「奥地のブラジルに現れた殺人集団は何が目的なのか。」バクラウ 地図から消された村 M.Joeさんの映画レビュー(感想・評価)
奥地のブラジルに現れた殺人集団は何が目的なのか。
ブラジルの俊英クレベール・メンドンサ・フィリオ監督。第72回カンヌ国際映画祭で『バクラウ』が「審査員賞」を受賞しブラジルに初めての栄冠をもたらした。
奥地を取り上げることの多いブラジル映画。そこには何か人里離れた、隠された過去、秘密裏の宗教的な行事、閉ざされたコミュニティなどを思い起こさせる。
この映画の途中から給水車への襲撃、畜産を営む一家の殺戮が起き、村の落ち着いた生活が一変する。不気味な恐ろしさが迫ってきているのだ。殺人者(英語圏)と村を守る奥地のブラジル人。スリルに満ちた展開と悲惨な殺戮のシーン。ちょっと見るに耐えられないシーンも出てくる。これまで見たブラジル映画の「シティ・オブ・ゴッド」など残酷なシーンはここにも存在する。
襲撃者の背景・目的がもう少し描かれると、戦う相手は誰なのかが類推でき、テーマがつかみやすくなると感じた。スペインドラマの「ペーパー・ハウス」までとは言わないが。
「地図から消されたまち」というのも何となくは示されている。熱帯雨林の伐採など奥地を権力者の都合で収奪していくブラジルの構造を思い起こさせた。この映画には単なるフィクションではない現実の問題を訴えているように思える。
結末の感想はそれぞれであるが、もう少し深みを持たしてくれたほうがよかったかなと思う。
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