バクラウ 地図から消された村のレビュー・感想・評価
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【不条理極まりない作品体裁を装いつつ、搾取される人々の搾取する側に対する激しい怒りを描いた作品。】
ー レビュータイトルは、今作を鑑賞した私見である。ー
◆感想
<Caution! 以下内容に触れています。>
・冒頭、バクラウ村の長老、カルメリータが亡くなるシーンが描かれる。
・善良そうな若き、小太りの村の水の利権に関与する”政治家”トニーが、”村のために・・、うんたらかんたら”と言って登場する。
・そして、カルメリータの死後、村には次々と、異変が生じる。
・そして、村人はマイケル(ウド・キア!)が率いる、ドローンを駆使した、謎の暗殺者集団の襲撃を”密やかに”受ける。
暗殺者たちは、村人を殺すことをゲームの様に感じているようだ。
ー 序盤は、淡々と物語は進むが、ドラキュラ俳優でもある、怪優ウド・キアが登場する事で、俄かに面白くなる。
そして、この物語の言わんとしている事が、徐々に観る側に伝わって来る。ー
・村人は、襲撃を受けながらも”謎のクスリ”を口にしながら、マイケル率いる暗殺者集団に対し、逆襲に出る。そして、彼らの首を曝す・・。
ー あの、錠剤は何だろう・・。ー
・そして、”政治家”トニーは仮面を被せられ・・。ウド・キア扮するマイケルは、生き埋めにされる・・。
<序盤は気づかなかったが、今作は搾取される側の、搾取する側への強烈な怒りを描いた作品だと、私は思った。
そして、世に蔓延る不条理を、”これでもか!”と描いた作品である、とも私は思った。
ー それは、コーマックマッカーシーが描く”人間の本性は悪である”という哀しき考えに裏打ちされた世界である。 ー>
パワフルな土着色
ウドキアにソニアブラガ。古い名前をみつけたので、古い映画とおもいきや、けっこうあたらしい。(2019)。ウドキアがいるなら底等級映画だろう──と思ってimdbを見たら7超え。しかもブラジルの映画。興味をそそられた。
荒原の小集落バクラウ。背景がよくわからないが、水の供給を止められ孤立している。水の配達車に乗って逝去した長老カルメリータの娘が帰ってくる。ところから映画がはじまる。
牧師とDJと自警団を兼任しているような男が村の中心で説法をしている。風俗には無類のごたまぜ感がある。
娼館がコンテナごと村へ巡業してくる。垂れ幕看板に中国語で「快乐的房子」(楽しい家)。女娼がふたり、男娼がひとり。
どこにいてもハエがたかる。磊落な衛生観念。と性観念。
黒人と白人。その中間色を揃えた、多様な肌色の人々。
村を取り込みたい地場議員が票取りにやってくる。トラックから本を無造作に落とす。焚書用かと思ったら寄贈書。白昼堂々、ツケ払いで娼婦を連れ去る。
緩衝地帯に連絡係。水も食料も分配制だが、スマホはみんな持っている。
と、ここでUFOが出現する。笑。
つぎつぎに新たな人物があらわれ、中心人物が定まらず、誰が、何を、どうしたいのか、わからない。にもかかわらず、興味が尽きず。
その理由は、エネルギッシュな空気感。村人は素人ぽいし、演出も編集もブツ切りだが、画に土着パワーがみなぎっている。加えて、ストーリーも風俗も風変わりで、引き込まれた。
拡がる一方だった話もラストで勧善懲悪にまとまる。
『人は善行でなく悪行で判断される』(映画中、村人の言葉)
強引で、大らか。復讐譚でみな真顔だけれど、なんか笑えてしまう気配。
生と死ではなく、性と死が日常なラテン気質が無類の魅力。
こんな気質ならば、ウィルスがまん延するのは当たり前。──と思える、直前の映画だった。
日本版の予告がよくないんだろうか…
予告で抱く印象と本編を見た印象とでは異なる点も多い。
ミステリアスで謎の多いストーリーと期待して見ると肩透かしを食らう部分も少なくない。
ただし見方を変えれば、身勝手な侵略者に対して反撃の狼煙を上げる原住民という構図に素直にのめり込んでいくことが出来る。
シーンの繋ぎがフェードアウトであったり少し技術的に稚拙に感じられる所もあり、もう少しテンポ良くストーリーを展開できるのでは と感じる面もあったものの、構成は巧み。
序盤は地図からの消失や謎のバイカー、ドローン、死者といった要素をバクラウの住民の視点から描きだし、謎と同時に不吉な予感を味合わせる。
一方終盤ではそれまで恐怖を与えていた側の犯人達の視点に移り、村に訪れ犯行に及ぼうとするも姿の見えない住民に恐れを抱く様が描かれている。
視点の軸を入れ替えることで、構図に変化を生み出し緊張感を演出すると共に、何が起こるのか という期待感を与えてくる。
ただオチは正直弱いかなと思ってしまった。
市長と繋がっている もまあ大方予想はつく。
バクラウの歴史をさり気なく示し、そこへ結びつく反乱の形をなぞり、狂ったとも言える手法で逆襲を成し遂げる様は痛快だったものの、ちょっとアッサリしてたかなという気も。
まあ劇中では犯人達の犯行もそれほどガッツリ描かれていないし、バランスを取ったのかもしれませんが。
全体としては粗さなんかも感じられはするけど、作品としてのテーマや描きたいものは強く感じられ、全体の構成といった映画的側面でも楽しめた。
期待していたものとは違った とはいえ、見方を誤らなければ面白い作品。
抵抗する者の結束力と侵略者の傲慢さ
田舎の人が観光客をもてなす話
ウエスタン物の映画の様でグロB級映画の様で、そして新しい。
不思議な雰囲気の映画でしたね、うん、好きです。
冒頭の棺桶が落ちてるシーンからただならぬ良作感がにじみ出てました。
中盤から後半で劇的に物語が動き始めますが、前半が決して退屈なわけではなく、この村の置かれている状況やこの映画がどんなふうに展開していくのか興味が尽きないので飽きることなく見てられる。
水が奪われている事、みんなに慕われていたおばあちゃんが亡くなったこと、嫌われ者の政治家、平和そうに見えてゲリラとか銃撃とか結構物騒な状況。
そして、グーグルマップから村が消えてる事。
陽気なのに不穏、不安がちらほら見え隠れするのは見ていて楽しい。
ブラジルの現状を知らないから詳しくはわからないけれど、もしかしてこうゆう村って結構あるのかな?
治外法権じゃないけれど、あんまり国家や政府が気にしてない様な集落。なんなら武装勢力もあるみたいだし…興味深い。
アフリカ系の映画とはまた違った未開の地感がいいですね。
なんだかんだ話が掴めないまま中盤でウド・キアが出てきた時の安心感ったらなかったですね。
見知らぬ土地で文化もわからんし、なにが起こるかもわからない状況で、知ってる俳優が出てくるだけでなんだかほっとする。
ウド・キアが出てきたらもう、ろくな事は起きないですよ。
うさん臭さ、狂人さ、ザ・悪役さが全身から出てますもの彼。
「あとはもうわかるな、そうだ!殺戮だ!」
って感じ、安心するわ~。
謎の村、謎の事件、謎の薬、謎の外人、謎だらけで説明不足なんだけれど、全てが組み合わさって本作の得体の知れなさと考察の余地が生まれる奥深さが有る。
すっきりしないけれど、決着はつくし終わり方は秀逸だと思う。面白かった。
個人的に好きなシーン
オフロードバイクに乗った二人組が現れる場面
ど派手なライダー服があまりにも異質でまるで宇宙人でも来たのかと思えるほど。
田舎の人はよく部外者を警戒するとは言うけれど、これは警戒せざるを得ない。
自分もたまにバイクで脇道に入り見知らぬ集落に行くことが有るけれど、そこの人たちからはこう見られてるのかもなーなんて思いました。
戦闘準備からのカポエラで闘志を上げていく場面。
部族が戦闘前に行う儀式というか、あぁこれから本気で戦うんだなって見ていてこちらも高揚してくる。
この映画は「食人族」×「続・荒野の用心棒」を現代版にしたような作品かなと思います。
ブラムハウスの映画は色んな掛け算が上手、殺人鬼×入れ替わり、殺人鬼×タイムループ、日常×法が機能しない12時間、とか。
この掛け算が十八番のブラムハウスでもバクラウの様な掛け算は思いつかないだろうな~。
これからも世界中で楽しい掛け算映画がいっぱい作られることを期待します。
追伸
「食人族」×「続・荒野の用心棒」の映画は「トマホーク ガンマンvs食人族」ってのがありましたね。
タイトルそのまんまの映画ですが、B級映画風なのにキャストが意外と豪華っていう。
バクラウとは似て非なる作品だし、おススメはしませんが私は嫌いじゃないんだよなぁこの映画。
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劇中セリフより
「村の資料館よ、見に行った?」
見知らぬ土地に行った時はその土地の事を調べましょう。
それが理解と調和に繋がる第一歩なのかもしれません。
七人の侍よりこっち。カルト当確。
警告⚠️見る価値がありません
バイオレンスミステリー
レンタル屋から消したい
ブラジル版現代のマカロニウエスタン?しかしてその実態は?
1 ブラジルの乾いた村を舞台に、村人と謎の武装集団との闘いを描くアクション劇。
2 映画のポスターから地球外生物から襲撃されるSFかと思ったが、悪党一味が村を襲い村人が立ち向かう様や始末の付け方、棺桶やサボテンなどのディテールはまるで残虐なシ−ンが多かったマカロニウエスタンのように思えた。
悪党の正体やその目的は謎だったが、最後には「あっ、そうだったのね」とわかってくる。
3 この映画の良いところは、①メインストーリーがしっかりしていて、何故この村が襲われるのかというホワイダニットの興味を持たせていたこと。②襲撃の端緒から襲撃に至るまでダレることなく、緊迫感を保っていたこと。③村が闘い慣れていることの設定や村人の個性的なキャラが際立ち、かっちょいいこと。それに比べれば悪党たちは、黒幕はおバカさんで、実行部隊はイカれているだけのプロトタイプであった。
4 あんな田舎でもWi-Fiが飛んでいることに感心した。また、ドローンはまじでUFOかと思った。
そこで翻訳機使うか!!
中盤まで何が起こっているのか詳細がわからない。村人たちの変わった風習や踊りなどに目を奪われ、音楽を奏でる横でセックスするカップルがいたりする。地図から村が消えちゃったよ・・・と子どもたちは大騒ぎなのに、そんなことより給水車のタンクが銃撃を受けたことのほうが悩みの種だった。
とにかく飲み水というライフラインが絶たれたら生きていけないブラジル北部の村。近未来なので何でもアリだ。村人の他に、村を離れてダムで生活するおたずね者の若者たち。そして、容赦なく村人を銃撃で殺すアメリカ人のグループが徐々に姿を現してくるのです。
序盤では『ミッドサマー』や『変態村』のようなストーリーかと思っていたのに、よそ者の方が恐ろしい存在に変貌する。そして、そのグループのリーダー・マイケル(ウド・キア)が色々指令を出すのに、やがて彼の言動も狂ったかのように予測不能となっていく。この俳優すごすぎ!まさしく怪演!
UFOはほどなくして正体が明かされるのですが、狂気と秩序のバランスが絶妙に交錯していくのだ。小さな村に“博物館”なんてのもいい伏線。そして村に入ると飲まされる錠剤も意味があったのです。強い?というのも、多分性生活においても強くなれるのだろう・・・わからんけど。
村だからといって、小さな世界ではなく、水を絡めた政治的策略も見え隠れするといった世界の縮図。人物に感情移入させることもなく、かなり俯瞰的な構図とストーリーになっているということからUFOがメタファーとして扱われているんじゃないでしょうか。忘れた頃にもう一度見ると、違った見方ができるかもしれない・・・そんな作品でした。
まさにカオス。痛快で斬新な異色作!!
【賛否両論チェック】
賛:予想の上を行く怒涛のラストに、思わず圧倒されるよう。序盤の謎が次第に明らかになっていくのも痛快。
否:内容自体は、ツッコみどころだらけで白けてしまいそう。過激なラブシーンやグロシーンもメッチャあるほか、上映時間もかなり長め。
この手の映画をご覧になる時、皆さんそれぞれ、
「こういう展開の映画かな・・・?」
って、多少なりとも想像して観ると思いますが、本作はその想像の斜め上を行く展開が見事です。良く言うと斬新、悪く言うとカオスという感じで(笑)、特に終盤は怒涛の展開に、思わず圧倒されてしまいます。
一方で、ツッコみ出すとキリがない内容や、
「これは・・・こういうことだったのかな?」
と、自分で想像しなくてはいけない部分が多いのが難点ではありますが、序盤の謎だらけだったシーンの数々が、物語を通して徐々に明らかになっていくのは、観ていて面白いですね。
上映時間も長めで、過激なラブシーンやグロシーンが多いのも気にはなりますが、ラストはある意味痛快な作品でもありますので、是非チェックしてみて下さい。
一致団結、やるときはやる村
観て失敗するかもしれないけど、観ないと絶対後悔する映画
ブラジル映画としては「ぶあいそうな手紙」以来の鑑賞です。
本作「バクラウ」は何かと話題になっていて、アリ・アスター監督「ミッドサマー」が面白かった人に「お勧め」との事だったし、チラシから見ても「狂ってる」感が満載。しかもUFOらしきモノまで飛んでいる
「これは一体❓」
観て失敗するかもしれないけど、観ないと絶対後悔するタイプの映画。
ワクワクしながら予告編も観ずに映画館へ飛び込みました。
「いまから数年後…」のテロップで物語がスタート。
「えっ!?未来のはなし?」
つっこみどころ満載だし、伏線回収が無いままエンディングを迎えるなど、「考察したくなる映画」ともとれるし、「少々雑なんですけど」ともとれる。
ただ「法」の外にある共同体の話しとしては「ミッドサマー」的な感じです。
「見事なまでに狂ってる」と感じるかどうかは、あなた次第です。
僕の正直な感想としては、そこまで狂っていないと思ったので、「❓❓❓」でした😅自分の方が、、、、。
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