョナサンとジョンに話のフォーカスを絞ったと言えるか
ジョナサンとジョン、お互いに彼女に関することを隠していたことから壊れゆく二人の関係、それでもお互いを大切な兄弟と思っているがゆえに起こる苦悩、そして混乱と決断を描いた切ない人間の感情と絆のドラマであり、それを二重人格というギミックを用いることでスリリングさというスパイスで見せる作品なのではないだろうか。