劇場公開日 2020年12月4日

  • 予告編を見る

「叶わぬ恋」燃ゆる女の肖像 オクやんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5叶わぬ恋

2020年12月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

18世紀フランスの離島を舞台に、望まない結婚を控えた貴族の娘と、彼女の肖像を描くために雇われた女性画家の、生涯一度の恋を描いたラブストーリー。脚本と監督は、思春期の少女の欲望と不安を題材にした「水の中のつぼみ」で注目されたセリーヌ・シアマ。今回も、女性監督ならではの繊細な心理描写を光らせ、昨年のカンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞した。
この映画の背景は、女性が思いどおりに生きられない時代。貴族の娘、エロイーズには結婚の選択権がなく、画家という職業を得たマリアンヌも好きに画材を選べない。そんな二人が、5日間だけ思い通りに笑い、愛し合う自由を手にする。そして、その思い出だけを糧に残りの人生を生きる。限りなくロマンチックで、限りなく切ない恋が、マリアンヌの芸術家のまなざしで切り取られていく。そんな恋物語を、ある逸話や切ないラストシーンを奏でる音色と共に物語全般を通しての演出が見事でした。

オクやん