「5年後どうなってるかはわからない2組。」思い、思われ、ふり、ふられ movie mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
5年後どうなってるかはわからない2組。
浜辺美波演じるあかりを中学時代からずっと好きな北村匠海演じる理央は、親同士の再婚により、お互いが両想いで付き合う寸前だったが、親に隠すために気持ちを押し殺してきた。お互いにも。
そんなことは知らず、あかりのクラスメイトの由奈はりおを好きになり、由奈の幼馴染のかずくんはあかりを好きになり、全員片想い状態スタート。
タイトルから片想い想定はできていたが、まさか4人とは。
だから4人分ずっと心が苦しい。
特に、北村匠海の理央役は、戸籍上もうどうしようもないし、浜辺美波を諦めろって無理に近い話だし、苦しい。そこに現れる由奈も、期間は短いが実らないとわかって理央を好きになる苦しみ。しかも振られて気持ちを整理をつけるためにあえて告白する辛さ。
理央は由奈のおかげで、叶わなすぎて執着にもなっていたあかりへの気持ちにけりがつき、そこから由奈をぐっと好きになれた。
一方、理央があかりを好きな頃、見てしまったかずくんは、あかりを好きなのに一生懸命素っ気なくする。
あかりもかずくんを好きなのに。
しかもかずくんは両親が兄の事で喧嘩ばかりで、映画監督になりたい夢など到底親に伝えられない。でも、あかりが応援してくれる。
理央がかずくんの誤解を解いて、あかりとかずくんがやっと素直に告白し合えた時、あかりは既に、理央の父のアメリカ転勤に着いていく決断をしていた。
もう母親の離婚結婚で家族がばらばらになるのは嫌だし、通訳の夢にも近づきたいし。
理央は、下宿先を見つけて1人で日本に残り、由奈と過ごすことを選んだ。
かずくんだけ留守番状態。赤楚衛二めちゃ不憫。
こんなに見た目も性格も良い4人が同じマンションに住んでいる奇跡。
でも、理央の父とあかりの母は再婚していて、理央とあかりも惹かれあっていて、お互いに傷付けないように細心の注意を払っていたとなると、もう遺伝子レベルで一緒に過ごせば必ず好きになるのかなと感じさせられる。
由奈やかずくんは、高校時代一時的には入り込めるかもしれないけれど、理央の父のアメリカ転勤でもし理央の父とあかりの母が離婚したら、晴れて理央とあかりは兄弟の関係性を超えて付き合えるようになるわけで、由奈やかずくんに余地あるかななんて考えてしまった。
北村匠海、普段は明らかにモテる役は少ないけれど、今回は最初から浜辺美波と福本莉子を翻弄する。
背が高いのにそれを意外と感じるほど小顔で、目力強くて、いつもは息子なら良いなというポジションだが、ちゃんと好きにさせる男子役が成立していて、勝手に安心するし、ちゃんと理央の気持ちにもなれた。しかも由奈の気持ちにもかずくんの気持ちにもあかりの気持ちにもなれて、文字通り体感でも心臓がぎゅっと苦しいのを4人分ずっと感じながら見た。
こういう若手恋愛映画で、痛みまでリアルに感じられるなどとても稀で、4人の演技力の賜物であり、共感しかない作品だった。
意外と、理央も由奈もあかりも自分から告白するけれど、理央があかりに気持ち耐えきれず家に着く前にキスするところを見てしまったかずくんには、それでも押す選択肢と、告白どころでなくなる選択肢とあるが、遠慮する方を選ぶ登場人物なおかげで共感だった。
浜辺美波のバーター的に福本莉子が事務所後輩として出ているのだと思うが、天下の浜辺美波に匹敵する透明感で驚く。フラれるとわかって告白?!そりゃ福本莉子ならできるわな。浜辺美波が矯正期間特有の滑舌と口元の仕草で美波様100%のコンディションでないのもあるとは思うが福本莉子は強い。でも2人とも、え、このまま倒れないよね?と思うような謎に目が上下に動き白目になるシーンがあった。大事なこと言う前の、躊躇いつつ息を深く吸い込み覚悟決める時、人間って白目になるんだっけ?可愛い子特有なのかな。
気持ちに蓋をしたあかりの横で、同じくあかりを諦めた理央をするっと好きにさせる由奈が最強。
でも自分があかりだったら、理央を諦めきれるかな?なるなら由奈のポジションがいいし、あかりなら頼れる理央くんを置いて、2番手オーラに包み込まれているかずくんを好きになれるかな?
と思わせるほど、北村匠海が側にいたら翻弄させられそう。いや既に私、ファンなんだったわ、ということを自覚した。公開すぐに見たり、ライブに行ったりしないけれど、出演作は必ず作品と役に真摯に向き合ったことが伝わってくる深い作品なので、必ず観るようにしている。
売れているのは、一過性の流行り廃りでは絶対になく、一生ものだと断言できる、良い俳優さん。