アヴリルと奇妙な世界のレビュー・感想・評価
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スチームパンクの新たな秀作
科学者が攫われて科学が今の地球のように発達しなかった、そのせいで蒸気機関が発達してスチームパンク的世界が生まれた、という世界観が面白い。スチームパンク的世界の成り立ちをちゃんと説明している作品は、意外と少ないのではないか。物語は、科学者一家の娘であるアブリルが消えた家族と、不老不死の血清を巡り地球外生命体と壮大なスケールで争うというもの。自然と科学という、宮崎駿的なテーマを匂わせつつ、しゃべる猫の相棒や、飛行機、雷雲の中の本拠地などや歩く家などスタジオジブリの様々な作品の意匠の影響を受けている。
科学の究極の罪とも言える核兵器も登場し、科学は人を幸せにするのか不幸にするのかを観客に問いかける。
主人公のアブリルはとてもチャーミング。猫のダーウィンも憎まれ口が上手く、憎めない性格をしている。終盤のダーウィンの大活躍はむしろ主人公を食う存在感だった。不老不死の猫すごすぎる。
まさか、帝国少年さんへのリスペクト?!
可愛くないのに可愛く見えてくる恋するスチームガール
まず鑑賞開始直後の第一印象は、「ヒロインが可愛くない!」だったけど、不思議なもので観続けていくうちに可愛く感じてくる。
つまりそれだけアヴリルが人間味あふれ、魅力的に描かれているという事。
このあたりは、『アリータ:バトルエンジェル』のヒロインに通じる物がある。
あえて可愛くないキャラデザにしたのは製作スタッフの意図らしいが、それは見事に奏功している。
ちょっと唐突なぐらいアヴリルが愛に重きを置くあたりは、いかにもフランス人っぽい。
これもスタッフが公言しているが、宮崎アニメにオマージュを捧げていたり、スチームパンクな世界観で繰り広げられるあらすじ自体は、『スチームボーイ』を彷彿とさせる。
ていうか、期待させすぎて残念な出来だった『スチームボーイ』よりも全然『スチームボーイ』、否『スチームガール』している。
製作年が2015年という事で、4年近くも日本公開が寝かされていたのが勿体ないぐらいの出来。
悪くない
蒸気機関車までの技術的な発展で止まっているフランスで展開する物語。
アヴリルの見た目はともかく、海外のセンスと思えば問題ない。
物語もそつなく進んで行くし、頭の悪い頑なな警部(巡査)とか如何にも海外アニメだ。
アヴリルの小さい目は、日本のアニメを見慣れていると訴えるものが弱い気はするが、奇跡も魔法もない蒸気機関とレトロな科学の融合を模した世界観は中々面白い。
主人公等の隠れ家やトカゲ組織のロケット発車がエッフェル塔の地下とかご愛敬だ。
作中のトカゲが進化したとして、並みいる科学者を誘拐して新世界を創造しようとするのはいいが、そこまで進化するのに科学者が黙って支配されているのも不思議には思える。
もっとも驚きなのがアヴリルだ。
曾祖父から祖父、両親と重ねた研究は凄いが、幼いアヴリルが町で1人生き延びた中であれだけの
血清を完成させたのは驚きだ。
トカゲの進化とダーウィンの不死身にはファンタジーを感じるが他は至って普通のドラマとも言える。
先入観抜きで見れば、普通に佳作だと思う。
全て楽しい。
日本アニメ要素とフランス芸術の融
ゲーム『レイトン教授シリーズ』的、くすんだ色合いのペッタリとしたアニメ塗りと、CGの立体感が違和感なく混ざりあっていた。
現実の歴史とは少し違う運命を辿った世界、スチームパンクワールドに至った経緯が、キチンと理論的に設定・説明されているのが面白い。
スチームパンク大好物なので、ガジェット、乗り物類の造形も素晴らしく、オープンワールドゲーム化して、自由に見て回らせて貰いたい!と思ったほど。
台詞の端々などに、フランスらしいエスプリが効いているのもお洒落。
フランスだし、恋愛はマストよね…とは思ったものの、アヴリルの恋心の発展については、もうちょっと丁寧に描いて欲しかったなぁ。
いつの間に、なんで好きになったの?というスピードだった。
未来少年とか、動く城とか、色々連想しながらフフッと見ていた。日本人には受け入れられやすい内容じゃないかな。
最終的に猫がいいとこ取りなのも良い!
病気も治るし毛も生える
仏国発 ヌーベル SF アドベンチャー アニメーション
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