「自分に忠実にあれ!」キーパー ある兵士の奇跡 Socialjusticeさんの映画レビュー(感想・評価)
自分に忠実にあれ!
この映画を見たいと思った理由は、負の遺産であり第二次大戦の侵略者、それに、ユダヤ人たちに対する卑劣な差別や殺害などの結果。ドイツの軍人に対する連合軍側の差別を映画で見たかった。当時の様子をなんらかの形で観てみたかった。ユダヤ人差別はかなり多くの映画になっているし、あちらこちらに、ホロコストの負の遺産を残すために、記念碑が建てられていて、自ずと、共鳴する。
果たして、ヒットラー政権崩壊後、ドイツの人々、軍人はどう生きていったんだろう。自分の存在を隠していきてきたのだろうか? 差別の影響も並大抵じゃないだろうし。Bert Trautmann (David Kross) _がなぜ英国マンチェスターのフットボールのチームに入れたのかも不思議だし。数多くの疑問があったし実在の人物なので、鑑賞動機も高まった。
1944年バートのドイツ軍が、ライン川の近くのクレーヴェ(Kleve )という所で、捕虜になり、北東イギリスのランカスターのLancashire Camp で捕虜生活をしているところから始まる。
好きなシーンは:
1)マーガレット。マーガレットはバートに興味をもっても、敵だったということで、苦しむ。敵を好きになってはいけないがマーガレットは心が動く。二人の心の中が理解できるので、一番美しいシーンだと思う。
2)1949年、バートはマンチェスターに出かけて、契約する記者会見がある。これが、興味深い、まるで裁判やヒヤリングのように記者は、バートの過去に対して質問を投げかける。彼は志願してナチスに入ったと調べが。でも、自分が何をするか、軍にはいったことでどうなるかもなににも知らなかったと。洗脳されていたわけだから、理解できる。軍に入るか、入らないかの選択肢がなく、自分がフロントラインで戦い始めたときはもう遅すぎた。フットボールのゴールキーパーとしての質問はなし。 これだけ、避難責めの質問にコミッショナーたちはストップをかけるが、バートはそれを振り払って、彼にとっての真実を話す。この姿勢に感動した。マスコミの前で、そのままの自分でいるという強い信念をもっている。自分の過去はどんなことがあっても変えられないから、自分の過去が捌かれようとも透明にする。それで、あとで信頼を獲得できるから。
嘘というのはどこかで辻褄が合わなくなるし、自分に卑怯になりたくないんじゃないか?
そして、帰り道、疑いを持ち始めた伴侶マーガレットに。自分を信じてもらうには今の自分しかないんだ。いま、自分に忠実に生きていたらと。そのあと、ゴーリーがアイロンクロス(Iron Cross )にいたと、新聞にも載る。自分の生き方が問われる映画。後で、YouTubeのBert Trautmann Storyをみたけど、彼の生き方についての情報が少なかった。でも一言、自分を救って、教育してくれた、イギリスに感謝すると。
3)マーガレットが、ユダヤ人の多いマンチェスターでバートのプレイを反対している人々に言った言葉『ドイツのやったことは絶対に忘れてはならない。でも、許せないという意味じゃない。バート軍隊に四年いたけど、それを否定していない。ひとりでいたわけじゃない。このすべて起きたことは彼だけの責任にできない。私は彼のことを軍人として知らない。人間としてしか知らない。』ユダヤ人のラビがこれに耳を傾ける。力強いシーンだ。
バート・トラウトマンは1949-1964年マンチェスターシティーFCのゴールキーパーをして、両国の架け橋となった。彼は退職後海外のチームの指導に当たったらしい。二人はすでに離婚していて、マーガレットは千九百八十年になくなった。バートは二千十三年になくなった。二人には息子が二人いると。バートは女性に人気があったらしくマーガレットの前に、女性がいてその女性との間に女の子フリーダができ、バートは二人をおいて去ったらしい。四十二年後に、フリーダが母親をバートにあわせたと。YouTubeのBert Trautmann Storyから。映画では、必要ない部分や不名誉な部分を省いているかもしれない。
蛇足
ドイツの俳優デビッドクロスのフットボールの動きがいいと思ったら、2004-2006年まで、プロバスケットボールクラブに所属していたと書いてあった。