「ラストシーンは、『女王陛下のお気に入り』を彷彿とさせてくれました」燃ゆる女の肖像 グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
ラストシーンは、『女王陛下のお気に入り』を彷彿とさせてくれました
すべてが綺麗で美しい映像で描かれるので、観念的な美の世界の愉悦に浸る、と決めて味わうのであれば、まったりしたストーリーもそれほど気にならないと思います。
美術鑑賞への深い造詣や美術史的知識が無くても(というか、私がその方面についても極めて疎くて浅いので)、結構入り込めました。たぶん、多かれ少なかれ神話や宗教画やルネッサンス期の有名な絵画も、印象派も、レンブラントもルーベンスもベラスケスも、何かの折にどこかでは見たり聞いたりしたことはあるけれど、どの絵が誰の作品かなんて分からない。そんな程度でも、なんだか絵画的雰囲気が伝わってきました。
今よりも遥かに、〝女性の性〟について不自由な時代であったとしても、美しいもの、自分にはないものに惹かれ合うという本能的で生理的な衝動が生じるのは抑えられません。しかも、タイミング良く世の中とは隔絶された離島で自分たちだけの濃厚な時間と空間が物理的かつ限定的に巡ってきたわけです。侍女の堕胎という出来事に関与したことも、〝ある種の秘密を2人で共有する〟というスリリングな体験となり、はからずもマリアンヌとエロイーズの親密度が増す働きをしたのだと思います。2人の心が燃えない理由はありません。
ラスト数分間のエロイーズの表情の変化。
振り向いたのか、耐え抜いたのか。
エンドロールに移る直前、突然スクリーンが真っ暗になって2〜3秒の間がありました。
鑑賞者が自由に想像してください、ということなのですね、きっと。
劇中で語られるオルフェの話では、振り向いたことで、〝終わった〟わけですが、マリアンヌは回想のナレーションの中で最後の再会と言ってました。
最初の再会(絵画の中)で、手元の本の28ページに自分がエロイーズの中で生き続けていることを確認したマリアンヌは、ラストの場面で(たぶん)振り返ったエロイーズとは、現実世界での関係は終わりを告げたこととしたのではないでしょうか。あの涙でエロイーズの思いの丈をしっかりと受け止めることもできました。
だから、顔が判別できない『燃ゆる女の肖像』はその区切りでもあり、自分にとっての永遠のエロイーズ、自分にとっての28ページとしての記録、なのだと思います。
グレシャムの法則さま
コメントありがとうございました。恐縮です。
ラストはホントに痺れましたね。
振り向かなかったからこそ、現実世界の恋は決して色褪せない永遠なモノに昇華したのでしょうね。
グレシャムの法則様
共感ありがとうございます
恐縮でございます🙇♂️
…実に深く心に刺さる素晴らしいレビューです!
2021年も唸る素敵なレビュー楽しみにさせていただきます😊
当方の稚拙なレビューにコメント下さり(❁´ω`❁)アリガトウゴザイマシタ
また、ステキなレビュー読ませて頂きました
解釈は人それぞれですが、概ね皆さん絵画的な美しさという点が共通している作品ですね
つまり芯はしっかりしているが、アソビも持たせている良作ということですかね
2021年もお互いこういう良作に沢山出会えますように!
グレシャムの法則さん、素敵なレビュー💕 私は解釈は色々あるのがいいと思ってます。あと、この映画、同性愛の話とは私も思ってません。いつの時代も誰が相手でも、どうしても惹かれる関係はあると思うからです。よい一年でありますように。