トゥレップ 「海獣の子供」を探してのレビュー・感想・評価
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嗜好の思考時間
漫画版「海獣の子供」が、個の中での開放を、時間的縛りに囚われない没個人での思念を世に発散する作業だとするなら、
それに共鳴したアニメ版 「海獣の子供」は、思念を込めた映像の中で、動くという時間的縛りと限られた空間の中での開放を試みる作業だった、とするなら、
トュレップは「海獣の子供」という枠組みを三千世界に押し広げて、「私達の今」の中で起きている「謎」と向き合おうとするノンフィクションとフィクション(というかメタフィクション)を交えて展開する、現実と向き合う「けじめ」の作業。
言葉の濁流の中で、どうしても人間としてでしか向き合えない世界の中で、思考の重ね合わせの中で、「私達」は、「私達」の枠組みを超えようとする。生命賛歌の中で、どうしても抗えない無知と対向する。なんで、どうして、どこから、どこへ、だれと、何が、何のために。。
私達は、生まれてきた世界を理解するために、何の犠牲もいとわない。。それでいて全ての未知に恐れ、おののき、足がすくむ。
こんなに悲しいと思うのは何故なんだ。その気持ちを悟られまいとするのは何故なんだ。こんなに美しいと思う未知の中で、心が溶解していくのを食止める理性。一連の海獣サーガは、私の中の純粋生命を刺激する。心が揺れ動く中で、願わくば、心の揺れ動くままに世界に包まれる生命でありますように。私達が、何がしかの哲学的解決に向けて、世界を押し広げていけますように。
マーシャルに桜は有るのかい?
科学を情緒的解釈でテツガクしてみたらこうなった。みたいな。下手すると易いファンタジー絵本になりそな内容だけど、語り部の話がやたらと面白くて、結構のめり込む。ただし中澤新一さんは除く。
漫画家氏曰く。
「海の中の描写は、山を歩く体験からの発想」
「これはこうです。と言うのでは無く、考えながら描いている」
田島木綿子氏曰く
「楽に生きたかったらクラゲになれば良い」
いや、これは良い。素晴らしく受けました。
俺は、これ好き。¥1100円だったし大満足です。
但し。知的好奇心を活性化させるほどじゃない。そこが問題…
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